
電線の電圧降下とは?原因・計算方法・許容値・対策をわかりやすく解説【電気工事・設備設計向け】
電圧降下とは何か 電圧降下とは、電源から負荷(機器)まで電気を送る途中で、電線の抵抗によって電圧が低下する現象のことです。 分電盤では100Vや200Vが確保されていても、配線距離が長かったり電線が細かったりすると、機器側では規定電圧より低い電圧しか供給されない場合があります。 電圧降下は目に見えないため軽視されがちですが、機器トラブル・性能低下・発熱・火災リスクなどにつながる重要な電気設計要素です。
電圧降下が発生する仕組み
電線には必ず電気抵抗が存在します。電流が流れることで、以下の式により電圧が失われます。
電圧降下 = 電流 × 電線抵抗つまり、以下の条件が重なるほど電圧降下は大きくなります。
電流が大きい
電線が長い
電線が細い
特に注意すべき現場例
工場・倉庫・駐車場など配線距離が長い施設
エアコン、モーター、IH、EV充電器などの大電流機器
仮設電源や屋外配線
電圧降下による主な影響・トラブル
機器の性能低下
モーター:トルク低下・起動不良
LED照明:暗くなる・ちらつく機器寿命の短縮
低電圧運転で内部部品へ過大な負荷がかかり故障が早まる異常発熱・火災リスク
電圧が下がる→電流が増える→電線や端子部が発熱クレーム・施工不良扱い
「新品なのに動かない」「暗い」「止まる」などの原因に
電圧降下の計算方法
回路方式 | 計算式 |
|---|---|
単相2線式(100V) | 2 × 電線抵抗(Ω/km) × 配線長(km) × 電流(A) |
三相3線式(200V) | √3 × 電線抵抗(Ω/km) × 配線長(km) × 電流(A) |
※ 電線抵抗値は電線のサイズ・材質(銅/アルミ)により異なります。
電圧降下の許容値(基準)
内線規程(JEAC8001)が基準
回路区分 | 電圧降下許容値 |
|---|---|
幹線 | 定格電圧の2%以内 |
分岐回路 | 定格電圧の2%以内 |
幹線+分岐合計 | 4%以内 |
100V回路 → 最大4Vまで
200V回路 → 最大8Vまで
この範囲内に抑えることが安全で安定した電気設備の基本です。
電圧降下が大きくなりやすいケース
長距離配線(屋外・別棟供給)
仮設電源・イベント用電源
小容量ブレーカーに対し大負荷
細径電線の流用
増設を繰り返した既設設備
特に既存設備の増設時は、設計条件が崩れている場合が多く、再計算が不可欠です。
電圧降下を防ぐ主な対策
電線サイズを太くする
太線への変更(例:2.0sq → 3.5sq → 5.5sq)で抵抗減配線距離を短くする
分電盤位置の見直し、負荷近くに盤配置回路を分ける
負荷分散&専用回路化で電流抑制電圧の高い方式を採用
100Vより200V、単相より三相が有利

電気工事・設計で電圧降下を考慮すべき理由
機器メーカー仕様の順守
施主・ユーザーの満足度向上
クレーム・やり直し工事の防止
法令・内線規程への適合
ブレーカー容量は合っているのに不具合が出る――
その多くが見落とされた電圧降下です。
まとめ|電圧降下は“見えない品質”
完成後には見えませんが、電線の電圧降下は設備の安全性・信頼性・寿命を左右する重要要素です。
以下を正しく把握し、設計段階から計算することがトラブル防止の基本です。
配線距離
電線サイズ
負荷電流
電圧降下を理解し、適切に対策ができることは電気工事・設備設計のプロフェッショナルの証です。
小原 一馬
経営企画室
