
ブレーカーの種類とそれぞれの意味・用途を徹底解説
ブレーカーは電気回路の異常(過電流・漏電・短絡など)を検知し、自動で電気を遮断する安全装置です。主な種類には、配線用遮断器、漏電遮断器、安全ブレーカー、主幹ブレーカー、ノーヒューズブレーカー、高圧遮断器、電子ブレーカー、オートブレーカー、モーターブレーカーがあり、それぞれ用途や特徴が異なります。特にモーターブレーカーは工場設備のモーター保護に重要です。正しい選定と理解が電気設備の安全・効率に直結します。
【保存版】ブレーカーの種類とそれぞれの意味・用途を徹底解説
現代社会において電気は生活や産業活動に欠かせない存在です。しかし、電気は便利である一方で、漏電や過電流、短絡(ショート)などのトラブルが発生すると、火災や感電といった重大な事故に繋がる恐れがあります。そうした事故を未然に防ぐために欠かせないのが「ブレーカー」です。
本記事では、私たちの生活や産業で使用されるブレーカーの種類・役割・用途について詳しく解説します。家庭用から産業用まで、幅広い種類のブレーカーを網羅してご紹介。特に**「モーターブレーカー」**も含め、電気設備の安全を守る多様なブレーカーの知識を深めていきましょう。
ブレーカーとは?
ブレーカー(Circuit Breaker)は、電気回路に異常(過電流・短絡・漏電など)が発生した際に、自動的に回路を遮断する保護装置です。家庭では「ブレーカーが落ちた」という表現で馴染みがありますが、その仕組みは非常に重要かつ精密です。
ブレーカーの主な役割は以下の通りです:
過電流保護:許容量以上の電流が流れた場合に遮断。
短絡保護:回路内でショートが起こったときの遮断。
漏電保護:絶縁不良などで電流が外部へ漏れた際の遮断。
機器保護:設備やモーターなどの電気機器の故障を防ぐ。
では、ブレーカーの種類ごとの特徴や用途について詳しく見ていきましょう。
主なブレーカーの種類と用途
1. 配線用遮断器(MCCB:Molded Case Circuit Breaker)
特徴:
樹脂製ケースに収納された構造で、安全性と堅牢性が高い。
過電流・短絡に対して動作。
用途:
家庭や商業施設の分電盤。
空調・照明・コンセント回路などの保護に使用。
2. 漏電遮断器(ELCB/RCD:Earth Leakage Circuit Breaker)
特徴:
漏電(地絡)を検知して電流を遮断。
感電防止や火災予防に効果的。
用途:
台所・洗面所・浴室など水回りの電気回路。
漏電リスクの高い工場設備や仮設電源にも活用。
3. 安全ブレーカー(安全遮断器)
特徴:
各回路(部屋ごとや機器ごと)に設けられる小型ブレーカー。
落ちた回路だけを個別に遮断可能。
用途:
家庭の分電盤やビルの配線。
テレビ・電子レンジ・冷蔵庫などの個別回路に使用。
4. 主幹ブレーカー(メインブレーカー)
特徴:
家全体の電力を一括管理。
契約アンペアを超えると自動遮断。
用途:
一戸建てやマンションの電気供給元に設置。
建物全体の過負荷対策。
5. ノーヒューズブレーカー(NFB:No Fuse Breaker)
特徴:
名前の通りヒューズ不要。
過電流時に電磁・熱機構で遮断し、復旧もスイッチ操作のみで可能。
用途:
ヒューズ交換が困難な工場や機械設備。
メンテナンス性重視の施設。
6. 高圧遮断器(VCB/GCB)
特徴:
高電圧(6600V以上)に対応。
真空(VCB)やガス(GCB)による絶縁・遮断機構。
用途:
発電所・変電所・大規模プラント。
電力会社のインフラ設備。
7. 電子ブレーカー(デジタルブレーカー)
特徴:
電子回路・マイコンで制御され、高精度な動作が可能。
電流使用状況に応じて最適制御。
用途:
商業施設や飲食店など、契約電力を抑えて効率よく電気を使いたい場合。
電気代削減、契約容量の見直しなど。
8. オートブレーカー(自動復帰型ブレーカー)
特徴:
遮断後、自動的に復旧可能な機構を備える。
遠隔監視や無人施設での利用が可能。
用途:
通信機器、基地局、無人監視設備など。
停電リスクを最小化したい場所。
9. モーターブレーカー(モーター保護用遮断器)
特徴:
モーター専用に設計されたブレーカー。
過電流、拘束(ロックローター)、過負荷、短絡を検出してモーターを保護。
電磁接触器やサーマルリレーと組み合わせて使用されることが多い。
用途:
コンベア、ポンプ、ファン、加工機械などのモーター保護。
工場設備やビルの機械室など、モーターの多い現場で重宝。
メリット:
モーターの故障による生産停止を防止。
モーター寿命を延ばし、保守コストを削減。
ブレーカー選定時の注意点
ブレーカーを選ぶ際には、以下の点をしっかり確認する必要があります:
定格電流:回路に流れる最大電流に見合った容量か。
遮断容量:想定される短絡電流を安全に遮断できるか。
用途:家庭用なのか、産業機器用なのか。
設置場所:屋外や湿度の高い環境では防塵・防水仕様が求められる。
復旧方法:遠隔操作が必要か、手動での操作か。
法令・規格:PSEマーク、JIS、IECなどの認証取得品か確認。
まとめ
ブレーカーは、私たちの生活や産業の「電気の安全」を守る最後の砦です。その種類によって、保護対象や遮断の仕組み、用途が大きく異なります。特にモーターブレーカーは、産業分野で多用される電動機を守るための専門的な装置であり、現場の安定稼働に欠かせません。
▼本記事で紹介したブレーカーの種類(再確認):
種類
主な用途
配線用遮断器
一般回路の過電流・短絡保護
漏電遮断器
漏電・感電防止
安全ブレーカー
各回路ごとの保護
主幹ブレーカー
建物全体の電力制御
ノーヒューズブレーカー
工場・設備での高い安全性とメンテ性
高圧遮断器
発電所・変電所などの高圧設備
電子ブレーカー
精密制御と電力効率化
オートブレーカー
無人設備・遠隔操作用
モーターブレーカー
モーター専用の保護と故障防止
安全で効率的な電気利用のためには、ブレーカーの知識をしっかり持ち、目的や環境に合った選定が欠かせません。いざというときに備え、今一度ご自宅や職場のブレーカーを点検してみてはいかがでしょうか。

前田 恭宏
練習