
キュービクルは本当に必要?導入の境界線と高圧・低圧契約のコスト対決
キュービクルとは、高圧電気(6600V)を使える電圧に変換する設備で、契約電力50kW以上の場合に必要となります。導入すると単価の安い「高圧契約」が可能になり電気代削減が見込めますが、初期費用や法定点検等の維持費が発生します。一方、50kW未満は設備不要ですが単価は割高です。 導入の判断は、使用量とトータルコストのバランスが鍵となります。設備計画やコスト試算のご相談は、小川電機株式会社 担当:前田(0120-855-086)までお気軽にお問い合わせください。
【電気のプロが解説】キュービクルは本当に必要?導入の境界線と高圧・低圧契約のコスト対決
街中のビルや工場の敷地内で、「変電設備」と書かれた金属製の箱を見かけたことはありませんか?あれが**「キュービクル(キュービクル式高圧受電設備)」**です。
新たに事業所を立ち上げたり、工場の設備を増強したりする際、「うちにキュービクルは必要なのか?」「導入すると何が変わるのか?」という疑問に直面することがあります。
今回は、キュービクル導入の基準となる「50kWの壁」や、法律上の義務、そして経営に直結するコスト比較について詳しく解説します。
1. そもそもキュービクルとは何か?
一言で言えば、**「発電所から送られてくる強い電気を、建物で使える電気に変換する『自前の』変電所」**です。
発電所から送られてくる電気は6,600Vという非常に高い電圧(高圧)です。しかし、一般的に私たちが照明やコンセント、業務用のエアコンなどで使用するのは100Vや200Vです。
この6,600Vを100V/200Vに下げる(変圧する)役割を担うのがキュービクルです。
なぜ「箱」に入っているのか?
昔の変電設備は、機器がむき出しで金網に囲まれているものが主流でした。しかし、それでは設置に広大なスペースが必要なうえ、感電事故のリスクや小動物の侵入による停電リスクがありました。
それらを金属製の箱(箱=Cube)にコンパクトに収納し、安全性を高めたものが「キュービクル」です。
2. 導入の分かれ道は「契約電力50kW」
では、キュービクルはどのような時に必要になるのでしょうか?
その明確な基準は、**「契約電力が50kW以上か、未満か」**にあります。
50kW未満の場合(低圧受電)
一般家庭やコンビニ、小規模なオフィスなどが該当します。
この場合、電力会社が電柱の上にある変圧器(トランス)で100V/200Vに変圧し、そこから建物に電気を引き込みます。
結論: キュービクルは不要です。
50kW以上の場合(高圧受電)
中規模以上のビル、工場、スーパーマーケット、病院などが該当します。
使用する電気が多くなると、電柱の上の変圧器では容量が足りなくなります。そのため、6,600Vの高圧電気をそのまま敷地内に引き込み、**「自分の敷地内に設置したキュービクルで変圧して使う」**必要が出てきます。
結論: 原則として、キュービクルが必要になります。
3. 低圧契約 vs 高圧契約:徹底比較
キュービクルを導入するということは、電力会社との契約が「高圧電力契約」になることを意味します。ここでは、それぞれのメリット・デメリットを比較します。
① 電気料金単価の違い
これが最大のポイントです。
低圧契約(キュービクルなし):
電力会社が変圧設備を用意・管理するため、そのコストが上乗せされており、電気の単価が高い設定になっています。
高圧契約(キュービクルあり):
需要家(お客様)が自費で設備を用意・管理するため、電力会社側の負担が減ります。その分、電気の単価が大幅に安く設定されています。
【比較イメージ】
「スーパーで小分けパックのお肉を買う(低圧)」のと、「卸売市場でブロック肉を安く仕入れ、自分で調理しやすくカットする(高圧)」の違いに似ています。手間と初期投資はかかりますが、大量に使うなら後者の方が圧倒的にランニングコストは下がります。
② 比較表
項目 | 低圧受電(50kW未満) | 高圧受電(50kW以上) |
主な対象 | 一般家庭、商店、小規模事務所 | 工場、ビル、学校、大型店舗 |
キュービクル | 不要 | 必要 |
電気料金単価 | 割高 | 割安 |
設備投資 | ほぼ不要(引込工事のみ) | 高額(数百万円〜) |
