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高圧コンデンサーと直列リアクトルの役割と導入の背景

高圧コンデンサーと直列リアクトルの役割と導入の背景

25/10/15 11:13

高圧コンデンサーは力率改善に有効ですが、高調波との共振による事故リスクがあります。直列リアクトルはこのリスクを抑え、コンデンサーの保護や電力品質向上に貢献します。近年、電力会社は高調波対策として設置を要請しており、企業は安全性・信頼性の確保のためにも前向きな導入対応が求められています。

高圧コンデンサーと直列リアクトルの役割と導入の背景

はじめに

電力システムの安定運用は、産業活動や社会生活において欠かせない要素です。特に、工場やビルなどで多く使われる高圧受電設備では、電力の品質や効率性の向上を目的に「高圧コンデンサー(電力用コンデンサ)」の設置が進められてきました。しかし、近年ではこの高圧コンデンサーに加え、「直列リアクトル(直列リアクタ)」を一緒に設置するよう、電力会社からの要請が強まっています。

このコラムでは、まず高圧コンデンサーと直列リアクトルの基礎知識について解説し、その後、電力会社が直列リアクトルの設置を要請する理由やその背景、そして企業側がどのように対応すべきかについて詳しく説明します。

高圧コンデンサーとは

高圧コンデンサーとは、主に高圧受電設備において無効電力(力率の悪化要因)を補償し、電力の使用効率を改善するために用いられる機器です。電動機や変圧器などの誘導性負荷が多い工場や施設では、進相コンデンサー(進みの無効電力を供給するコンデンサー)を設置することで、力率改善と電力料金の削減が可能となります。

高圧コンデンサーの主な効果:

  • 力率の改善:電力会社との契約で定められた力率(通常85%以上)を維持することで、力率割引を受けられます。

  • 変圧器の負担軽減:変圧器や配電設備に流れる電流を削減でき、設備寿命の延命にも寄与します。

  • 電圧の安定化:電源系統の電圧降下を抑え、安定した電力供給を可能にします。

直列リアクトルとは

直列リアクトルは、コンデンサーと電源との間に直列に接続することで、特定の周波数の高調波を抑制したり、突入電流を制限したりするためのリアクトル(コイル)です。高圧コンデンサーに直列接続することで、系統に悪影響を及ぼす高調波の共振を抑える役割を担っています。

直列リアクトルの主な機能:

  • 高調波共振の防止:高調波電流がコンデンサーと電力系統で共振を起こし、過電流や過電圧になるのを防止。

  • 突入電流の制限:コンデンサー投入時の突入電流を抑えることで、設備や遮断器の損傷を防止。

  • コンデンサーの保護:寿命延長や過熱・破損リスクの低減につながります。

直列リアクトルは、通常「6%直列リアクトル」と呼ばれる6%インピーダンス(基準容量に対して6%のインピーダンス)を持つタイプが多く採用されています。

電力会社が直列リアクトルの設置を要請する理由

かつてはコンデンサー単体の設置が一般的でしたが、現在では多くの電力会社が直列リアクトルの併設を「推奨」から「必須」へと姿勢を変えてきています。その背景には、以下のような技術的・制度的な課題があります。

1. 高調波障害の増加

近年の工場やビルでは、インバーター、無停電電源装置(UPS)、LED照明などの電力電子機器の使用が急増しています。これらの機器は高調波電流を発生させやすく、電力系統に流入すると、コンデンサーと共振を起こし、異常な過電流・過電圧を引き起こす恐れがあります。

この共振現象によって、コンデンサーの絶縁劣化や爆発事故、遮断器の誤動作などの事故が実際に各地で発生しており、社会的にも無視できない問題となっています。

2. 系統の高調波管理強化

日本の電力系統では、JEC(日本電気技術規格)やJIS(日本工業規格)などにより高調波の管理が強化されており、ユーザーが自社の設備から高調波を過剰に流出させないように求められています。これに違反すると、改善命令や最悪の場合は供給停止の措置も取られる可能性があります。

直列リアクトルは、これらの高調波抑制策として非常に有効であり、電力会社としてもユーザーに対してその導入を要請するのは自然な流れです。

3. 事故リスクと保守費用の削減

高調波による事故は、最悪の場合、設備全体の停止や火災につながる可能性もあります。こうした事故が発生すると、電力会社にも責任の一端が問われかねず、その対応や補償にも多大なコストが発生します。

そのため、事前に直列リアクトルを設置してもらうことで、事故リスクを低減し、結果的に電力会社・需要家双方のコストやリスクを抑えることができます。

実際の設置義務化の動き

例えば、関西電力、東京電力、中部電力などの大手電力会社では、2020年代以降、受電設備における高圧コンデンサーへの直列リアクトル設置を設計段階から要求するようになってきています。

  • 新設時:新規にコンデンサーを設置する場合、直列リアクトルの設計が求められる。

  • 更新時:既設コンデンサーの更新時に、リアクトル併設を推奨もしくは義務付け。

  • 指摘対応:系統への高調波の影響が大きいと判断された場合、後付けでの設置を求められるケースも。

企業側の対応とメリット

電力会社の要請に対応するには、当然ながら設備投資が必要です。しかし、以下のようなメリットも得られます。

● 設備の長寿命化

高調波や突入電流による損傷を抑えることで、コンデンサーや遮断器などの主要機器の寿命が延びます。

● 電力品質の改善

他の機器にも悪影響を与えにくくなり、電力品質が向上。設備トラブルが減少します。

● 設備保守の容易化

トラブル頻度が減ることで、保守や点検の効率化が可能になります。

● 電力会社との良好な関係

高調波対策に積極的に取り組む姿勢は、電力会社からの信頼や協力関係の構築にもつながります。

まとめ

高圧コンデンサーは電力使用効率の改善に欠かせない機器ですが、単体で使用することによるリスクもまた無視できません。特に近年の高調波環境下では、直列リアクトルの併設がますます重要になってきています。

電力会社が直列リアクトルの設置を要請する背景には、高調波障害の防止や設備事故の予防といった、安全で安定した電力供給を維持するための確固たる理由があります。企業側としても、短期的なコストだけでなく、中長期的な設備保護やリスク回避の観点から、その必要性を正しく理解し、前向きに対応していくことが求められます。

Admin
前田 恭宏
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