
アースを地面に落とすにはどうすればいい?接地工事の4大工法(アース棒・アース板・接地低減剤・水平埋設)をわかりやすく解説!
電気設備を安全に使うための「アース(接地)」工事では、現場の土質や環境に応じた4つの工法があります。 アース棒:標準的な土壌向け。棒を地中に打ち込む最も手軽で安価な方法。 アース板:深掘りできない現場向け。銅板を埋設し、広い接触面積で抵抗値を低減。 接地低減剤:岩盤や砂地など難易度の高い現場向け。薬剤で周囲の導電性を大幅向上。 水平埋設:縦掘りが不可能な岩盤地帯向け。横溝を掘り裸銅線を長く敷設。 現場環境に合わせて最適な工法・資材を選ぶことが重要です。 アース棒や低減剤などの各種電材のご購入は Zeus(ゼウス) へ! https://denzai-zeus.com/
アースを地面に落とすにはどうすればいい?接地工事の4大工法(アース棒・アース板・接地低減剤・水平埋設)をわかりやすく解説!
電気設備を安全に使用するために欠かせないのが「アース(接地)」です。漏電による感電事故の防止や、精密機器のノイズ対策、落雷時の雷サージ対策など、アースは建物の安全を支える極めて重要な役割を果たしています。
しかし、いざ「アースを取る(接地する)」となっても、「具体的にどうやって地面に落とせばいいのか?」「どのような部材や施工方法を選べば確実に規定の接地抵抗値が得られるのか?」と悩む現場担当者やDIY施工者は少なくありません。
本記事では、接地工事で代表的な4つの手法「アース棒」「アース板」「接地低減剤」「水平埋設(溝掘り工法)」について、特徴や施工手順、メリット・デメリットをわかりやすく解説します。
1. アース(接地)の基本と接地抵抗値について
施工方法の解説に入る前に、まず「なぜアースが必要なのか」と「目標とする数値」について整理しておきましょう。
アースの基本的な役割
感電防止:機器の絶縁が劣化して漏電した際、電流を人間ではなく抵抗の低い大地(地球)へ逃がします。
火災・設備破壊の防止:漏電遮断器を確実に動作させ、異常電流による発火や機器の破損を防ぎます。
ノイズ・電雷対策:通信機器の安定動作や、避雷針からの雷サージの放出を行います。
内線規程・電気設備技術基準における接地種別
電気工事では、接続する機器の電圧や用途に応じて以下の通り設置抵抗値が規定されています。
種別 | 主な用途 | 目標接地抵抗値 |
|---|---|---|
A種接地 | 高圧機器(変圧器・高圧遮断器など) | 10Ω以下 |
B種接地 | 変圧器の低圧側中性点 | 計算式による(通常数Ω〜数十Ω) |
C種接地 | 300Vを超える低圧機器 | 10Ω以下(漏電遮断器ありで500Ω以下) |
D種接地 | 300V以下の低圧機器(一般家電・エアコン・洗浄便座等) | 100Ω以下(漏電遮断器ありで500Ω以下) |
接地工事のゴールは、「規定された接地抵抗値(Ω:オーム)を確実にクリアすること」です。土質(砂利・岩盤・粘土など)によって大地の抵抗(固有抵抗)が異なるため、現場環境に合った最適な工法を選ぶ必要があります。
2. 工法①:アース棒(接地棒)打込み工法
最も一般的かつベーシックな施工方法が「アース棒(接地棒)」を使用する方法です。

アース棒の特徴と原理
アース棒は、鋼心の周囲に銅を被覆した金属製の棒(長さ約0.9m〜1.5m程度)です。これをハンマーや電動ハンマーを用いて垂直に地中深くへ打ち込みます。
得意な現場:土壌が柔らかく、ある程度深く掘り下げ・打ち込みができる現場
苦手な現場:岩盤層、礫(石ころ)が多い地層
施工手順
掘削:地表から75cm以上の深さまで穴を掘ります(外傷防止のため、接続部や導線は地下75cm以上に埋設することが電気設備技術基準で定められています)。
打込み:アース棒を地面に対して垂直に叩き込みます。1本で規定の抵抗値が出ない場合は、連結式のアース棒を用いて2本・3本と深く打ち込むか、一定の間隔(2m以上)を空けて複数本打ち込み、並列接続します。
結線:リード端子やリード線(接地線)をかしめ接続または溶接接続します。
埋戻し・測定:接地抵抗計(アーステスター)で抵抗値を測定し、合格であれば埋め戻します。
3. 工法②:アース板(接地板)埋設工法
深さ方向に掘り進められない場合や、広い接触面積を確保したい場合に使用されるのが「アース板(接地板)」です。

