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非常用発電機の法定点検、6年周期へ

非常用発電機の法定点検、6年周期へ

25/10/28 09:48

非常用発電機の法定点検は、消防法改正により一定条件を満たす場合、運転性能確認(負荷運転や内部観察)の周期を最長6年に延長できるようになりました。これは、潤滑油・冷却水・バッテリーなどの定期交換や分析など、運転性能維持に関する「予防的保全策」を毎年実施し、記録を適切に保存していることが条件です。ただし、6か月ごとの機器点検や年1回の総合点検義務は従来どおり残ります。延長は点検負担の軽減につながる一方、保守体制の整備や所轄消防署への報告・確認が欠かせません。

「非常用発電機の法定点検、6年周期へ――延長適用の条件と実務対応を徹底解説」

はじめに

災害時や停電時に備え、ビル・工場・病院などでは非常用電源設備(いわゆる非常用発電機や自家用発電設備)の設置・維持管理が極めて重要です。こうした設備については、主に 消防法・ 建築基準法・ 電気事業法 といった法令により、点検・報告・維持管理義務が定められています。
その中で、特に「法定点検(運転性能を含む総合点検や負荷試験)を毎年実施すべき」という従来の考え方から、「ある条件を満たせば6年に1回まで点検頻度を長期化できる」制度変更がなされました。これは、設備の運転頻度・状態・保守体制を前提としながら「予防的保全策」が講じられていれば、過度な実運転負荷試験を年毎に行う必要を軽減しようというものです。
以下では、改正の経緯、延長可能となる条件、実務上の注意点、そして点検義務を怠った場合のリスク・罰則、最後に運用上のチェックリスト的な整理を行います。

1.制度改正の背景と概要

背景

非常用発電設備(いわば「非常電源(自家発電設備)」)について、実際には日常では稼働せず、いざという時にしか活用されないという性質があります。そのため「長期間動いていない」「負荷運転を行うと常用電源を断って試験を行う必要がある」「設置場所が屋上・地下など負荷試験装置が付きにくい」など、点検・負荷運転を年1回実施することが技術的・運用的に困難という実態がありました。
こうした事情を踏まえ、消防庁および関係行政では、点検の合理化・安全性の確保を両立させる観点から、改正が行われました。例えば、2018年6月1日付で「消防用設備等の点検の基準及び…」を改正する告示(平成30年消防庁告示第12号)が公布され、点検方法/点検周期の見直しが行われています。

改正概要

主な改正点は以下の通りです。

  • 運転性能確認(すなわち「負荷運転」による性能確認」)に代えて、「内部観察等」という手法を追加。 国土交通省+1

  • 運転性能維持に係る「予防的な保全策」が講じられている場合には、負荷運転または内部観察の実施周期を 最長6年に1回 に延長可能とされた。

  • 原動機にガスタービンを用いる非常電源設備については、負荷運転を不要とするという取扱いも明記。 国土交通省

  • 換気性能点検など一部点検項目の運用変更(例えば、無負荷運転時に行うなど)も併せて修正。 国土交通省+1

このように、年1回の確認が原則というところから、設備の状態・保守実績・記録が整っていれば、より長期間の運用を可能とする選択肢が設けられたわけです。

2.「6年に1回」延長が可能となる条件

延長(6年に1回)という運用を適用するためには、以下のような要件・条件があります。ひとつひとつ確認しておきましょう。

(1)対象設備・適用の前提

  • 対象は、消防法上「非常電源(自家発電設備)」として扱われる自家用発電設備です。改正告示では「別表第24 第2項(6)に規定する運転性能に係る点検」が対象となっています。

  • なお、製造から6年未満の設備でも、過去に運転性能確認(負荷運転または内部観察)を実施しており、かつ、その後継続的に「運転性能維持に係る予防的保全策」が講じられていたと記録できる場合には、前回確認から6年までの間は次の確認を行わなくてよいという扱いも示されています。

  • ただしこの延長はあくまで「運転性能確認」の部分であって、「機器点検」や「総合点検」のすべてが6年に1回になるわけではありません。従来通り、6か月毎機器点検・年1回総合点検(または管轄自治体が定める)などの実施義務は維持されるという理解が必要です。

