
非常用発電機は本当に必要ですか?
非常用発電機は、消防法等で義務付けられる建物に加え、近年の災害対策(BCP)として事業や人命を守るために不可欠です。しかし「設置して終わり」ではいざという時に動きません。バッテリー劣化等を防ぐため、法令に基づく定期点検や負荷試験等のメンテナンスが必須です。 小川電機では、法的要件の確認から新規導入、維持管理まで、1級電気施工管理技士がトータルサポートいたします。「点検をしていない」「自社に必要か知りたい」など、少しでも不安があればお気軽にご相談ください。
【プロが解説】非常用発電機は本当に必要ですか?
~消防法・BCP対策・メンテナンスの観点から読み解く設置と管理の重要性~
近年、大型台風や地震などの自然災害が頻発しており、長時間の停電リスクが身近な問題となっています。そんな中で、「うちのビルには非常用発電機は必要なのか?」「コストをかけてまで導入・維持すべきなのか?」というご相談を多くいただきます。
結論から申し上げますと、**「法律で義務付けられている建物」はもちろん必須ですが、そうでない場合でも「事業を守る(BCP)」**という観点から、その必要性はかつてないほど高まっています。
本コラムでは、1級電気施工管理技士の視点から、非常用発電機が必要なケース、設置のメリット、そして所有者に課せられる重要な義務について分かりやすく解説します。
1. 「法律」で設置が義務付けられるケース
まず、「設置したくなくても、設置しなければならない」ケースについて解説します。これは建物の利用者や居住者の命を守るための最低限のルールです。
① 消防法による義務(消火活動のために)
消防法では、一定規模以上の建物(特定防火対象物など)に対し、火災発生時に消火活動を行うための設備を動かす電源として、非常用発電機の設置を義務付けています。
スプリンクラー設備
屋内消火栓設備
排煙設備 これらは通常の電力(商用電源)が停電で断たれたとしても、確実に稼働しなければなりません。火災時には停電が併発する可能性が高いため、自家発電設備が必須となるのです。これが設置されていない、あるいは動かない状態は、法律違反となるだけでなく、人命に関わる重大なリスクとなります。
② 建築基準法による義務(避難のために)
建築基準法では、災害時に建物内にいる人々が安全に避難できるようにするための設備への電源供給を求めています。
非常用照明(真っ暗闇でのパニックを防ぐ)
排煙機(煙を外に出し、避難経路を確保する)
非常用エレベーター これらも同様に、停電時に即座に作動する必要があります。
【対象となる建物の例】
延べ面積1,000㎡を超える特定建築物
不特定多数の人が利用するデパート、ホテル、病院
地下街、高層ビル、福祉施設など
2. 「BCP(事業継続計画)」としての必要性
近年、法律の枠を超えて注目されているのが「BCP対策」としての非常用発電機です。 BCPとは、災害などの緊急事態において、中核となる事業を継続し、早期復旧を図るための計画のことです。
たとえ消防法で義務付けられていない小規模なオフィスや工場であっても、以下のようなリスクを回避するために「保安用(防災用以外の目的)」として発電機を導入するケースが急増しています。
① データの保護と通信の確保
現代のビジネスにおいて、サーバーのダウンは致命的です。停電によるいきなりのシャットダウンは、データ消失やシステム破損を招きます。また、電話やインターネットが不通になれば、安否確認や顧客対応もできなくなります。
② 生産ライン・冷蔵冷凍設備の維持
工場における製造ラインの停止は、再稼働に莫大な時間とコストがかかります。また、食品倉庫や薬品倉庫において、冷凍・冷蔵設備が止まることは、保管商品の全廃棄(=巨額の損失)を意味します。
③ 福祉施設における生命維持
特別養護老人ホームや介護施設においては、停電は入居者の命に直結します。
人工呼吸器などの医療機器
夏場のエアコン(熱中症対策)
