
電気工事の現場で日常的に使用する、合成樹脂製の可とう電線管(プラスチック製の曲がる配管)。 その代表格である「PF管」と「CD管」ですが、あなたは現場や設計でこれらを完璧に使い分けられているでしょうか? 「なんとなく余っている方を使おう」 「色が違うだけで、どちらも同じ樹脂管だろう」 もしそのような認識でいると、電気設備技術基準や内線規程に抵触するだけでなく、将来的に大きな施工不良や火災トラブルを引き起こすリスクがあります。 本記事では、PF管とCD管の決定的な違い、それぞれの特徴、そして現場の場所に応じた正しい使い分けの基準を徹底解説します!
PF管とCD管の見た目の最大の違いは「色」ですが、性能における決定的な違いは「自己消火性(じこしょうかせい)の有無」にあります。
自己消火性とは: 火元があるときは燃えるが、火元を離すと自然に火が消える(燃え広がらない)性質のこと。
PF管の最大の特徴は、「自己消火性がある」ことです。万が一、内部を通る電線がショートして火花が散っても、管自体が燃料となって燃え広がるのを防ぎます。
色はアイボリー、ベージュ、黒、グレー、ライトブラウンなど、建物の外壁や内装に馴染みやすいカラーバリエーションが豊富です。
CD管の最大の特徴は、「自己消火性がない」ことです。ひとたび火がつくと、激しく燃え続けてしまいます。
色は一目でそれとわかる「鮮やかなオレンジ色」のみです。
これには「コンクリートの中に埋設されている電線管である」ということを周囲の作業員に知らせる、警告色の意味があります。
結論から言うと、CD管をコンクリート以外の場所(外壁への露出や、天井裏・壁の中の隠蔽部)に使用することは、原則として内線規程で禁止されています。
「安いから」「手元にあるから」という理由でCD管を露出配線に使ってしまうケースが稀に見られますが、これには以下の2つの重大なリスクがあります。
前述の通り、CD管には自己消火性がありません。
木造住宅の壁の中や、可燃物がある天井裏にCD管を使用し、そこでトラッキング現象や過負荷によるショートが発生した場合、CD管を伝って建物全体に火が燃え広がる大火災になりかねません。
CD管はコンクリートに埋め込まれることを前提に作られているため、日光(紫外線)に対する耐性(耐候性)がまったくありません。
もしCD管を屋外の太陽光が当たる場所に露出で施工すると、わずか数年で表面がパサパサになり、手で触るだけで粉々に砕けるほど劣化してしまいます。
中の電線がむき出しになり、雨水が侵入して漏電・感電の原因になります。
では、実際の工事現場ではどのように使い分ければよいのでしょうか。施工場所別に正解ルートをまとめました。
選ぶべき管: PF管(黒やグレー)
解説: 屋外への露出配管は、紫外線に強いPF管の一択です。さらにPF管には、1層構造の「PFS」と、2層構造の「PFD」があります。
直射日光が過酷に当たる屋外や、美観を重視する現場では、より耐候性が高く頑丈な2層構造のPFD(色は黒やグレーが特に紫外線に強い)を選定するのがプロの標準です。
選ぶべき管: PF管(アイボリーやベージュ)
解説: 見えない場所ですが、万が一の電気火災を防ぐために自己消火性のあるPF管を使用します。
日光は当たらないため、コストを抑えられる1層構造(PFS)の一般的なPF管で問題ありません。
選ぶべき管: CD管(オレンジ色)
解説: コンクリートの中に完全に埋め込んでしまう場合は、CD管の独壇場です。
コンクリートの内部は酸素が遮断されるため、自己消火性がなくても燃え広がる心配がありません。
また、CD管はPF管よりも価格が安価で、管自体が柔らかく曲げやすいため、入り組んだスラブ配管の作業効率を大幅にアップさせてくれます。
ここまでの内容を、設計や発注時に役立つ比較表にまとめました。
設置場所 | 使用できる管 | 理由と注意点 |
コンクリート埋設 | CD管 ◎ / PF管 ○ | コストと施工性の面から、オレンジ色のCD管がベストです。 |
屋内の露出・隠蔽 | PF管 ◎ / CD管 × | 火災防止(自己消火性)のため、必ずPF管を使用します。 |
屋外の露出配管 | PF管(特に黒・グレー) ◎ | 紫外線対策のため。より長持ちさせたい場合は2層構造(PFD)推奨。 |
【設計・施工のワンポイント】
「どうしても資材の管理をシンプルにしたい」「誤施工を絶対に防ぎたい」という場合は、すべての現場をPF管一択で統一するというのも一つの手です。
PF管はCD管の上位互換であるため、コンクリートに埋設しても何の問題もありません(コストはやや上がりますが、安全確実です)。
PF管とCD管は、見た目や価格だけでなく、「自己消火性の有無」と「耐候性の有無」という、安全に関わる重要な性能差があります。
外に出る場所、見えない壁の中 ➔ 「PF管」
コンクリートの中 ➔ 「CD管」
この原則を徹底し、安全で確実な電気工事を行いましょう。
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