
“非常用発電機は「義務」から「戦略」”へ。BCP対策の要となる72時間電源確保の重要性
災害頻発の今、非常用発電機は「法令対応」から「BCP(事業継続)の要」へ役割が変化しています。インフラ復旧の目安となる「72時間」の電源確保が企業の命運を分けます。また、有事に確実に稼働させるには、定期的な負荷試験や燃料管理が不可欠です。 72時間対応への更新、点検見直しなど、不安や疑問は現場を知るプロへ。小川電機株式会社の前田(1級電気施工管理技士)が承ります。0120-855-086へお気軽にご相談ください。
“非常用発電機は「義務」から「戦略」”へ。BCP対策の要となる72時間電源確保の重要性
はじめに:なぜ今、非常用発電機の「再定義」が必要なのか
日本は世界でも有数の災害大国です。近年、東日本大震災をはじめ、北海道胆振東部地震でのブラックアウト、頻発する大型台風による長期停電など、私たちの想像を超える規模の災害が相次いでいます。
これまでの企業防災において、非常用発電機は「法律で決まっているから設置する」という、消極的な設備投資の対象になりがちでした。しかし、ビジネスのデジタル化が加速し、一瞬の電源喪失が莫大な損失を生む現代において、その考え方は致命的なリスクとなり得ます。
今、求められているのは、単なる「防災(防災用)」から「事業継続(BCP用)」への意識の転換です。本コラムでは、非常用発電機をBCP(事業継続計画)の要(かなめ)として捉え直し、なぜ「72時間」の電源確保が企業の命運を分けるのか、その本質に迫ります。
1. 「防災用」と「BCP用」の決定的な違い
多くの建物に設置されている非常用発電機ですが、実はそのほとんどが**「防災用(保安用)」**と呼ばれるものです。これからBCP対策を検討する上で、まずこの「防災用」と「BCP用」の決定的な違いを理解する必要があります。
「防災用」発電機の限界
消防法や建築基準法に基づいて設置される「防災用」発電機の主目的は、**「人の命を守り、安全に避難させること」**にあります。
稼働目的: スプリンクラー、消火栓ポンプ、排煙機、非常照明の稼働
稼働時間: 法律上求められるのは、わずか30分〜1時間程度
給電先: 防災設備のみ(※一般のコンセントやPC、サーバーには電気は供給されません)
つまり、従来の防災用発電機だけでは、火災時の消火活動や避難はできても、停電が続く中で業務を継続することは物理的に不可能です。
「BCP用」発電機の役割
一方で、近年注目されている「BCP用(保安用兼非常用)」発電機の目的は、**「企業の事業活動を止めないこと」**です。
稼働目的: サーバー、通信機器、PC、照明、空調、給排水ポンプ、エレベーターの稼働
稼働時間: 72時間以上が推奨される
給電先: 業務に必要な設備全般(あらかじめ選定が必要)
「設置義務があるから置いている」発電機と、「会社を守るために置く」発電機。この意識の差が、有事の際の初動に決定的な差を生み出します。
2. なぜ「72時間」なのか? BCP対策の黄金律
BCP対策において、電源確保の目安として必ず登場するのが「72時間(3日間)」という数字です。なぜ24時間でも48時間でもなく、72時間なのでしょうか。これには明確な根拠があります。
(1) 人命救助の「72時間の壁」との関連
災害発生からの72時間は、生存率が急激に低下する分岐点と言われ、人命救助が最優先される期間です。この間、消防・警察・自衛隊などの公的支援は救助活動に集中するため、インフラの復旧や物流の回復は後回しになります。
(2) 物流・インフラ復旧のタイムラグ
過去の震災の教訓から、電気・ガス・水道などのライフラインや、燃料を運ぶタンクローリーなどの物流が動き出すまでに、最低でも3日(72時間)かかるとされています。 裏を返せば、**「最初の3日間は外部からの支援(燃料補給や電力復旧)は期待できない」**ということです。
(3) 企業の社会的責任
内閣府のガイドラインでも、大規模災害時には「企業は自力で3日間持ちこたえ、従業員の安全確保と帰宅困難者の受入を行うこと」を求めています。 72時間の電源を確保することは、自社の利益を守るだけでなく、地域社会の一員としての責任を果たすことにも繋がるのです。
BCPにおける72時間の意味
0〜24時間: パニックの抑制、従業員の安否確認、情報収集(通信手段の確保)
24〜72時間: 最低限の業務継続、サーバーの保護、帰宅困難者の滞在支援
72時間以降: インフラ復旧、通常業務への段階的移行
3. BCP対策としての発電機選定:燃料種別のメリット・デメリット
72時間稼働を目指す場合、最大の課題は「燃料の確保」です。発電機のエンジンタイプによって、BCPへの適性が異なります。
ディーゼル(A重油・軽油)発電機