冬場の暖房 これらを動かすための電源確保は、施設の信頼性だけでなく、安全管理上の責務といえます。近年では、こうした施設への発電機導入に対して補助金が出るケースも増えています。
3. 「設置して終わり」ではない! 厳しい点検義務
「発電機はあるから安心」と思っていませんか? 実は、非常用発電機における最大のトラブルは**「いざという時に動かない」**ことです。
非常用発電機は、普段動かさない設備です。そのため、適切なメンテナンスを行わないと、経年劣化により確実に故障します。これを防ぐため、電気事業法および消防法により、厳格な点検が義務付けられています。
① 定期点検(6ヶ月・1年)
機器点検(6ヶ月ごと): 外観やバッテリー、燃料の量などを確認します。
総合点検(1年ごと): 実際にエンジンを始動させ、運転状況を確認します。
② 負荷試験(または内部抵抗測定)の重要性
特に重要なのが「負荷試験」です。以前は実負荷運転(実際に電気を流して負荷をかける運転)が厳格に求められていましたが、長らく実施されていない施設が多く問題視されていました。 エンジンを空ふかしするだけでは、内部にカーボン(煤)が溜まり、逆に故障の原因になることがあります(これをウェットスタッキングと言います)。
平成30年の消防法改正により、以下のいずれかの実施が必要となっています。
毎年、定格出力の30%以上の負荷をかけて運転する
または、「内部観察」や「予防的な保全策(部品交換など)」を行う
これらを怠り、万が一の火災時にスプリンクラーが動かなかった場合、建物所有者や管理者は**「管理責任」**を厳しく問われることになります。刑事責任に発展するケースもゼロではありません。
4. 適切なメンテナンス項目とは
専門業者に依頼する際、特にチェックすべき消耗品は以下の通りです。
始動用蓄電池(バッテリー): 最も多い不始動の原因です。寿命は一般的に5~7年(期待寿命)ですが、環境によってはもっと早く劣化します。「カチッ」と音がするだけでエンジンがかからない場合、ほぼバッテリーが原因です。
燃料(軽油・重油): 燃料も腐ります。長期間タンクに入れっぱなしの燃料は酸化し、フィルターを詰まらせる原因になります。定期的な交換や、燃料劣化を防ぐ添加剤の利用が必要です。
潤滑油(エンジンオイル)・冷却水: 自動車と同様、乗らなくても(動かさなくても)酸化・劣化します。定期的な交換が必要です。
冷却水用ヒーター: 冬場、エンジンが冷え切っているとかかりにくくなります。ヒーターの断線もよくあるトラブルの一つです。
5. まとめ:コストではなく「保険」と考える
非常用発電機は、決して安い設備ではありません。導入費もかかれば、維持管理費もかかります。しかし、これを単なる「コスト」と捉えるか、企業と人命を守るための「保険」と捉えるかで、その価値は大きく変わります。
法的義務がある場合: コンプライアンス遵守と人命保護のために、適正な維持管理が必須。
法的義務がない場合: BCP対策として、自社の弱点(停電時の損害)を分析し、必要な容量を選定して導入することが推奨される。
「うちは古い建物だけど、今の法律に適合しているだろうか?」 「点検はずっとやっていないが、動くかどうかわからない」 「BCP対策として導入したいが、どのくらいのサイズが必要か計算してほしい」
このようなお悩みをお持ちのオーナー様、施設管理者様は、ぜひ一度専門家にご相談ください。電気設備のプロフェッショナルとして、現状の調査から最適なプランのご提案、そして法令に基づいた適正な点検・メンテナンスまでトータルでサポートいたします。
安全と安心は、正しい知識と備えから生まれます。 災害が起きる前に、まずは現状の確認から始めてみませんか?
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小川電機株式会社 担当:前田(1級電気施工管理技士) フリーダイヤル:0120-855-086 (まずはお気軽にご連絡ください)
前田 恭宏
前田です
