B2B/B2C専門 電材通販サイト デンザイゼウス
Denzaizeus Logo
ログイン

パスワードを忘れた方

アカウントを作成するだけで、すぐに見積依頼が可能です。アカウントをお持ちのお客様には、表示金額よりお得な金額が提示されることも多いです。是非サインアップの上、当サイトをご利用ください。
初めて DENZAI-ZeuS | 電材ゼウス をご利用ですか?
KIPとPDC、その決定的な違いと使い分けの極意

KIPとPDC、その決定的な違いと使い分けの極意

26/02/19 11:21

高圧受電設備に不可欠な絶縁電線、KIPとPDCは材質と用途が異なります。 KIP(ゴム系): 非常に柔軟で、狭いキュービクル内の複雑な配線に最適です。熱に強い反面、経年劣化で硬化し、油に弱い性質があります。 PDC(ポリエチレン系): 硬く頑丈で、耐候性に優れています。主に電柱からの引下線や屋外の直線配線に使用されます。 施工時は、狭小部の取り回しならKIP、屋外露出部ならPDCという「適材適所」の選定が重要です。両者の特性を理解し、劣化のサインを見極めることが設備の安全運用に繋がります。

高圧配線の「適材適所」を極める:KIPとPDC、その決定的な違いと使い分けの極意

はじめに

日本のインフラを支える電気設備において、高圧受電設備(キュービクル)は心臓部とも言える重要な役割を担っています。その心臓部の中で、トランス(変圧器)や遮断器、断路器といった各機器を繋ぐ「血管」の役割を果たしているのが、高圧絶縁電線です。

電気工事の設計図面や現場の仕様書で頻繁に目にする**「KIP」「PDC」**。

どちらも高圧(6600V)を扱うための電線ですが、「どちらを使っても同じ」というわけではありません。これらは絶縁体の材質が異なり、それによって許容電流、柔軟性、そして寿命の現れ方が大きく変わってきます。

本稿では、この2つの電線の構造的違いから、メリット・デメリット、さらには具体的な施工場所の選定基準まで、コラム形式で詳しく解き明かしていきます。

1. KIP(高圧機器内配線用エチレンプロピレンゴム絶縁電線)とは

まずは、古くから現場で愛用されている「KIP」から見ていきましょう。

構造と特徴

KIPは、導体の上に**エチレンプロピレンゴム(EPR)を絶縁体として被覆した電線です。 最大の特徴は、何といってもその「柔軟性」**にあります。ゴムをベースとした素材であるため、非常にしなやかで、狭いキュービクル内での取り回しに優れています。

KIPのメリット

  1. 抜群の施工性: ゴム特有の柔らかさがあるため、急峻な曲げ加工が必要な箇所でもストレスなく配線できます。

  2. 熱に強い: 連続最高許容温度が**90℃**と高く、大電流が流れる回路でも安定して使用できます。

  3. 接続の容易さ: 被覆が剥ぎ取りやすく、端子加工がスムーズに行えます。

KIPのデメリット

  • 経年劣化の外見判断が難しい: ゴム素材であるため、長年使用すると内部から硬化が進みますが、表面に亀裂が入るまで劣化に気づきにくいという特性があります。

  • 耐油性の弱点: 油に弱いため、万が一トランスの油などが付着すると劣化が早まる恐れがあります。

2. PDC(高圧引下用架橋ポリエチレン絶縁電線)とは

次に、近年の主流となりつつある「PDC」について解説します。

構造と特徴

PDCは、導体の上に**架橋ポリエチレン(XLPE)**を絶縁体として被覆したものです。

CVケーブル(電力ケーブル)と同じ素材をベースにしており、電気的特性と物理的強度のバランスに優れています。

PDCのメリット

  1. 優れた電気絶縁特性: 架橋ポリエチレンは絶縁耐力が高く、電気的な信頼性が非常に高い素材です。

  2. 耐候性と耐薬品性: 屋外(引下用)での使用を想定しているため、紫外線や化学物質による劣化に対して強い耐性を持ちます。

  3. 劣化の視認性: ゴムに比べると、表面の白化や微細なクラックなど、劣化の兆候が比較的捉えやすい傾向にあります。

PDCのデメリット

  • 硬さ(剛性): KIPに比べると素材が硬いため、曲げ半径を大きく取る必要があり、狭小スペースでの配線には技術と工夫が必要です。

  • 許容温度の差: 一般的に許容温度は90℃とされていますが、素材の性質上、極端な過負荷時の挙動がKIPとは異なります。

3. KIPとPDCの徹底比較

両者の違いを理解するために、主要な項目を比較表にまとめました。

項目

KIP (ゴム系)

