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【高圧受電設備の基礎知識】受電方式の違いとは?

【高圧受電設備の基礎知識】受電方式の違いとは?

26/05/22 09:28

高圧電力(6600V)を契約して自社ビルや工場、商業施設に電気を引き込む際、重要になるのが「受電方式」です。 受電方式は、建物の立地条件や電力会社の管轄エリア、また周辺の配電設備が「架空線(空中の電線)」か「地中線」かによって、採用すべき最適な方法が異なります。 本コラムでは、高圧受電設備(キュービクル)の設置や更新を検討している事業者様・設備管理者様向けに、主要な3つの受電方式である「PAS(引込)方式」「出迎え方式(PASなし)」「UGS引込方式」について、それぞれの仕組みやメリット・デメリットを分かりやすく解説します。

受電方式を理解するための重要キーワード

各方式の解説に入る前に、高圧受電において必ず知っておくべき2つの重要な言葉があります。

  • 責任分界点: 電力会社の設備(配電線)と、需要家(お客様)の設備の境界を示すポイントです。

    ここで万が一のトラブルを食い止めるための「開閉器(スイッチ)」をどのように設置するかが、受電方式の大きな違いとなります。

  • 波及事故: お客様の敷地内にある電気設備で漏電(地絡)やショート(短絡)などの事故が起きた際、その異常な電流が電力会社の送電網に流れ込み、近隣一帯の病院や信号機、他社の工場などを巻き込んで大規模な停電を引き起こしてしまう事故のことです。波及事故を起こすと多額の損害賠償を請求される恐れがあるため、これを防ぐ仕組みづくりが極めて重要です。

最も一般的な「PAS(引込み)方式」

PAS(気中開閉器:Pole Air Switch)を使用した引込方式は、架空線(電柱からの空中配線)から高圧受電する場合に最も広く採用されている標準的な方式です。

仕組み

電力会社の電柱から、お客様の敷地内に建てた最初の電柱(第1柱、または構内柱と呼ばれます)に電気を引き込みます。

その第1柱の最上部付近に「PAS」と呼ばれる開閉器を取り付け、そこを責任分界点とします。

メリットとデメリット

  • メリット:波及事故を強力に防ぐ PASには、地絡や短絡などの異常電流を瞬時に検知して自動で電気を遮断する機能(SOG機能など)が備わっています。

         自社の設備で事故が起きても、PASが作動することで電力会社側への影響を遮断し、波及事故を高い確率で防ぐことができます。

  • デメリット:設置スペースの確保が必要 お客様自身の負担で敷地内に第1柱を建て、維持管理する必要があるため、建柱スペースの確保と初期費用がかかります。

電柱を建てない「出迎え方式(PASなし)」

敷地が狭く、構内に電柱を建てるスペースがどうしても確保できない場合などに採用されるのが「出迎え方式」です。

仕組み

お客様の敷地内に第1柱やPASを設けず、道路にある電力会社の電柱から直接、建物の屋上や敷地内にあるキュービクル(高圧受電設備)までケーブルを引き込みます。

キュービクル内にある最初のスイッチ(LBSやVCBなど)が責任分界点となります。

メリットとデメリット

  • メリット:スペースの有効活用とコスト削減:構内に電柱を建てる必要がないため、敷地を広く使え、外観もスッキリします。建柱工事費やPAS自体の購入費用もかかりません。

  • デメリット:波及事故のリスクが極めて高い お客様の敷地に入ってからキュービクルに到達するまでの引き込みケーブル(高圧線)に、PASのような保護装置がありません。

          もしこの区間でケーブルが劣化し漏電事故などが起きると、そのまま電力会社の変電所のブレーカーを落としてしまい、確実に波及事故へと発展します。                リスクが高いため、近年では電力会社からの承認条件が厳しくなっている方式です。

地中化エリアで活躍する「UGS引込方式」

都市部の無電柱化(電線類地中化)が進んでいる地域や、大規模な開発エリアで採用されるのが「UGS引込方式」です。特に東京電力管内の都市部などで一般的な方式となっています。

仕組み

空中の電柱からではなく、地中を通っている電力会社の配電線から、地下を経由して敷地内に電気を引き込みます。

敷地内の受電設備の手前(地上に設置した専用キャビネット内など)に、UGS(地中線用ガス開閉器:Underground Gas Switch)を設置し、これを責任分界点とします。

メリットとデメリット

  • メリット :景観が良く、安全性も高い PAS方式と同様に、UGSが地絡・短絡事故を検知して遮断するため、波及事故を未然に防ぐことができます。

          また、ケーブルがすべて地中や地上キャビネット内に収まるため景観が美しく、台風の強風や飛来物、鳥獣による断線リスクも大幅に低減されます。

  • デメリット:初期費用が高額になりやすい 地中埋設の配管・配線工事には大掛かりな土木工事が伴うため、架空線からの引込に比べて初期費用が跳ね上がります。

          また、UGS機器自体もPASに比べると比較的高価です。

まとめ:受電設備の更新時期にも要注意!

受電方式は「コストを抑えたい」「見た目を良くしたい」といった要望だけで自由に選べるものではありません。

敷地の立地条件、周辺の電力インフラ状況、そして各地域の電力会社の供給規定によって最適な方式が決定されます。

また、現在「PAS方式」や「UGS方式」を採用している場合でも、安心は禁物です。

PASやUGSのメーカー推奨更新時期は「約10年〜15年」とされています。

設置から長期間経過している場合、内部の劣化により「いざという時に作動しない」、あるいは「故障で自社が予期せぬ停電になる」といったリスクが高まります。

新規での高圧受電はもちろん、既存設備の改修をご検討の際は、電気工事会社や電気管理技術者などの専門家へ早めに相談し、自社の環境に合わせた最適な受電方式とメンテナンス計画を立てましょう。


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