
高圧受電サービスとは?設備管理と電力コストを同時に見直す新しい選択肢
高圧受電サービスとは、事業者が高圧受電設備を自ら保有・管理することなく、設備の設計・施工、保安管理、法令対応、メンテナンスまでを月額定額で一括して任せられるサービスです。初期投資が不要で、電気設備の管理負担や突発的な修繕コストを抑えられる点が大きな特長です。特に電力使用量の多い物流拠点や事業所、複数拠点を運営する企業では、業務効率化と電力コスト削減の両立が期待できます。電力調達方法と組み合わせることで、コスト最適化や再生可能エネルギー活用にもつながり、電力インフラを経営視点で見直す有効な選択肢といえます。
高圧受電サービスとは?設備管理と電力コストを同時に見直す新しい選択肢
― 設備更新・管理負担・電力コストを一体で見直す ―
物流拠点や中規模以上の事業所やチェーン展開の店舗などでは、日々の業務を支える電力インフラの在り方が、経営効率に大きく影響します。特に老朽化した電気設備の更新、保安管理体制の維持、電力料金の高騰といった課題は、多くの事業者が共通して抱える悩みです。
こうした課題に対する有効な解決策の一つとして、近年注目されているのが「高圧受電サービス」です。本コラムでは、高圧受電の基本的な考え方から、従来型の設備所有との違い、導入によるメリット、そして事業者にとっての実務的な価値について解説します。
高圧受電とは何か
高圧受電とは、電力会社から6,600Vの高圧電力を受電し、構内に設置したキュービクル(高圧受変電設備)で低圧に変圧して使用する電力契約形態です。一定規模以上の電力使用量がある事業所では、低圧契約よりも電力単価を抑えられる可能性があります。
一方で、高圧受電には設備の設置・更新、電気主任技術者の選任、法定点検、各種届出といった専門的な管理業務が不可欠です。この「管理負担」が、高圧化をためらう要因になってきました。
従来型の「設備所有型」高圧受電の課題
従来、高圧受電を導入する場合、事業者自身がキュービクルを購入・設置し、資産として保有・管理するのが一般的でした。しかしこの方式には、以下のような課題があります。
初期投資が高額
設備調達および設置工事には、数百万円から場合によっては一千万円を超える費用が発生します。保安管理の煩雑さ
定期点検や停電点検、緊急時対応などを自社で手配・管理する必要があります。法令対応の負担
保安規定の作成・届出、主任技術者の選任、技術基準適合維持など、電気事業法に基づく対応が求められます。資産管理・税務対応
固定資産としての管理や固定資産税の支払い、帳簿管理が発生します。
これらは本来の事業活動とは直接関係しない「間接業務」であり、現場や管理部門にとって大きな負担となりがちです。
高圧受電サービスとは
高圧受電サービスは、こうした課題を解消するために生まれた仕組みです。
設備をサービス提供事業者が所有し、設計・施工から保安管理、メンテナンス、各種届出までを一括して担います。利用者は月額のサービス料金を支払うことで、高圧受電のメリットだけを享受できます。
いわば「高圧受電のサブスクリプション型モデル」と言えるでしょう。
導入による主なメリット
1. 初期投資が不要
設備はサービス事業者が所有するため、導入時に多額のイニシャルコストが発生しません。資金を本業や成長投資に回すことが可能になります。
2. 管理業務の大幅な軽減
電気設備の点検、緊急対応、部品交換などは専門事業者が対応します。全国対応体制を備えたサービスであれば、24時間365日の保安体制を構築することも可能です。
3. 法令・届出対応を一元化
事業用電気工作物に関する各種届出や書類作成、提出業務を任せることで、管理部門の負担を軽減できます。法令遵守の確実性が高まる点も大きなメリットです。
4. コストの平準化と見える化
設備更新費、保安費、メンテナンス費、固定資産税相当分などが月額料金に含まれるため、支出が平準化されます。突発的な修繕費用に悩まされることもありません。
物流や多店舗の拠点との親和性
特に物流施設や多店舗展開の店舗、工場、倉庫などでは、以下のような理由から高圧受電サービスとの相性が高いと言えます。
日中の電力使用量が多く、高圧契約の恩恵を受けやすい
複数拠点を展開しており、設備管理を標準化したい
現場の安定稼働が最優先で、停電リスクを最小化したい
管理部門の業務効率化が経営課題になっている
電力インフラを「自前で抱えるもの」から「外部に任せるもの」へと位置づけを変えることで、経営資源の最適配分が可能になります。
電力調達と組み合わせた新たな可能性
近年では、高圧受電サービスに加え、市場連動型の電力調達や再生可能エネルギーの活用を組み合わせたプランも登場しています。電力市場から柔軟に電力を調達し、非化石証書と組み合わせることで、実質再生可能エネルギー100%の運用を目指すことも可能です。
コスト削減と環境配慮を同時に実現できる点は、今後ますます重要になるでしょう。
まとめ
高圧受電サービスは、単なる電気設備のアウトソーシングではありません。
それは「電力インフラ管理を経営視点で再設計する」ための選択肢です。
設備更新のタイミングや、電力コスト・管理負担に課題を感じている事業者にとって、高圧受電サービスは検討に値する有効なソリューションと言えるでしょう。

前田 恭宏
前田です