現在最も普及しているタイプです。
メリット: ラインナップが豊富で、大容量の発電が可能。導入コストが比較的安い。
デメリット: 排気ガスや騒音が大きい。最大の欠点は**「燃料の劣化」**です。軽油やA重油は経年劣化し、スラッジ(沈殿物)が発生するため、定期的な燃料交換やメンテナンスを怠ると、いざという時にエンジンがかからないリスクがあります。
BCP視点: 72時間分の燃料を備蓄するには、巨大な別置きタンクが必要となり、消防法上の規制も厳しくなります。
ガス(都市ガス)発電機
メリット: 都市ガス導管から供給されるため、燃料切れの心配がない。排気がクリーンで静か。
デメリット: 地震でガス管が破損した場合や、ガスの供給停止(マイコンメーター遮断など)が起きると稼働できません。
BCP視点: 災害に強い中圧ガス管を引き込んでいる施設では非常に有効ですが、一般的な低圧ガス管の場合は、地震時の供給停止リスクを考慮する必要があります。
LPガス(プロパン)発電機
近年、BCP対策として急速に注目を集めているのがLPガスタイプです。
メリット: 燃料(ボンベ)を軒先に備蓄できるため「分散型エネルギー」として災害に強い。燃料が半永久的に劣化しないため、メンテナンスが容易。
デメリット: ディーゼルに比べて大型機のラインナップが少ない場合がある。
BCP視点: 72時間分の燃料計算が容易で、劣化知らず。災害時に最も信頼性が高い選択肢の一つと言えます。特に「軒先在庫」として常に満タンのボンベがある状態を作れるのは強みです。
4. 導入だけでは終わらない。「動かない発電機」の恐怖
BCP対策として高機能な発電機を導入しても、それで安心はできません。実は、震災時に**「設置されていた非常用発電機の約2〜3割が正常に稼働しなかった」**という衝撃的なデータがあります。
なぜ発電機は動かないのか?
多くの原因はメンテナンス不足です。
バッテリー上がり: 自動車同様、動かさないとバッテリーは上がります。
燃料の劣化・フィルター詰まり: 前述の通り、古い燃料が配管を詰まらせます。
内部のカーボン堆積(ウェットスタッキング): 点検時に無負荷(電気を使わない空運転)で試運転を繰り返すと、エンジン内部に不完全燃焼のカーボンが溜まり、故障の原因になります。
負荷試験の重要性
消防法でも義務付けられていますが、定期的に**「負荷試験(実際に電気を流して負荷をかける試験)」**を行うことが不可欠です。BCP対策とは、ハードウェア(発電機)の設置だけでなく、ソフトウェア(維持管理・運用フロー)がセットになって初めて機能します。
5. 投資対効果をどう考えるか?
経営者や決裁者にとって、数百万円〜数千万円の投資となる非常用発電機の導入は、費用対効果が見えにくい部分かもしれません。「何も起きなければ無駄金ではないか」という意見もあるでしょう。しかし、視点を変える必要があります。
リスク回避としてのコスト
停電によって以下の事象が起きた場合の損害額を想像してください。
工場のライン停止による納期遅延と違約金
本社サーバーダウンによるデータ消失、全支店の業務停止
病院や介護施設における、生命維持装置や空調停止による人命リスク
「災害時に何も対応できなかった企業」というブランドイメージの失墜
これらを防ぐための「保険」として考えれば、発電機の導入コストは決して高くはありません。
助成金・優遇税制の活用
国も国土強靭化(ナショナル・レジリエンス)を推進しており、BCP対策に資する非常用発電機の導入には、中小企業強靱化法に基づく税制優遇や、各種補助金(「災害時に備えた社会的重要インフラへの自衛的な燃料備蓄の推進事業費補助金」など ※年度により異なる)が用意されています。これらを賢く活用することで、実質的な負担を大幅に減らすことが可能です。
おわりに:電気は「空気」ではなく「経営資源」である
平時において、電気はあって当たり前の「空気」のような存在です。しかし、ひとたび災害が起きれば、電気はもっとも貴重な「経営資源」へと変貌します。
携帯電話の充電が切れるだけで不安になる現代において、企業の電力が72時間途絶えることの意味は計り知れません。 従来の「消防法さえクリアすればいい」という思考停止から脱却し、「いかなる状況でも事業を継続し、社員と顧客を守り抜く」という攻めの姿勢へ。
非常用発電機をBCPの戦略的投資として捉え直し、自社に必要な電源容量と稼働時間を再設計すること。それが、不確実な未来に対する最も確実な経営判断となるはずです。
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小川電機株式会社 担当:前田(1級電気施工管理技士) フリーダイヤル:0120-855-086 (まずはお気軽にご連絡ください)
前田 恭宏
前田です