PDC (ポリエチレン系)

主な絶縁体

エチレンプロピレンゴム

架橋ポリエチレン

柔軟性

非常に高い(柔らかい)

低い(硬い)

主な用途

キュービクル内配線

高圧引下、機器間連絡

耐候性

普通

高い

許容温度

90℃

90℃

施工のしやすさ

容易(狭い場所向き)

やや難(広い場所向き)

4. どのような場所で使い分けるべきか?

「どちらが優れているか」ではなく、「どこに最適か」を考えるのがプロの視点です。

KIPが推奨されるケース

  • 小型キュービクルの内部配線:

スペースが限られている受電設備内では、LBS(高圧交流負荷開閉器)からトランスへの接続など、短い距離で複雑に曲げる必要があります。この場合、柔軟なKIP一択と言っても過言ではありません。

  • 振動が多い場所:

ゴムの弾性が振動を吸収しやすいため、特定の機械設備に付随する配線などで有利に働くことがあります。

PDCが推奨されるケース

  • 電柱からの引下線:

もともとPDCの「P」は「Pole(柱)」からきている通り、架空線から受電設備へと引き下ろす箇所に最適です。日光や雨風にさらされる環境では、PDCの耐候性が威力を発揮します。

  • 長距離のピット配線:

建物内のピット(溝)を這わせるような比較的直線的な配線では、物理的な強度が高いPDCが好まれます。

5. 現場で知っておきたい「劣化」と「交換時期」のサイン

高圧電線は、見た目が綺麗でも内部で「静かなる老化」が進んでいます。事故を未然に防ぐためのチェックポイントを挙げます。

KIPの劣化サイン

KIPは古くなると「カチカチ」に硬くなります。

定期点検時、停電状態で電線に軽く触れた際(あるいは点検棒で触れた際)、柔軟性が失われ、プラスチックのように硬くなっていたら交換の検討時期です。また、表面に白い粉が吹いたようになっている「ブルーム現象」も注意が必要です。

PDCの劣化サイン

PDCの場合、表面の微細なひび割れ(亀裂)に注目します。特に、曲げ加工を施した外周側に「カラスの足跡」のような小さなヒビが見え始めたら、絶縁破壊のリスクが高まっています。

【水トリー現象への注意】

ポリエチレン系の絶縁体(PDCやCVケーブル)において最も恐ろしいのが、微細な水分が絶縁体内部に浸入して樹枝状に劣化が進む「水トリー現象」です。湿気の多い地下ピットなどに配線する場合は、末端の防水処理を徹底することが寿命を延ばす鍵となります。

6. まとめ:安全性と信頼性のための選択

KIPとPDC。どちらも現代の高圧受電設備において欠かせない存在です。

  • 「曲げ」と「施工性」のKIP

  • 「耐候性」と「信頼性」のPDC

この特性を正しく理解し、設計・施工に反映させることで、設備の寿命は確実に延び、突発的な停電事故のリスクを最小限に抑えることができます。

かつては「とりあえずKIPで」という風潮もありましたが、現在は環境負荷やコスト、メンテナンス性を考慮し、屋外露出部には必ずPDCを使用し、内部配線のみをKIPにするといった使い分けが標準化されています。

電気技術者として、あるいは設備管理者として、目の前の電線が「なぜその種類なのか」を問い直すこと。それが、安全な電気利用を支える第一歩となるのです。

Profile picture of 前田 恭宏
前田 恭宏
前田です

質問投稿
このページの内容はいかがだったでしょうか?
ログイン

パスワードを忘れた方

アカウントを作成するだけで、すぐに見積依頼が可能です。アカウントをお持ちのお客様には、表示金額よりお得な金額が提示されることも多いです。是非サインアップの上、当サイトをご利用ください。
初めて DENZAI-ZeuS | 電材ゼウス をご利用ですか?