保守管理 | 電力会社が実施 | 自己責任(専門家への委託必須) |
停電時の対応 | 電力会社にお任せ | 自社設備の故障なら自費修理 |
4. 法律と責任:キュービクルを持つということ
50kWを超えてキュービクルを設置すると、その施設は電気事業法において**「自家用電気工作物」**という扱いになります。これには法的な責任が伴います。
① 電気主任技術者の選任義務
法律により、設備の工事・維持・運用の保安監督者として、国家資格を持つ**「電気主任技術者」**を選任しなければなりません。
しかし、中小規模の事業所で専属の技術者を雇うのはコスト的に非現実的です。そのため、通常は「電気保安協会」や「民間の電気管理技術者」に外部委託(アウトソーシング)をして、毎月の点検を行ってもらいます。
② 定期点検の義務
月次点検: 毎月(または隔月)、技術者が訪問し、異音・異臭・外観の異常がないかチェックします。
年次点検: 1年に1回、全館停電をして精密な検査を行います(絶縁抵抗測定など)。
これらは法律で定められた義務であり、怠ると罰則の対象となるだけでなく、火災や波及事故(近隣一帯を停電させてしまう事故)のリスクを高めます。
5. コストの正体:経費項目を洗い出す
「電気代が安くなるなら高圧にしたい」と考える前に、以下のコストをシミュレーションする必要があります。
イニシャルコスト(初期費用)
キュービクル本体価格: 容量によりますが、数百万円~一千万円クラスまで様々です。
設置工事費: 基礎工事、配線工事、搬入費など。
ランニングコスト(維持費)
保安管理委託費: 電気主任技術者(外部委託)へ支払う月額費用(数万円程度~)。
修繕積立費: 機器には寿命があります。
高圧ケーブル: 約15〜20年
変圧器・コンデンサ: 約20〜25年
その他リレーやスイッチ類: 約10〜15年
これらを交換するための費用を計画しておく必要があります。
損益分岐点の考え方
一般的に、**「50kWを少し超える程度」**の使用量であれば、無理に高圧化せず、設備の稼働時間をずらしてデマンド(最大需要電力)を抑えたり、ガス式の空調を導入して電気容量を下げたりして、低圧契約に留まる方がトータルコストが安い場合があります。
逆に、**「70kW〜100kW以上」**コンスタントに使用する規模であれば、電気料金の削減幅が維持管理費を大きく上回るため、キュービクル導入のメリットが確実に出てきます。
6. まとめ:キュービクルは必要か?
結論として、キュービクルが必要かどうかは、お客様の**「電気使用量の総量」と「将来の事業計画」**によって決まります。
これから事業拡大で大型機械をどんどん入れる予定がある
→ 必要です。 早めに高圧受電の計画を立てましょう。
今の契約が48kWくらいで、あとエアコンを1台増やしたい
→ 慎重な判断が必要です。 その1台のために数百万円のキュービクルを導入するのは得策ではないかもしれません。省エネ機器への入れ替えや、運用方法の工夫で低圧のまま維持できる可能性があります。
また、既存のキュービクルが古くなり、「更新(入れ替え)か、低圧化(ダウンサイジング)か」で迷われているケースも増えています。最近のLED化や設備の省エネ化により、昔ほど電気を使わなくなっている建物では、高圧から低圧へ契約を戻す「減設工事」が可能な場合もあります。
最適な電気設備のご提案をいたします
電気の契約形態や設備の規模選定は、専門的な知識がないと判断が難しく、間違った選択をすると長期間にわたり無駄なコストを払い続けることになります。
「現在の電気代が高すぎる気がする」
「設備増強をしたいが、高圧にするべきか迷っている」
「古くなったキュービクルの更新費用に驚いている」
そのようなお悩みをお持ちの方は、ぜひ一度、電気のプロフェッショナルにご相談ください。現状の設備容量を正確に調査し、法令遵守とコスト削減の両面からベストなプランをご提案いたします。
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小川電機株式会社
担当:前田(1級電気施工管理技士)
フリーダイヤル:0120-855-086
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前田 恭宏
前田です
