
関東・関東で異なる電気工事資材の「呼び名」と「規格」の正体
建設現場(電気工事)では、地域により資材の呼び名や規格が異なります。代表例として、VVFケーブルは関西で「VA」、関東で「Fケーブル」と呼ばれます。また、ビニールテープの標準単位も異なり、関西は「10m(小巻)」、関東は「20m(中巻)」が主流です。 こうした違いは、かつてのメーカーの勢力圏や師弟制度の文化に由来します。他地域の現場に入る際は、こうした「現場の常識のズレ」を理解し、発注ミスを防ぐためにJIS規格などの正式名称でやり取りすることが、スムーズな作業への近道となります。
【徹底比較】知っておかないと現場で混乱?関西・関東で異なる電気工事資材の「呼び名」と「規格」の正体
建設現場、特に電気工事の世界には、地域ごとに根付いた「独特の文化」があります。同じ日本国内でありながら、使う資材の呼び名が違ったり、標準とされるサイズが異なったりすることは珍しくありません。
関西の職人が関東の現場へ応援に行き、「VA持ってきて!」と言っても通じなかったり、逆に関東の職人が「Fケー(エフケー)どこ?」と言って首を傾げられたり…。こうした「現場の常識のズレ」は、作業効率だけでなく、発注ミスにも繋がりかねない重要なポイントです。
今回は、電気工事における関西・関東の資材の違いについて、代表的な例を挙げながら詳しく解説します。
1. 現場の主役「VVFケーブル」の呼び名問題
電気工事において最も頻繁に使用される低圧屋内配線用ビニル絶縁ビニルシースケーブル(VVFケーブル)。この呼び名こそが、東西で最も分かれるポイントです。
関西での呼び名:VA(ブイエー)
関西では一般的に「VA」と呼ばれます。これは「Vinyl Armor(ビニル・アーマー)」の略称に由来しているという説が有力です。関西の電材卸や現場では、サイズを伝える際も「VAの1.6の2芯」といった言い方が標準です。関東での呼び名:Fケーブル(エフケーブル)
一方、関東では「Fケーブル」、あるいはさらに略して「エフケー」や「エフ」と呼ばれます。これはVVFの最後の「F(Flat)」を取ったものと言われています。
正式名称 | 関西での呼び名 | 関東での呼び名 |
|---|---|---|
VVFケーブル | VA(ブイエー) | Fケーブル / エフ / エフケー |
この違いを知らないと、電話での資材発注時に「そんな商品はありません」と言われてしまう(あるいは似た別のものを探される)というコントのような事態が起こります。
2. 絶縁テープ(ビニールテープ)の「標準」が違う
呼び名だけでなく、実は「販売されている基本単位(サイズ)」そのものが違うケースもあります。その代表例がビニールテープ(絶縁テープ)です。
電気工事で端末処理や仮止めに欠かせないビニールテープですが、「一巻の長さ」の主流が東西で異なります。
関西:小巻(10m巻)が主流
関西では幅19mm・長さ10mのタイプが一般的。「小巻」と呼ばれます。関東:中巻(20m巻)が主流
関東では同じ幅19mmでも、長さ20mの「中巻」が標準です。
豆知識: たかが10mの差と思うかもしれませんが、10巻パックで購入した場合、総延長で100mもの差が出ます。見積もり時の資材積算や、現場への持ち込み数に影響する地味ながら大きな違いです。
3. 配管資材とボックス周りの呼び名の差
配管やボックスに関しても、現場独自の通称が地域によって異なります。
合成樹脂製可とう電線管(PF管・CD管)
東西共通で「PF(ピーエフ)」「CD(シーディー)」で通じますが、関西の一部ではメーカー商品名から「プラフレキ」と呼ぶ職人が比較的多いです。ボックスの呼び名
関東は「1個用」「2個用」と呼び、関西は「1連」「2連」、特定のメーカー型番(例:「B型」)で呼ぶ文化も残っています。
4. なぜこれほどまでに違いが生まれたのか?
同じ島国の中で資材の扱いや呼び名が分かれた理由は大きく3点と考えられます。
メーカーの拠点と普及ルート
メーカーが付けた愛称や略称がそのまま現場用語として地域に定着しました。修業時代の師弟関係
親方から弟子へ、またその弟子が教えて拡がる徒弟制度文化による地域独自の用語の強化。電圧と周波数の歴史的背景
東西で電力周波数(50Hz/60Hz)が異なることが、器具や慣習にも影響しています。
5. 資材の「大きさ」にまつわる落とし穴:ボルトとレンチ
工事現場で使う「工具」や「ネジ」も、東西での「好み」や「標準」に差があります。
関東:古くからW3/8(三分:さんぶん)のインチネジが圧倒的シェア。
関西:公共工事等を中心にM10(ミリネジ)への移行が関東より早かった(または混在した)。
全国的にJIS規格への移行が進んでいますが、改修現場では古いインチネジとミリ用工具の不一致によるトラブルが発生することもあります。
6. 現代の現場における「東西融合」と注意点
大手ゼネコンの全国展開やネット通販の普及で呼び名の壁は低くなってきていますが、「現場の阿吽の呼吸」においては、依然として地域色が濃く残っています。
他地域の現場へ行く際のチェックリスト
消耗品の「巻き数」を確認する(テープや結束バンドなど)
略称の翻訳機能を持つ(「VA=Fケーブル」など脳内変換)
正式名称で発注する(「VVF 2.0-3C」などJIS規格名や型番を使用)
結論:違いを楽しむことが「プロ」への近道
電気工事の現場における「呼び名」や「サイズ」の違いは、その土地の建設の歴史そのものです。違いを理解し、適応できる能力こそが、全国どこでも通用する一流の電工の証と言えるでしょう。
これから他地域の現場に入る予定がある方は、ぜひ「資材のギャップ」をコミュニケーションネタに現地の職人と交流を深めてみてください。
この記事のまとめ:
VVFケーブルは、関西で「VA」、関東で「Fケーブル」。
ビニールテープは、関西が「10m巻」、関東が「20m巻」が標準。
呼び名の違いは、メーカーの勢力圏や師弟制度の歴史に由来する。
トラブルを防ぐには、発注時に正式名称(JIS規格名)を使うのが最も安全。
前田 恭宏
前田です














