
電気設備図面「接地(アース)記号」の基本と4つの分類
電気設備図面に記載される接地記号「EA・EB・EC・ED」は、電圧や危険度に応じた安全のクラス分けを意味します。 EA(A種): 高圧・特別高圧機器の外箱用(10Ω以下)。 EB(B種): 変圧器の混触による高電圧侵入を防ぐ、低圧側中性点用。 EC(C種): 300V超の低圧動力機器(400V機械など)用(10Ω以下)。 ED(D種): 300V以下の一般機器(100V家電やOAコンセント)用(100Ω以下)。 これらは「何から、どう守るか」で区別されており、図面と機器の電圧を照合することで設計・施工ミスを防ぐ鍵となります。
電気設備図面「接地(アース)記号」の基本と4つの分類
1. 接地(アース)の目的とは?
個別の記号を見る前に、そもそもなぜ接地が必要なのかをおさらいしておきましょう。主な目的は以下の3点です。
感電防止: 機器が漏電した際、電気を人間ではなく地球(大地)へと逃がし、人が触れても感電しないようにします。
火災・機器破損の防止: 異常な高電圧が流れた際、それを速やかに大地へ逃がして火災や機器の故障を防ぎます。
ノイズ対策: 通信機器などの誤作動を防ぐため、不要な電気ノイズを地面に逃がします。
それでは、図面に登場する4つのアルファベット(EA〜ED)の具体的な中身を見ていきましょう。
2. 4つの接地記号の意味と役割
① EA(A種接地工事):高電圧から人を守る「最強の盾」
主な対象: 特高(特別高圧)や高圧の電気機器の外箱
設置場所の例: ビルの変電室(キュービクル)、高圧モーターの外箱など
EA(A種)は、主に変電所や大型ビルの受電設備など、「高圧(交流600V超〜7000V以下)」や「特別高圧(7000V超)」の電気を扱う場所に施される接地です。万が一、高電圧が機器の外箱に漏電した場合、人間が触れると一瞬で命に関わる大事故になります。そのため、EAは抵抗値を「10Ω(オーム)以下」という非常に低い値に抑え、異常電流を瞬時に大地へ逃がす構造になっています。もっとも警戒レベルが高い、強力な接地です。
② EB(B種接地工事):高電圧と低電圧の混触を防ぐ「変圧器の守護神」
主な対象: 変圧器(トランス)の低圧側中性点
設置場所の例: 電柱の上のトランス、キュービクル内の変圧器
EB(B種)は、私たちが普段使う「低圧(100Vや200V)」の電気が作られる変圧器(トランス)に施される接地です。街を走る高圧線(6600V)の電気は、トランスを通って100V/200Vに落とされて建物内に入ってきます。しかし、このトランスの内部で故障が起き、高圧の電気が低圧側に混じって流れ込んでしまう(混触といいます)危険性があります。これを防ぐため、あらかじめ変圧器の出口部分を接地しておき、高圧が侵入した瞬間に電気を地面へ逃がして、室内の家電製品が爆発したり人が感電したりするのを防ぐのがEBの役割です。
補足: EBの抵抗値は一律ではなく、その変圧器の特性や遮断器の性能に応じて計算で求められます(一般的には数十Ω〜数百Ω程度)。
③ EC(C種接地工事):300V超の低圧機器を守る「中量級の備え」
主な対象: 300Vを超える低圧の電気機器の外箱
設置場所の例: 工場用機械(400V仕様)、大型エアコン(ビル用マルチなど)
EC(C種)は、家庭用よりも電圧が高い「300Vを超える低圧機器」の外箱に施す接地です。日本の工場や商業施設では、効率よく電力を送るために「三相3線式400V」といった電圧が使われます。100Vに比べると感電時のリスクが格段に高いため、抵抗値は「10Ω以下」(万が一のとき瞬時に電気を切る遮断器がある場合は500Ω以下)と、EA(A種)並みに厳しい基準が設けられています。
④ ED(D種接地工事):私たちの生活に最も身近な「定番アース」
主な対象: 300V以下の低圧の電気機器の外箱
設置場所の例: 家庭用の洗濯機、電子レンジ、冷蔵庫、オフィスのOAコンセント
ED(D種)は、私たちが日常的に目にする「300V以下の一般的な電気機器」に施される接地です。家庭のコンセントにあるアース端子や、オフィスビルのOAフロア内にあるコンセントの接地は、ほぼすべてこのEDです。一般的な100Vや200Vの機器が対象であるため、抵抗値の基準は「100Ω以下」(こちらも感電を防止する漏電遮断器がある場合は500Ω以下)と、他の接地工事に比べると少し緩やかに設定されています。とはいえ、私たちの日常生活における安全を支える最も重要な接地と言えます。
3. 各種接地の違いまとめ(クイックリファレンス)
記号 | 名称 | 主な対象電圧 | 接地抵抗値の基準 | 主な設置場所・機器 |
|---|---|---|---|---|
EA | A種接地 | 高圧・特別高圧 | 10Ω以下 | キュービクル、高圧機器の外箱 |
EB | B種接地 | 高圧から低圧への変圧部 | 計算値(状況による) | 変圧器(トランス)の中性点 |
EC | C種接地 | 300Vを超える低圧 | 10Ω以下(緩和時500Ω) | 400V仕様の工場機械、大型空調 |
ED | D種接地 | 300V以下の低圧 | 100Ω以下(緩和時500Ω) | 家電製品(洗濯機等)、OAコンセント |
4. 図面を読む際のアドバイス
電気図面(強電プロット図など)を見る際は、単に「アースがあるな」と聞き流すのではなく、「なぜここにEC(またはED)が指定されているのか」を機器の仕様書と照らし合わせる癖をつけると、設計ミスや施工ミスの防止に繋がります。
例えば、厨房機器の図面で「400V仕様の食器洗浄機」があるにもかかわらず、図面の表記が「ED」になっていたら、「ここは300V超だからECの間違いでは?」と気づくことができます。
まとめ
電気設備図面に書かれている「EA・EB・EC・ED」という文字は、電気の危険度(電圧)に応じて最適化された「安全のクラス分け」です。
高圧の危険から守る「EA」
変圧器のトラブルを防ぐ「EB」
200V/400V動力機器を守る「EC」
身近な100V機器を守る「ED」
この4つの意味を理解しておくことで、図面が持つ「安全への配慮」がより深く見えてくるようになるはずです。これからの図面チェックや現場管理にぜひ役立ててください。
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