
非常用発電機の騒音対策
非常用発電機の騒音トラブルは、実は定期点検時に多発します。原因はエンジンの排気音や振動で、騒音規制法等の基準を守らない場合、改善命令等のリスクもあります。 効果的な対策には、民家から離れた場所への設置、高性能な防音パッケージや防音ルーバーの採用、防振ゴムによる振動遮断が不可欠です。また、経年劣化で騒音が増した場合は、マフラー交換等のメンテナンスも有効です。 地域環境に合わせた最適な防音対策のご相談は、小川電機株式会社(担当:前田、0120-855-086)までお気軽にご連絡ください。
【非常用発電機の騒音対策】近隣トラブルを防ぐための基礎知識と対策法
BCP(事業継続計画)の重要性が高まる昨今、オフィスビルや病院、工場、マンションにおいて「非常用発電機」の設置は必須条件となりつつあります。しかし、導入時や運用において意外と見落とされがちなのが**「騒音問題」**です。
「非常時なんだから、音がうるさいのは仕方ない」
そう思われるかもしれませんが、実は非常用発電機に関する苦情の多くは、災害時ではなく**「定期点検時」**に発生しています。また、法的な規制も厳しく、適切な対策を怠ると設置自体が認められない、あるいは改善命令が出るといったリスクもあります。
本コラムでは、非常用発電機の騒音が発生するメカニズムから、法的な規制、そして効果的な防音対策まで、施設管理者が知っておくべき情報を網羅的に解説します。
1. なぜ非常用発電機は「うるさい」のか?
非常用発電機が稼働すると、一般的に**80dB〜100dB(デシベル)**程度の騒音が発生します。 これは例えるなら、「地下鉄の車内(80dB)」から「電車が通過するガード下(100dB)」に相当する大きさです。
なぜこれほどの音が出るのでしょうか。主な発生源は以下の3つに分類されます。
① エンジン排気音(排気騒音)
最も大きな音の要因です。ディーゼルエンジンなどが燃料を燃焼させ、高圧のガスを排出する際に強烈な破裂音(脈動音)を生み出します。特に低周波成分を含んでおり、遠くまで届きやすい特徴があります。
② 機械的稼働音(透過騒音)
エンジン本体のピストン運動、ファンベルトの回転、冷却ファンの風切り音などが混ざり合った音です。これらが筐体(パッケージ)を透過して周囲に拡散します。
③ 振動による固体伝搬音
意外と厄介なのが「振動」です。重いエンジンが動く振動が、設置された床や壁、梁(はり)を伝わり、建物全体を震わせます。これが離れた部屋で「ブォーン」という不快な重低音として聞こえる現象です。
2. 知っておくべき「騒音規制法」と法的基準
非常用発電機を設置する際、もっとも注意しなければならないのが**「騒音規制法」および各自治体の「環境確保条例」**です。
ディーゼルエンジンなどを動力とする発電機は、法律上の「特定施設」に該当する場合が多く、敷地境界線における騒音レベルが厳しく規制されています。
用途地域による基準の違い
規制値は、その場所が「どのような地域か」によって異なります。
第1種・第2種区域(住居専用地域など): もっとも厳しい基準が適用されます。昼間でも50〜60dB以下、夜間に至っては40〜45dB以下(図書館の中レベル)に抑えることが求められるケースもあります。
第3種・第4種区域(商業・工業地域など): 比較的緩和されますが、それでも60〜70dB程度の基準値が設けられています。
届出の義務
一定規模以上の発電機(出力7.5kW以上など、自治体により異なる)を設置する場合、工事開始の30日前までに都道府県知事(または市区町村長)への届出が必要です。この際、騒音予測データの提出を求められることがあり、「対策なし」では受理されない可能性があります。
3. よくあるトラブル事例:点検時の「落とし穴」
冒頭でも触れましたが、騒音トラブルの9割は**「平常時の試運転・点検」**で起きています。
非常用発電機は、消防法により定期的な負荷運転や試運転が義務付けられています。月に一度、あるいは半年に一度、エンジンを始動させて点検を行いますが、この数十分間が近隣住民にとってはストレスとなります。
