
三相交流の「R・S・T相」とは?
電気工事や設備の現場で目にする「R・S・T」という表記。これは三相交流電源において、電力供給を行う3本の配線(各相)を区別するための識別記号です。 本項目では、R・S・T相の基本概念から記号の由来、配線色のルール、現場で重要な「相順」までご紹介します。
1. R・S・T相の役割と意味
三相交流では、3本の電線を使って電気を供給します。それぞれの電線に流れる電圧・電流の波形(位相)を識別するために割り振られているのがR相・S相・T相です。
R相(第1相):基準となる波形
S相(第2相):R相から120度遅れた波形
T相(第3相):S相からさらに120度(R相から240度)遅れた波形
この3つが互いに120度ずつ時期をずらして打ち消し合い・支え合うことで、常に一定の大きさを持ち、効率よく回転力を生み出す電力供給が可能になります。
2. なぜ「R・S・T」と呼ぶのか?(由来と覚え方)
記号の由来
アルファベットの「R・S・T」自体には、特定の英語の頭文字といった学術的意味はありません。
電磁気学や数学で頻繁に使われる記号(電力 $P$、無効電力 $Q$ など)との混同を避けるため、アルファベット順(P, Q, R, S, T…)の中から、識別しやすく呼びやすい連続した3文字が選ばれたとされています。
現場での覚え方
現場や実務では、記憶しやすいよう以下の英単語や色に当てはめて覚えるのが一般的です。
R:Red(赤) / 第1相
S:Shiro(白) / Second(2番目)
T:Third(3番目)
3. R・S・T相の標準的な配線色ルール
日本国内(JIS規格や内線規程)では、施工時やメンテナンス時の誤接続を防ぐため、配線色で識別します。
相(記号) | 標準配線色 | 備考 |
R相 | 赤(Red) | L1 / 第1相 |
S相 | 白(White) | L2 / 第2相(中性線・接地側の場合あり) |
T相 | 青(Blue) または 黒(Black) | L3 / 第3相 |
配線盤やブレーカーの端子台では、向かって左から「赤・白・青(黒)」の順にR相・S相・T相が接続されるのが基本の配置です。
4. R・S・T相を扱う際の重要注意点:「相順」と「逆相」
R・S・T相を取り扱う上で最も重要なのが、波形が巡る順番である「相順(そうじゅん)」です。
正相(順相):波形が R → S → T の順番でピークを迎える正しい状態。
逆相:結線を入れ替えるなどして、順番が R → T → S と逆になった状態。
逆相が発生した場合の影響
三相で動く設備やモーターに給電する際、相順が「逆相」になるとモーターが逆回転します。ポンプやファン、コンベアなどの設備で意図しない逆回転が起きると、機械の破損や現場事故につながる恐れがあります。
そのため、結線作業や結線変更を行った後は、必ず専用の測定器(検相器)を用いてR・S・Tの相順が「正相」であることを確認する作業が不可欠です。
5. まとめ
R・S・T相は、三配送相交流の3本の電線(各相)を識別するための記号。
120度の位相差を持ち、R → S → T の順に波形が変化する。
配線色は一般的に R=赤、S=白、T=青(または黒)。
相順(R→S→T)を間違えて逆相にすると機器が逆回転するため、施工時の確認が必須。
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