(2)「予防的な保全策」が講じられていること

この延長を適用するためのキーファクターが「運転性能の維持に係る予防的な保全策」が年間毎に講じられていることです。具体的には、以下のような保全・点検項目が挙げられています。

  • 予熱栓、点火栓、冷却水ヒーター、潤滑油プライミングポンプ等が設けられている場合、年1回動作確認を実施すること。

  • 潤滑油、冷却水、燃料フィルター、潤滑油フィルター、ファン駆動ベルト、ゴムホース、始動用蓄電池など、構成部品ごとにメーカーが指定する推奨交換期間内で交換又は確認を実施すること。

  • 装置の使用環境・稼働実績・消耗部品の状況などに応じた「計画的な交換」や「劣化状況の把握(土壌・油・冷却水等の成分分析等)」を行っていること。 (行政側の説明資料では「潤滑油の成分分析」「冷却水の成分分析」等も挙げられています)

このように、負荷運転や大型試験を省略する代替措置として「保守・点検をきちんとやってますよ」という体制を整えているという証拠があることが必要です。

(3)点検記録・報告・添付書類の整備

  • 延長の適用を受けるためには、保全策を講じたという証跡を「書類等」に添付して点検報告する必要があります。例えば、点検票(告示別記様式第24「非常電源(自家発電設備)点検票」)の備考欄に「運転性能維持に係る予防的保全策を講じている」という旨を記載し、添付資料として保全記録を添えることが求められています。

  • また、機器点検・総合点検の実施結果・異常の有無・改善履歴などの記録を所定期間保存する義務があります(多くの場合3年間)。

(4)適用を受ける期間・起算点

  • 製造年・設置年から6年を経過していない設備についても、前述の保全策が確認できれば「今後6年間は運転性能の確認を行わなくてよい」という経過措置的な運用が定められています。告示では「平成29年6月以降に製造された非常電源(自家発電設備)については、運転性能維持に係る予防的な保全策を講じることにより、製造年から6年を経過するまでの間は点検を実施しないことができること」としています。

  • 過去に「運転性能確認(負荷運転・内部観察)」を実施済みの設備についても、その実施日から6年を経過するまでは次の確認を省略できるという扱いです。

3.実務上の留意点

この延長制度を活用するにあたって、実務的にはいくつか押さえておきたいポイントがあります。

点検頻度・種類の整理

  • 「機器点検」については、消防法上6か月ごと(あるいは所轄の定める頻度)に実施する義務があり、設備によっては年1回以上の総合点検も義務付けられています。つまり、延長が認められるのは「運転性能確認(負荷運転または内部観察)」の部分だけであって、その他の定期確認義務が全部無くなるわけではありません。

  • 「運転性能確認」の実施方法として、以下のような選択肢があります。

    • 負荷運転(定格出力の30%以上、確認に要する時間などの基準あり)

    • 模擬負荷運転・無負荷運転+内部観察等(改正後に追加された手法)

    • ガスタービン原動機を用いる設備では、負荷運転自体が不要となるケースあり。 国土交通省

保全策の内容・実証

  • 保全策というのは、単に「毎年部品交換をしていれば良い」というものではなく、設備の構成・稼働状況・設置条件等を踏まえ、「その設備が運転性能を維持できる状態にある」と合理的に判断できる体制・記録を整えておくことが必要です。

  • 例えば、潤滑油・冷却水の成分分析、燃料(軽油など)の品質確認、始動用バッテリーの電圧・比重測定・交換、吸排気系統の目詰まり・マフラーの腐食など、日常点検・定期保全・記録保存を含めた総合的なメンテナンス実績があることが望まれます。

  • また、負荷運転を実施しないという選択をするならば、その理由・代替措置(例えば内部観察)を所轄消防署等に説明できるよう、点検結果記録・写真・分析データ等が揃っていることがベストです。

管理体制・記録保存

  • 点検・保守を実施した記録(日時・作業内容・測定値・改善履歴等)を保存しておくことが義務付けられています。特に、延長適用を受ける場合には「保全策を実施している」という証拠として、報告書類や添付書類を備えておく必要があります。

  • 現場管理者・設備管理担当者・外部委託業者など、誰が何をどの頻度で確認したか、またその結果どう対応したかを明確にしておく仕組みが望まれます。

  • また、設備所在の建築物が防火対象物である場合など、点検報告義務(所轄消防署への報告・所定様式への記入)があります。報告漏れ・虚偽報告には罰則がありますので注意が必要です。

