
LBSとVCBの違いとは?
工場やビル、商業施設などに設置されているキュービクル。 その中には、安全に電気を供給・制御するためのさまざまな機器が収められています。中でも、電気回路の開閉を担う主要な機器がLBS(高圧交流負荷開閉器)とVCB(真空遮断器)です。 一見すると似たような役割を持つ機器に思えますが、両者は「通常時の操作」を目的とするか、「緊急時の保護」を目的とするかで明確な違いがあります。本記事では、LBSとVCBの基本的な仕組みから、決定的な違い、そして設備規模に応じた使い分けまでを徹底解説します。
LBS(高圧交流負荷開閉器)とは?
LBSは「Load Break Switch」の略称で、日本語では高圧交流負荷開閉器と呼ばれます。
主にキュービクル内の変圧器(トランス)や高圧進相コンデンサなどの一次側に設置され、電気回路の開閉を行います。
特徴と役割
LBSの最大の役割は、「平常時に流れている電流(負荷電流)を安全に開閉すること」です。
施設内のメンテナンスや機器の点検を行う際に、手動または自動で電気を入り切りするために使用されます。
ただし、LBS単体では、落雷や機器の故障によって発生する莫大な「短絡電流(ショートによる大電流)」を遮断する能力はありません。
そのため、一般的には電力ヒューズ(PF:Power Fuse)と組み合わせて使用されます。万が一事故電流が流れた際は、ヒューズが溶断することで回路を強制的に遮断し、波及事故を防ぎます。
VCB(真空遮断器)とは?
VCBは「Vacuum Circuit Breaker」の略称で、日本語では真空遮断器と呼ばれます。
高圧受電設備の主遮断器として、電気事故から施設全体を守るための「要(かなめ)」となる機器です。
特徴と仕組み
VCBは、平常時の負荷電流を開閉できるのはもちろんのこと、「短絡電流などの非常に大きな事故電流を瞬時に遮断できる」のが最大の特徴です。
高圧電流を遮断する際、電極間には「アーク」と呼ばれる強烈な火花(放電現象)が発生します。
VCBは、電極部分が真空の容器(真空バルブ)で密閉されており、真空の高い絶縁耐力を利用してこのアークを瞬時に消し去り(消弧)、安全かつ高速に電流を遮断します。
保護継電器(リレー)からの信号を受け取り、自動で動作するシステムに組み込まれるのが一般的です。
LBSとVCBの3つの決定的な違い
両者の違いをより深く理解するために、3つのポイントに分けて解説します。
① 事故電流(短絡電流)の遮断能力
最も重要な違いは、単体での事故電流遮断能力の有無です。
VCB:単体で大容量の短絡電流を遮断可能。遮断後も、原因を取り除けばスイッチを入れて再利用できます。
LBS:単体では短絡電流を遮断できません。ヒューズ(PF)と組み合わせる必要があり、ヒューズが溶断した場合は新しいものに交換する手間とコストがかかります。
② アークの消弧方式と耐久性
VCB:真空中で開閉を行うため、アークがすぐに消え、電極の消耗が非常に少ないのが特徴です。多頻度の開閉や長期間の使用に優れています。
LBS:空気中やガス中で開閉を行うため、VCBほどの消弧能力はありません。消弧室と呼ばれる特殊な構造でアークを熱冷却して消しますが、耐久性はVCBに劣ります。
③ 導入コストとキュービクルの受電方式
VCB:機器自体が高価であり、付随する保護継電器なども必要なため、初期費用が高くなります。
主に受電容量が300kVAを超える中〜大規模な施設(CB形受電設備)の主遮断器として採用されます。
LBS:機器が小型で軽量、コストも安価です。
受電容量が300kVA以下の小規模な施設(PF-S形受電設備)の主開閉器として、あるいは大規模施設における分岐回路用のスイッチとして採用されます。
【一覧表】LBSとVCBの比較まとめ
それぞれの違いを分かりやすく表にまとめました。
比較項目 | LBS(高圧交流負荷開閉器) | VCB(真空遮断器) |
主な用途 | 負荷電流の開閉(変圧器やコンデンサの入り切り) | 設備全体の保護、主回路の遮断 |
負荷電流の開閉 | 可能 | 可能 |
事故電流の遮断 | 単体では不可(電力ヒューズが必要) | 単体で可能(瞬時に遮断) |
消弧(アークを消す)方式 | 空気中・ガス中 | 真空中(真空バルブ内) |
開閉寿命・耐久性 | 普通 | 非常に高い(多頻度開閉に強い) |
導入コスト | 安価 | 高価 |
主な適用規模 | 300kVA以下の主開閉器(PF-S形) | 300kVAを超える主遮断器(CB形) |
まとめ:設備規模と目的に合わせた適切な選定を
LBSとVCBは、どちらも高圧受電設備において欠かせない存在です。
安価でコンパクトなLBSは、小規模施設の主電源や、設備内での細かな回路切り替えに最適です。
一方、高性能で安全性の高いVCBは、万が一の電気事故から大規模な施設を確実にお守りするための主役として活躍します。
自社の受電設備の容量(300kVAがひとつの目安)や、運用方法に合わせて、それぞれの特性を理解し適切に使い分けることが、電気設備の安全とコストダウンの両立に繋がります。
設備の改修や新設の際は、ぜひこれらの違いを念頭に置いて計画を立ててみてください。
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