
分電盤の「入線」と「出線」の違いとは?電気工事の基本構造と安全知識を徹底解説
分電盤や電気配線工事の現場で頻繁に使われる「入線(にゅうせん)」と「出線(しゅっせん)」。 どちらも電気が通る電線ですが、その役割や接続場所、安全上の注意点は大きく異なります。 本コラムでは、電気工事の基礎知識として、入線と出線の根本的な違いや見分け方、工事・点検時の注意点を分かりやすく解説します。
1. 入線と出線の根本的な違い(基本概念)
電気回路において、電気がどこから来てどこへ流れていくかという方向性を示す用語が「入線」と「出線」です。専門用語では一次側(いちじそく)・二次側(にじそく)とも表現されます。
入線(一次側): 電力会社や上位設備から分電盤へ「入ってくる」電線
出線(二次側): 分電盤から各部屋の照明・コンセント等へ「出ていく」電線
比較項目 | 入線(電源側 / 一次側) | 出線(負荷側 / 二次側) |
電気の流れ | 分電盤の中へ電力を引き込む | 各機器・設備へ電力を分配して送り出す |
主な接続箇所 | 主幹ブレーカー(漏電遮断器)の上部 | 分岐ブレーカーの下部 |
電線の太さ | 施設全体の電流を賄うため太い(CV線など) | 回路ごとの容量に合わせた細い線(VVF線など) |
流れる電流容量 | 施設全体の総電流(大容量) | 15A〜20A程度(小容量) |
トラブル時の影響 | 全館停電・全体遮断につながる | 該当する回路のみの局所的な停電 |
2. 「入線(一次側)」の役割と特徴
① 電気の「入口」として全体電力を引き込む
入線は、電柱からの引き込み線、キュービクル(高圧受電設備)、あるいは上位の配電盤から電力を受け取り、分電盤内部へ導く役割を果たします。
② 主幹ブレーカーの上部に接続される
分電盤を開くと、盤全体を制御する大型の「主幹ブレーカー(リミッターや漏電遮断器)」が設置されています。
入線はこの主幹ブレーカーの入力側端子(上部)に結線されます。
③ 許容電流の大きい「幹線ケーブル」が使われる
建物全体の消費電力を一括で流す必要があるため、出線よりもはるかに太い電線(単相3線式であれば赤・白・黒の太い幹線など)が使用されます。
3. 「出線(二次側)」の役割と特徴
① 電気の「出口」として末端設備へ電力を配分する
主幹ブレーカーを通過した電気は、銅製の接続バー(バスバー)を経由して複数の小型「分岐ブレーカー」へ分配されます。
この分岐ブレーカーから各部屋のコンセント、照明、エアコン、換気扇などへ向かう電線が出線です。
② 分岐ブレーカーの下部に接続される
出線は各分岐ブレーカーの出力側端子(下部)に接続され、天井裏や壁裏を通って各設備まで配線されます。
③ 用途に応じたVVFケーブルなどが選定される
各回路の容量(一般的なコンセント回路であれば15A〜20A)に合わせて、扱いやすく絶縁性の高いVVFケーブル(平形ビニルシースケーブル)などが使用されます。
4. 図面や現場での見分け方
■ 単線結線図(電気図面)での見分け方
電気図面では、原則として上から下、または左から右へと電気の流れを描きます。
上部・左側(電源側): 入線(IN)
下部・右側(負荷側): 出線(OUT)
■ 実物の分電盤での見分け方
分電盤の中身を確認する際は、ブレーカーの位置で判別できます。
主幹ブレーカーの上から伸びている太い線 = 入線
ずらりと並んだ分岐ブレーカーの下から伸びている多数の線 = 出線
5. 電気工事・メンテナンス時の安全上の注意点
⚠️ 主幹ブレーカーOFFでも入線側は「活線状態」
最も注意すべきなのは、「主幹ブレーカーを落としても、入線(一次側)には電圧がかかり続けている」点です。
主幹ブレーカーをOFFにすれば出線(二次側)への通電は止まりますが、入線の接続端子には電力会社からの電気がそのまま届いています。
保護板を外して作業をする際、入線端子に触れると重大な感電死亡事故につながります。入線側の作業を行う際は、必ず上位の元電源を断つか、適切な絶縁保護具を着用してください。
💡 接続部(ネジ)の緩み・トルク管理
入線・出線ともに、端子部のネジが緩んでいると接触抵抗が大きくなり、異常発熱や火災の原因となります。定期点検時の増し締めや指定トルクでの施工が必須です。
まとめ
分電盤における「入線」は電気を引き込む大動脈(一次側)であり、「出線」は各末端へ届ける毛細血管(二次側)です。この構造と違いを正しく理解しておくことは、設備の安全管理や施工・メンテナンスを行う上で非常に重要です。
よくある質問
この商品について質問がありますか?コミュニティや専門家に質問してください。




