所轄・自治体の運用・契約・責任の明確化

  • 各自治体・消防署では運用の実務・指導が多少異なる場合もあります。例えば、「負荷運転を実施することが現実的に困難な設備」と認められたものについては、所轄が柔軟な運用を示すケースもあります。実際に多くの解説記事では「所轄の運用に従う」旨が記されています。

  • 発電機の保守/点検を外部業者に委託している場合、契約書上で「年1回の負荷運転実施」「予防保全策の実施」といった項目を明記しておくと、管理責任・記録責任がより明確になります。

  • 設備配置/燃料タンク・排気系・騒音・振動・近隣対応など、点検を行う際の現場対応が必要になるケースもあるため、事前に実施手順・関係部門(設備・保安・建築管理)との連携を確認しておくことが重要です。

負荷運転実施が難しいケースへの配慮

  • 負荷運転(定格30%以上の負荷をかけて運転)を行うと、常用電源を遮断/切替せねばならず、設備設置場所・用途・建物用途等によっては実施が困難という設備もあります。こうした場合に「内部観察等」の選択肢が設けられたという背景があります。 国土交通省+1

  • 具体的には、排気管内部、燃料噴射弁、シリンダ摺動面、潤滑油・冷却水成分分析など、実負荷をかけずに「機器の健康状態」を確認する方法が認められています。

  • ただし、内部観察等を行ったからといって即座に延長が認められるわけではなく、保全体制・記録の整備・設備稼働状態等が一体となって「延長の適用条件を満たしている」と判断されることが前提です。

4.義務を怠った場合のリスク・罰則

点検義務・報告義務を怠ったり、虚偽の報告を行った場合には、法令上、所有者・設備管理者・建物所有者などが罰則を受ける可能性があります。以下、主な法令ごとに整理します。

消防法による罰則

  • 非常用電源設備の点検報告をしない、又は虚偽報告をした者には、30万円以下の罰金又は拘留が科せられる場合があります。

  • また、建物所有者・事業者にとって「防火対象物の消防計画に基づく責任」が問われるため、最悪の場合には数千万〜数億円規模の責任を指摘されるケース報道もあります。

建築基準法・電気事業法による罰則

  • 建築基準法に基づく検査報告をせず、または虚偽報告を行った場合には、100万円以下の罰金が科せられる可能性があります。

  • 電気事業法においては、技術基準に適合しないと認められる発電設備を設置・維持する者には、技術基準適合命令又は使用制限が課される場合があります。実務上のリスク

  • 非常時(停電・災害発生時)に設備が動作しなかった場合、施設運営に重大な影響が出るのみならず、保険適用・損害賠償・社会的信用失墜といった二次的なリスクも発生します。

  • 点検制度を「延長適用している」という運用であっても、保守状況・記録が適切に整理されておらず、所轄消防署等から「延長要件を満たしていない」と判断されれば、従前どおり年1回等の運転性能確認を求められる可能性があります。

  • 延長運用を行う場合には、設備管理に関する責任体制・記録保存・部品交換状況等を明確にしておくことが、将来の監査・調査対応上も重要です。

5.チェックリスト・実務対応のポイント

以下に、設備管理・点検運用にあたって押さえておきたい実務的なチェックリストをまとめます。

点検・保守スケジュール

  • 機器点検(6 か月ごと)…漏油・異臭・異音・腐食・亀裂等の目視/測定(絶縁抵抗・接地抵抗・保護装置動作)

  • 総合点検(年1回)…機器点検を含む、運転性能確認(通常は負荷運転または内部観察)

  • 運転性能確認の延長適用を検討するなら、毎年「予防的保全策」を実施し、その実績・記録を保存

  • 保全策対象部品(例:潤滑油、冷却水、燃料フィルター、バッテリー、ベルト類、ゴムホースなど)のメーカー指定交換時期内の交換・確認

  • 内部観察等を選択する際には、排気管・燃料噴射弁・内部部位・潤滑油・冷却水等の分析・観察を実施

記録・報告対応

  • 点検実施日時・内容・結果・改善履歴を明確に記録し、少なくとも3年間保存(設備系統・部品履歴含む)

