
電気工事で使われるA材・B材・C材とは何か?
建設現場の電気工事では、資材をA材・B材・C材に分類する慣習があります。A材はキュービクルや受変電設備など建物の基幹となる高額な主要設備で、施主や元請が手配することが一般的です。B材は電線・電線管・ラック類など電気工事会社が主体的に手配・施工する標準資材です。C材はビスや結束バンド、テープ類などの消耗・補助資材を指します。この分類は法令ではなく商習慣ですが、見積や責任範囲を明確にし、現場トラブルを防ぐ重要な共通言語となっています。
建設現場の「共通言語」
電気工事で使われるA材・B材・C材とは何か?
はじめに
建設現場、特に電気工事の世界では、資材の話をする際に
「それはA材?B材?」
「これはC材だから別手配で」
といった会話が当たり前のように交わされます。
しかし、業界外の方や、入社して間もない技術者・事務担当者にとっては、このA材・B材・C材という分類は非常に分かりにくいものです。図面にも仕様書にも直接書かれていないことが多く、にもかかわらず、手配・見積・工事区分に大きな影響を与える「暗黙のルール」でもあります。
本コラムでは、
A材・B材・C材とは何か
なぜこの分類が生まれたのか
それぞれに該当する具体的な商品例
現場での使われ方と注意点
を、できるだけわかりやすく解説します。
1.A材・B材・C材とは何か?
〜法令用語ではなく「業界慣習」〜
まず重要な点として、A材・B材・C材は法律やJISで定義された正式な分類ではありません。
これは、建設業界・電気工事業界の中で長年使われてきた商習慣・現場慣行による分類です。
この分類の目的はシンプルで、
「誰が・どこまでの材料を負担・手配するのか」を整理するため
に使われています。
特に、
ゼネコン
サブコン(電気工事会社)
専門業者
資材商社
と多くの立場が関わる建設現場では、資材区分を明確にしないと、
「それは見積に入っていない」
「いや、それは含まれているはず」
といったトラブルが発生しやすくなります。
2.A材とは何か?
〜建物の“骨格”をつくる主要資材〜
■ A材の定義
A材とは、建物全体に関わる主要設備・基幹となる電気設備資材を指します。
多くの場合、元請(ゼネコン)または施主支給で手配されることが多く、金額も大きく、建物の性能・安全性に直結します。
■ A材の特徴
高額
数量・仕様が設計段階でほぼ確定
建物完成後も長期間使用される
設備の中枢を担う
■ A材の商品例
具体的には以下のようなものがA材に該当します。
キュービクル式高圧受電設備
変圧器(トランス)
非常用発電機
大規模分電盤・配電盤
受変電設備一式
中央監視装置(BAS)
これらは、電気工事の中でも「無ければ建物が機能しない」設備であり、仕様変更の影響も大きいため、早い段階で手配されます。
3.B材とは何か?
〜電気工事の中心となる“標準資材”〜
■ B材の定義
B材とは、電気工事会社が主体となって手配・施工する標準的な工事用資材です。
A材ほど高額ではありませんが、工事数量が多く、現場ごとの管理が重要になります。
■ B材の特徴
工事に直接必要
数量が多い
現場条件で変更が発生しやすい
電気工事会社の力量が出やすい
■ B材の商品例
代表的なB材には次のようなものがあります。
電線・ケーブル類(CV、VVF、IVなど)
電線管(PF管、VE管、鋼管など)
ケーブルラック・レースウェイ
プルボックス
端子・圧着端子
各種支持金物
これらは現場で切断・加工・調整しながら使われるため、施工管理や在庫管理が非常に重要になります。
4.C材とは何か?
〜仕上げ・消耗・細部を支える補助資材〜
■ C材の定義
C材とは、工事を成立させるための補助的・消耗的な資材です。
単価は低いものの、無ければ工事が進まない「縁の下の力持ち」的存在です。
■ C材の特徴
単価が安い
使用量は現場ごとにバラつく
消耗品が多い
見積漏れが起きやすい
■ C材の商品例
具体例としては以下が挙げられます。
ビス・ボルト・ナット
結束バンド(インシュロック)
テープ類(ビニルテープ、自己融着テープ)
コーキング材・パテ
アンカー類
マーキング材
金額は小さいものの、積み重なると無視できないコストになります。
5.なぜA・B・Cに分けるのか?
〜見積・責任範囲を明確にするため〜
この分類が現場で使われ続けている最大の理由は、
**「責任と負担の所在を明確にするため」**です。
A材:建物全体の責任
B材:電気工事会社の責任
C材:施工現場での裁量
というように、役割分担が自然に整理されます。
特に、追加工事・設計変更・工期短縮といった局面では、この区分が曖昧だとトラブルの原因になります。
6.実務での注意点
〜現場ごとに定義が異なることもある〜
注意すべき点として、A・B・C材の線引きは現場や会社によって微妙に異なることがあります。
例えば、
照明器具をA材扱いする現場
B材として電気工事会社支給とする現場
など、仕様書や契約条件によって変わるケースも少なくありません。
そのため、
見積段階での確認
図面・仕様書の読み合わせ
元請・施主との事前協議
が非常に重要になります。
おわりに
A材・B材・C材という分類は、一見すると古い業界用語のように思えるかもしれません。しかし、その本質は現場を円滑に回し、トラブルを防ぐための知恵です。
これらを正しく理解することで、
見積精度が上がる
資材手配がスムーズになる
現場での認識ズレが減る
といった大きなメリットがあります。
電気工事に関わるすべての人にとって、A材・B材・C材は知っておくべき「現場の共通言語」と言えるでしょう。
前田 恭宏
前田です