事例A: マンションの屋上に設置したが、振動が最上階の住戸に伝わり、クレームが発生。
事例B: 病院の裏手に設置したが、隣接する住宅街に向かって排気口が向いており、点検のたびに通報される。
事例C: 老朽化した発電機のマフラーが腐食し、導入当初よりも爆音が出るようになってしまった。
特に、「低周波騒音(重低音)」は窓を閉め切っていても室内に侵入しやすく、体調不良を訴える住民が出るなど、深刻な近隣トラブルに発展するケースがあります。
4. 効果的な騒音対策:新規設置から改修まで
では、具体的にどのような対策を行えばよいのでしょうか。「空気伝搬音(空気を伝わる音)」と「固体伝搬音(建物を伝わる音)」のそれぞれに対策が必要です。
① 設置場所の工夫(距離減衰)
音は距離が倍になれば約6dB下がると言われています(点音源の場合)。可能な限り、隣地境界線や近隣の居室から離れた場所に設置することが基本です。屋上設置の場合は、排気口の向きを民家のない方向へ向けるだけでも効果があります。
② 高性能な「防音パッケージ(エンクロージャー)」の採用
最近の非常用発電機は、メーカー標準で防音カバー(ボンネット)がついていますが、設置環境に応じて「低騒音型」「超低騒音型」を選ぶことが重要です。 さらに防音性を高める場合、発電機全体をコンクリートや遮音パネルで囲った専用の**「発電機室」を設けるか、高性能な「防音ボックス」**に収納します。
③ 吸排気消音器(サイレンサー・防音ルーバー)
発電機は大量の空気を取り込み、熱を排出する必要があります。完全に密閉するとオーバーヒートしてしまうため、「空気は通すが音は通さない」仕組みが必要です。 吸排気口に**「防音ルーバー」や「スプリッターサイレンサー」**を取り付けることで、開口部からの音漏れを劇的に低減させます。
④ 防振装置による振動対策
「固体伝搬音」を防ぐには、発電機の脚元に**「防振ゴム」や「防振架台」**を設置し、床から浮かせるような構造にします。これにより、建物の躯体に振動が伝わるのを防ぎます。特に屋上設置の場合は、防水層を傷めないためにも必須の対策です。
5. 既存設備の騒音がひどくなってきたら?
「昔はこれほどうるさくなかったのに…」 そう感じる場合、経年劣化が原因かもしれません。
マフラー(消音器)の腐食: 内部に穴が空き、消音効果が失われている。
防振ゴムの硬化: ゴムが劣化して硬くなり、振動を吸収できなくなっている。
遮音材の劣化: パッケージ内の吸音スポンジなどが剥がれ落ちている。
このような場合、発電機ごとの交換ではなく、「マフラー交換」や「防振ゴムの交換」、あるいは**「後付けの防音壁設置」**といったメンテナンス・改修工事だけで状況が劇的に改善することもあります。
また、負荷試験を行う際に、実負荷(建物全体の電気を止めて行う試験)ではなく、**「模擬負荷試験装置」**を使用することで、短時間かつ最小限の騒音で点検を済ませる手法も普及しています。運用の見直しも一つの騒音対策と言えるでしょう。
まとめ:良き企業市民であるために
非常用発電機は、いざという時に人命や資産を守るための「最後の砦」です。しかし、その設備が日常的に近隣の迷惑になってしまっては、企業としての社会的信用を損なうことになりかねません。
騒音問題は、設置環境(周囲の建物の高さ、距離、用途地域)によって最適な解決策が異なります。「カタログ値がクリアしているから大丈夫」と過信せず、現場の状況に合わせた設計と施工が必要です。
新規設置を検討しているが、近隣への音が心配。
古い発電機の音が大きくなり、苦情が来ている。
防音対策をしたいが、何から手をつければいいかわからない。
そのようなお悩みがございましたら、電気設備のプロフェッショナルである私たちにご相談ください。 現地調査を行い、騒音測定から防音対策の提案、施工まで、お客様の環境に最適なプランをご提示いたします。
安心・安全な備えは、周囲への配慮から始まります。
小川電機株式会社 担当:前田(1級電気施工管理技士) フリーダイヤル:0120-855-086 (まずはお気軽にご連絡ください)

前田 恭宏
前田です