  • 点検報告時に「別記様式第24 非常電源(自家発電設備)点検票」など所定様式を使用し、延長適用を受けている場合にはその旨を備考欄等に記載し、保全策実施の証拠を添付

  • 所轄消防署・建築行政・電気保安監督機関に対する報告義務がある場合には、提出期限・形式を確認

判断・適用の可否

  • 設備の稼働状況・負荷実績・設置年月・部品交換実績を確認し、「本当に延長適用をしても安全性・信頼性が維持されるか」を社内で判断

  • 所轄消防署・設備保守業者・管理者間で「延長運用の前提条件(保全策、記録整備、内部観察実施可否など)」を共有しておく

  • 必要に応じ、保守契約書・点検記録フォーマット・管理体制を見直し、将来的な監査・検査に耐えうる体制を整備

契約・担当体制の整理

  • 社内設備管理者・建築物管理者・保守業者(外部委託の場合)それぞれの役割・責任を明文化

  • 保守業者契約において「年1回の保全策実施」「点検記録の提出」「記録保管・報告書提出」などを明記

  • 設備の更新・改修・増設を行った場合には、設置年月/製造年・部品交換履歴・改修履歴などを記録しておく

6.制度活用上のメリットと留意すべき点

メリット

  • 年1回の負荷運転という運用負担を軽減できる可能性がある(負荷運転実施に伴う常用電源遮断・騒音・排気・設備停止リスク等を抑制)

  • 設備の設置環境・利用頻度が低く、実負荷試験が過度に設備に負担をかける可能性のあるケースでは、合理的な運用が可能

  • 管理コスト・設備停止リスクを抑えつつ、安全性を維持できる体制を整える機会となる

留意すべき点

  • 延長適用を受けるには「予防的保全策」が毎年きちんと実施されているという実証が必要であり、形式的な保守だけでは認められない可能性があります。

  • 所轄自治体・消防署の運用・判断も一定しておらず、「実情を踏まえて負荷運転を行うべき」と指導されるケースもありますので、必ず事前に確認することが望ましい。

  • 延長適用を受けたとしても、機器点検・総合点検・報告義務・記録保存義務などの「その他の点検義務」が無くなるわけではありません。点検頻度を誤認して「実は義務違反」という事態にならないよう注意が必要です。

  • 長く運転性能確認を行わなかった場合、いざという時に設置設備が予期せぬ故障を起こすリスクがあります。保守状況・使用条件を定期的にレビューし、軽視せず管理しておくことが重要です。

  • 建物用途(病院・福祉施設・防災拠点など)や設置規模(非常用出力の大きさ)、使用頻度・地域条件(寒冷地・高湿地など)によって、実際には年1回以上の実負荷試験を求められる場合もあります。設備管理方針として「延長ありき」ではなく「安全確保ありき」で検討する必要があります。

7.まとめ

このように、非常用発電機・自家発電設備の法定点検において、年1回の運転性能確認(=負荷運転等)が基本とされてきた中で、「運転性能維持に係る予防的保全策を適切に講じている設備であれば、最長6年に1回までその確認を延長できる」という制度が整備されました。
しかしながら、この延長は「何もしなくて良くなった」という意味ではなく、むしろ「通常より長い期間実負荷試験を実施しないという選択をするならば、それ相応の保守体制・記録体制・管理体制を整備してください」という趣旨のものです。
ですので、設備管理者・建物所有者・保守業者が一体となって、以下をきちんと運用しておくことが肝要です。

  • 毎年の機器点検・保守を怠らず記録化すること

  • 保全策対象部品・構成機器の点検・交換実績を把握しておくこと

  • 点検報告書・添付資料・記録保存を定期的に整理しておくこと

  • 所轄消防署・建築・電気保安機関との確認を怠らないこと

  • 設備がいざという時に確実に動作するよう、管理体制を不断に見直すこと

特に、病院・福祉施設・公共施設・防災拠点等では、非常時の電源確保が人命・事業継続に直結するため、この制度活用の可否を慎重に検討する必要があります。設備を「点検をしておけば安心」という枠に置かず、実際に「動くか」「動き続けられるか」という観点での維持管理が重要です。

Admin
前田 恭宏
前田です

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