
高圧受電の一括サービスとは何か 電気を「まとめて賢く使う」時代へ
高圧受電の一括サービスとは、建物全体で高圧電力を一括受電し、構内で各テナントや住戸へ配電・管理する仕組みです。電力をまとめて契約することで単価を下げられ、電気料金削減や契約・請求管理の効率化、省エネ対策やBCP強化につながる点が大きなメリットです。一方、高圧設備トラブル時の停電影響が建物全体に及ぶことや、初期投資・更新費用、導入時の合意形成が課題となります。大規模マンションや商業施設など、使用電力量が多い建物ほど効果を発揮する仕組みです。
電気を「まとめて賢く使う」時代へ
高圧受電の一括サービスを完全解説
■ はじめに:電気料金は「使い方」だけでなく「受け方」で変わる
電気料金の高騰、省エネ要請、脱炭素社会への移行──。 こうした背景の中で、近年あらためて注目されているのが**「高圧受電の一括サービス」**です。
多くの企業やマンション、商業施設では、 「電気は電力会社からそのまま各テナント・各戸へ供給されるもの」 と考えられがちですが、実は電気の受け方を変えるだけで、コスト構造や管理体制が大きく変わるケースがあります。
本コラムでは、
高圧受電一括サービスのしくみ
誕生の歴史と背景
メリット・デメリット
導入に向いている施設
を、できるだけ専門用語を避け、図解イメージを交えながらわかりやすく解説します。
■ 高圧受電とは何か?まずは基本から
● 低圧受電と高圧受電の違い
電気の受電方式は、大きく分けて次の2つがあります。
低圧受電:100V/200Vで直接受電(一般家庭・小規模店舗)
高圧受電:6,600Vで受電し、構内で変圧(工場・ビル・マンション)
高圧受電では、敷地内に**キュービクル(高圧受電設備)**を設置し、 そこで電圧を下げて各設備・各区画へ電気を供給します。
【電力会社】
│ 6,600V
▼
【キュービクル】───▶【各負荷(照明・空調・動力)】
この方式は、契約電力が大きい施設ほど電気料金単価が安くなるという特徴があります。
■ 高圧受電の「一括サービス」とは?
● 一括受電の考え方
高圧受電の一括サービスとは、
建物全体でまとめて高圧受電し、その電気を各テナント・各住戸へ一括して供給・管理する仕組み
のことを指します。
通常のマンションや複合ビルでは、
【電力会社】→【各戸・各テナントと個別契約】
となっていますが、一括受電では次のように変わります。
【電力会社】
│ 高圧契約(1本)
▼
【建物管理者(受電事業者)】
│
├─▶ テナントA
├─▶ テナントB
└─▶ 共用部
電力会社と契約するのは建物側(管理者・事業者)だけとなり、 各利用者は建物側から電気を受け取る形になります。
■ 高圧一括受電サービスの歴史と背景
● 誕生の背景:電力自由化より前から存在
高圧一括受電の考え方自体は、 実は電力自由化(2000年代)以前から存在していました。
大規模工場
官公庁施設
病院・大学
などでは、早くから 「まとめて受電し、内部で配電する」方式が採用されていたのです。
● マンション・商業施設に広がった理由
2010年代に入り、この仕組みが マンションや商業ビル向けサービスとして拡大した理由は以下です。
電力料金の上昇
電力自由化による事業参入の増加
管理コスト削減ニーズの高まり
特に分譲マンションでは、 「全戸まとめることで電気代が下がる」という点が注目され、 一括受電サービスが急速に普及しました。
■ 高圧受電一括サービスのメリット
① 電気料金の削減効果が大きい
最大のメリットは、電気料金の低減です。
高圧契約による単価の低下
契約電力の集約による効率化
これにより、 各戸・各テナントが個別に低圧契約するよりも安価になるケースが多くあります。
② 電力契約・請求の一本化
電力会社との契約は1本
請求・支払い管理も一本化
建物管理者側にとっては、 管理の見える化・簡素化につながります。
③ 共用部と専有部を一体で管理できる
共用照明・エレベーター・空調なども含めて 電力使用状況を一元管理できるため、
省エネ対策
ピーク電力抑制
が実施しやすくなります。
④ 非常用電源・BCPとの相性が良い
高圧受電設備を中心に設計されるため、
非常用発電機
蓄電池
との連携がしやすく、 災害対策(BCP)強化にもつながります。
■ 高圧受電一括サービスのデメリット
① 停電時の影響範囲が大きい
高圧設備にトラブルが発生すると、
建物全体が停電する
リスクがあります。
そのため、
保守体制
点検品質
が極めて重要になります。
② 初期投資・更新費用が必要
キュービクル設置
受変電設備の更新
といった設備投資コストは避けられません。
特に築年数が経過した建物では、 更新計画を含めた長期視点が必要です。
③ 利用者の同意・契約調整が必要
マンションなどでは、
全戸同意
契約形態の変更
が導入条件となるケースも多く、 合意形成のハードルが課題になることがあります。
■ 導入に向いている施設とは?
高圧受電一括サービスは、 すべての建物に向いているわけではありません。
● 向いているケース
大規模マンション
テナント数の多い商業ビル
工場・物流施設
病院・福祉施設
● 向いていないケース
小規模建物
使用電力量が少ない施設
将来的な用途変更が頻繁な建物
■ まとめ:電気は「インフラ」から「経営資源」へ
高圧受電の一括サービスは、 単なる電気料金削減策ではありません。
コスト構造の最適化
設備管理の高度化
災害対応力の向上
といった、建物価値そのものを高める仕組みです。
電気を「ただ使うもの」ではなく、 戦略的に管理する経営資源として捉える──。
それが、高圧受電一括サービスの本質と言えるでしょう。
※導入検討の際は、電気主任技術者・設備業者・管理会社と連携し、 建物特性に合った設計・契約形態を慎重に検討することが重要です。
高圧受電やキュービクル式高圧受電設備について、仕組み・役割・導入のポイントをより詳しく知りたい方は、こちらの記事もぜひご覧ください。設備の基本からメリット・注意点までわかりやすく解説されています ➤ キュービクルとは?高圧受電設備の役割とメリット・注意点を解説(reformhiyo.com)
前田 恭宏
前田です
