
圧着端子の主な種類と用途
圧着端子は電線と機器を安全・確実に接続するための重要部品で、電気設備や制御盤、車載機器など幅広く使用されている。主な種類には、導電性と耐久性に優れる裸圧着端子、施工性と安全性の高い絶縁被覆付圧着端子、着脱が容易な差込形端子、電線同士を接続する閉端接続子、端子台配線に適したフェルール端子がある。さらに、ブレーカー接続専用のBR端子は高電流対応で盤内主回路に不可欠である。用途や電線サイズ、使用環境に応じて適切な端子と指定工具を選定することが、安全性と信頼性の確保につながる。
中々わからない【圧着端子の主な種類と用途】をわかりやすくまとめました!
― 安全で確実な電気接続を支える縁の下の主役 ―
電気設備や制御機器、車載機器、家電製品に至るまで、あらゆる電気配線に欠かせない部品が圧着端子である。圧着端子は、電線と機器・端子台・ブレーカーなどを確実かつ安定的に接続するための金具であり、はんだ付けに比べて施工性・信頼性・再現性に優れる点から、現在の電気配線の主流となっている。
本コラムでは、冨士端子工業やニチフといった国内主要メーカーで広く扱われている製品を念頭に置きながら、圧着端子の主な種類と用途について体系的に解説する。
1.裸圧着端子(銅裸端子)
裸圧着端子は、導電性に優れた銅材に錫メッキなどを施した、被覆のない端子である。もっとも基本的かつ信頼性の高い端子で、大電流用途や産業機器で多用される。
代表的な形状は以下のとおりである。
R形(丸形端子)
ボルト・ナットで確実に締結する用途に使われ、振動に強い。
分電盤、制御盤、モーター端子、アース線接続などで定番。Y形(先開形・スパード端子)
ネジを完全に外さずに着脱でき、保守性に優れる。
端子台やリレー、補助回路などに使用される。棒形(ピン端子)
クランプ式端子台や差込式端子に挿入して使用。
細線のばらけ防止にも効果がある。
裸圧着端子は圧着後に絶縁処理(チューブ・テープ)が必要だが、その分、耐熱性・耐電流性に優れており、長期使用でも接触不良を起こしにくい。
2.絶縁被覆付圧着端子
裸端子に樹脂製の絶縁被覆を一体化したものが、絶縁被覆付圧着端子である。施工の簡便さと安全性から、電気工事や制御配線で非常に普及している。
形状は裸端子と同様にR形・Y形・棒形があり、電線サイズごとに色分けされているのが特徴である(例:赤=1.25sq、青=2sq、黄=5.5sqなど)。
主な用途は以下のとおり。
制御盤・配電盤内部配線
建築電気設備
感電・短絡リスクを抑えたい箇所
ニチフ製品は特にこの分野での採用実績が多く、JIS規格・電気工事士技能試験対応としても知られている。
3.差込形圧着端子(ファストン端子)
差込形圧着端子は、オス端子とメス端子を差し込んで接続するタイプで、「ファストン端子」とも呼ばれる。
特長は以下のとおりである。
工具なしで着脱可能
機器交換・点検が容易
絶縁付き/裸タイプの両方が存在
主な用途は、
家電製品内部
自動車・二輪車配線
筐体内部のユニット接続
振動対策としてロック付きタイプが用いられることも多い。
4.閉端接続子(エンドスリーブ)
閉端接続子は、複数の電線をまとめて接続するための圧着端子で、先端が閉じた筒状の構造をしている。
用途としては、
電線同士の中継・延長
盤内配線の分岐処理
が挙げられる。圧着後は導体部が完全に覆われるため、絶縁性と安全性が高い。電気工事士技能試験で使用されることでも有名である。
5.フェルール端子(棒端子・欧州型端子)
フェルール端子は、撚り線の先端を金属スリーブで固める端子で、主にネジ式端子台で使用される。
特長は、
締結トルクが安定
線切れ・接触不良を防止
制御盤の品質向上
近年はインバータ、PLC、端子台配線で事実上の標準となりつつある。
6.BR端子(ブレーカー用圧着端子)
BR端子は、配線用遮断器(ブレーカー)や漏電遮断器の端子部に直接接続するための専用圧着端子である。
一般的なR端子と似た形状だが、以下の点が異なる。
ブレーカー端子の形状・奥行きに最適化
締結部の接触面積が大きい
高電流・発熱対策が考慮されている
主な用途は、
分電盤・制御盤の主回路
幹線・電源引き込み部
特に盤設計では、メーカー指定のBR端子を使用することが重要で、誤った端子選定は発熱・焼損の原因となる。
7.圧着端子選定のポイント
圧着端子を選定する際は、以下の点を必ず確認する必要がある。
電線サイズ(sq)
定格電流・電圧
接続先(端子台・ブレーカー・機器)
使用環境(振動・温度・湿度)
指定圧着工具の有無
とくに端子と工具の組み合わせは重要で、メーカー指定工具を使用することで初めて規格通りの性能が保証される。
おわりに
圧着端子は一見地味な部品だが、電気設備の安全性と信頼性を根底で支える重要部材である。用途に合った端子を正しく選び、適切な工具で施工することが、事故防止・品質向上につながる。
冨士端子工業やニチフといった信頼性の高いメーカー製品を理解し、使い分けることは、現場技術者にとって必須の知識と言えるだろう。

前田 恭宏
前田です
