
電気の流れをやさしく理解する
本コラムでは、私たちの暮らしや建物で使われている電気の配電方式である「単相2線式・単相3線式・三相3線式・三相4線式」の4種類について、一般の方にも分かりやすく解説しました。単相2線式は小規模向けのシンプルな方式、単相3線式は住宅で主流となり100Vと200Vを使い分けられる方式です。三相3線式は工場などで使われる動力向け電源、三相4線式は大型施設で動力と照明を同時に供給できる万能型です。それぞれの特徴と用途を知ることで、電気設備の役割や重要性が理解しやすくなります。
電気の流れをやさしく理解する
― 単相2線式・単相3線式・三相3線式・三相4線式の違い ―
はじめに
私たちの暮らしは電気なしでは成り立ちません。照明、冷蔵庫、エアコン、パソコン、工場の機械に至るまで、すべて電気によって動いています。
しかし「電気」とひと口に言っても、その**供給のしかた(配電方式)**にはいくつかの種類があることは、あまり知られていません。
実は、建物や用途によって
単相2線式・単相3線式・三相3線式・三相4線式
という4つの方式が使い分けられています。
本コラムでは、
「単相って何?」
「三相になると何が違うの?」
「家庭と工場でなぜ方式が違うの?」
といった疑問に答えながら、図解を交えてやさしく解説していきます。
そもそも「単相」と「三相」の違いとは?
● 電気にも「リズム」がある
電気は一定のリズムでプラスとマイナスが入れ替わっています(交流)。
この波の数とずれ方によって、単相と三相に分かれます。
単相:1つの波で電気が流れる
三相:3つの波が120度ずつずれて流れる
三相は力が安定しており、大きな機械を効率よく動かせるのが特徴です。
① 単相2線式(もっともシンプルな電気)
● 単相2線式とは?
単相2線式は、電線が2本だけの最もシンプルな配線方式です。
【単相2線式】
電源 ────(L)──────── 機器
電源 ────(N)──────── 機器
L:電気が行き来する線
N:戻り道の線
● どこで使われている?
小規模な設備
仮設電源
一部の照明回路
昔の住宅設備
● 特徴
メリット
構造が単純でわかりやすい
工事費が安い
デメリット
電圧が1種類しか取れない
大きな電力は使えない
👉 現代の住宅では、単相2線式だけでは電力不足になるため、次に紹介する方式が主流です。
② 単相3線式(日本の住宅の主役)
● 単相3線式とは?
単相3線式は、電線が3本あり、
100Vと200Vの両方が使えるのが最大の特徴です。
【単相3線式】
┌─── 100V ─── 機器
電源 ──┤(L1)
├─── 200V ─── 機器
電源 ──┤(L2)
└───(N)
● なぜ3本あるの?
真ん中の線(N:中性線)を基準にすることで、
L1-N:100V
L2-N:100V
L1-L2:200V
という2種類の電圧が使えます。
● どこで使われている?
一般住宅
小規模店舗
事務所
● 特徴
メリット
100Vと200Vを使い分けられる
エアコンやIHが使える
電力のバランスが良い
デメリット
単相2線式より配線が複雑
👉 日本の家庭用電気の「標準方式」と言えます。
③ 三相3線式(工場や大型設備向け)
● 三相3線式とは?
三相3線式は、3本の電線すべてが電気を持つ方式です。
【三相3線式】
電源 ───(R)───── モーター
電源 ───(S)───── モーター
電源 ───(T)───── モーター
3つの波が順番に力を出すため、回転力が非常に安定します。
● どこで使われている?
工場
エレベーター
ポンプ
コンプレッサー
● 特徴
メリット
大きな力を効率よく使える
モーターがスムーズに回る
電力ロスが少ない
デメリット
一般の家電は使えない
専用設備が必要
👉 「動力用電源」と呼ばれることも多い方式です。
④ 三相4線式(大規模施設の万能型)
● 三相4線式とは?
三相4線式は、三相3線式に中性線(N)を追加した方式です。
【三相4線式】
電源 ───(R)───── 機器
電源 ───(S)───── 機器
電源 ───(T)───── 機器
電源 ───(N)───── 機器
● 何ができる?
三相200V(動力)
単相100V(照明・コンセント)
を同時に使えるのが最大の特徴です。
● どこで使われている?
ビル
商業施設
病院
学校
太陽光・蓄電システムなど
● 特徴
メリット
動力と照明を1系統で供給
設備構成が合理的
大規模建物に最適
デメリット
設計・施工が複雑
管理には専門知識が必要
👉 キュービクル受電でよく採用される方式です。
4方式をまとめて比較
方式 | 線の本数 | 主な用途 |
単相2線式 | 2本 | 小規模・簡易設備 |
単相3線式 | 3本 | 一般住宅 |
三相3線式 | 3本 | 工場・動力 |
三相4線式 | 4本 | ビル・大型施設 |
おわりに
電気の配電方式は、
**「どれが優れているか」ではなく「どこで使うか」**で選ばれます。
家庭では使いやすさ重視の単相3線式
工場では力強さ重視の三相3線式
大型施設では両立できる三相4線式
この違いを知っておくことで、
電気設備の話がぐっと身近になり、
「なぜこの設備が必要なのか」も理解しやすくなります。
電気は見えませんが、
正しい仕組みを知ることで、安全で効率的に使えるエネルギーです。
ぜひ、身の回りの電気設備にも目を向けてみてください。

前田 恭宏
前田です