アース板の特徴と原理
アース板は、銅製または銅めっきされた正方形・長方形の金属板(例:300mm×300mm、厚さ1.5mm〜3.0mmなど)です。大地と接触する面積が非常に広いため、浅い位置でも低い接地抵抗値を確保しやすいという特徴があります。
得意な現場:深さ方向へ棒を打込むのが難しい場所、建物の基礎工事時に併せて施工する現場
苦手な現場:掘削面積を広く確保できない狭小地
施工手順
床掘り:アース板がすっぽり収まる広さで、地表から75cm以上の深さまで穴を掘ります。
敷設:穴の底にアース板を設置します。通常は水分の多い下層土に接触させるため、水平または垂直に立てて設置します。
接続:アース板から出ているリード線と接地線を圧着・溶接にてしっかり接合します。
埋戻しと転圧:隙間ができないよう、細かい土(黒土や粘土質)で覆い、しっかり転圧(踏み固め)して大地と密着させます。
4. 工法③:接地低減剤(アース低減剤)併用工法
岩盤地帯や乾燥した砂地など、どうしても土壌の固有抵抗が高く、アース棒やアース板だけでは目標の抵抗値が出ない場合に強力なサポートとなるのが「接地低減剤」です。

接地低減剤の特徴と原理
接地低減剤(代表例:ニッピアース、タイゲロン、導電性コンクリートなど)は、導電性の高い炭素粉末やベントナイト、保湿剤などを配合した薬剤です。水で練ってアース棒やアース板の周囲に充填・施工することで、電極の実質的な表面積を劇的に広げ、周りの土壌との電気的接触を大幅に向上させます。
得意な現場:山岳地帯、岩盤地帯、砂利地、乾燥地帯
効果:通常の打込みに比べ、接地抵抗値を数分の一〜十分の一程度まで低減可能
施工手順
掘削・電極設置:アース棒の打込み、またはアース板の設置を行います。
低減剤の調合:粉末状の接地低減剤に規定量の水を加え、ペースト状に練り上げます。
充填:電極(アース棒・板)の周りに流し込み、隙間なく被覆します。
養生・埋戻し:低減剤が地中に馴染んだ後、土を埋め戻して固めます。
5. 工法④:水平埋設(溝掘り工法)
深く掘削することが不可能な岩盤地帯や、広大な敷地を利用できる変電所・大規模プラントなどで採用されるのが「水平埋設(溝掘り工法)」です。
水平埋設の特徴と原理
垂直に深く棒を打込むのではなく、地表から75cm以上の深さで横方向に長溝を掘り、そこに裸銅線(より線)や長尺のアース棒を水平に敷設する工法です。
得意な現場:少し掘るとすぐに硬い岩盤が出てくる現場、広い敷地が確保できる場所
苦手な現場:敷地面積が狭い現場
施工手順
溝掘り(トレンチ掘削):重機(バックホウ等)やスコップで、深さ75cm以上、長さ十数メートル〜数十メートルの溝を掘ります(格子状や放射状に掘る場合もあります)。
導線敷設:溝の底に裸銅線(例:22sq〜60sq等の太い銅線)を水平に敷き詰めます。
埋戻し・転圧:導線が土としっかり接触するように丁寧に埋め戻し、転圧を行います。必要に応じて接地低減剤を併用する場合もあります。
6. 4つの施工方法の比較表
各工法にはそれぞれの強みと適した現場があります。特徴を一覧で確認してみましょう。
工法 | 主な特徴 | コスト | 施工の手間 | 適した現場・土質 |
|---|---|---|---|---|
アース棒工法 | 最も標準的。手軽に打込み可能 | 安価 | 非常に手軽 | 一般住宅・小規模店舗・標準的な土壌 |
アース板工法 | 接触面積が広い。深掘り不要 | 中程度 | やや手間(床掘りが必要) | 深く掘れない現場・建物基礎工事時 |
接地低減剤併用 | 抵抗値を劇的に下げる | やや高価 | 手間(撹拌・充填作業) | 岩盤・砂利・山岳地帯・高難易度現場 |
水平埋設工法 | 横長に溝を掘り裸銅線を敷設 | 高価(重機等) | 大規模作業 | 縦に掘れない岩盤地帯・大型施設 |
7. まとめ:現場環境に合わせた資材選びが成功の鍵!
アース工事(接地工事)で確実に目標の接地抵抗値を出すためには、現場の土質や敷地の状況を正しく把握し、最適な工法と資材を選択することが重要です。
通常の土壌であれば:まずは手軽なアース棒で打込み
深く打込めない場所なら:アース板または水平埋設
それでも抵抗値が出ない場合:接地低減剤を併用する
正しくアースを構築し、安全な電気環境を整えましょう。
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