
キュービクルへの避雷器(LA)設置のススメ
キュービクルへの避雷器(LA)設置のススメ 工場の心臓部であるキュービクルには、法的義務はなくとも**「避雷器(LA)」**の設置が不可欠です。避雷針では防げない電線を伝う雷サージは、高価な変圧器や精密基板を一瞬で破壊します。 未設置による最大のリスクは、設備の全損だけでなく、復旧までの数週間におよぶ**「事業停止」**です。昨今の電子機器の繊細化や異常気象を踏まえ、安価な保険として対策を推奨します。資産と事業継続を守るため、点検や後付けをご検討ください。 【お問い合わせ】 小川電機株式会社 担当:前田(1級電気施工管理技士) フリーダイヤル:0120-855-086(平日9:00〜17:00
情報コラム:キュービクルへの避雷器(LA)設置のススメ
〜目に見えない雷の脅威から、貴社の資産と事業継続を守るために〜
はじめに
工場やビル、商業施設などの運営において、心臓部とも言える設備が**「キュービクル(高圧受電設備)」**です。電力会社から送られてくる6,600Vの高電圧を受け取り、施設内で使用できる電圧に変換するこの設備は、現代のビジネス活動において欠かせないインフラです。
しかし、このキュービクルが「雷」に対して無防備であった場合、どうなるでしょうか。
「うちは避雷針があるから大丈夫」「今まで雷で壊れたことなんてない」――そうお考えのオーナー様や設備担当者様も多いかもしれません。しかし、実は避雷針だけでは防げない**「雷サージ」**という脅威が存在します。
本稿では、キュービクルにおける**「避雷器(LA:ライトニングアレスタ)」**の重要性について、法的側面や具体的なリスク、そして経営的な視点から詳しく解説いたします。
1. 避雷器(LA)とは何か?
避雷器(LA)は、正式名称を「ライトニングアレスタ」と言います。その役割を一言で言えば、**「雷によって発生した異常な高電圧(雷サージ)を、機器にダメージを与える前に地面に逃がす道を作る」**装置です。
避雷針との違い
よく混同されますが、避雷針と避雷器は役割が全く異なります。
避雷針: 建物への「直撃雷」を呼び込み、建物の構造体を破壊しないよう地面に逃がすもの。
避雷器: 電線を伝わって侵入してくる「侵入雷(雷サージ)」から、キュービクル内部の精密機器を保護するもの。
つまり、避雷針があっても、電線を通じてやってくる電気的な衝撃からは守り切れないのです。
2. 法的な義務はあるのか?
結論から申し上げますと、一般的な民間施設(ビルや工場)のキュービクルにおいて、避雷器の設置は「法的義務」ではありません。
経済産業省の定める「電気設備の技術基準」の解釈(第37条)では、発電所や変電所、またはそれに準ずる場所、あるいは高圧架空電線路から供給を受ける特定の条件下では設置が義務付けられています。しかし、多くの民間需要家(小規模〜中規模の受電設備)においては、「推奨」という扱いに留まっているのが現状です。
「義務ではない=付けなくて良い」という意味ではありません。 かつては「雷が多い地域だけで良い」とされていましたが、昨今の異常気象や、電子機器の高度化・繊細化に伴い、設置しないことのリスクは年々増大しています。
3. 未設置に伴う「目に見えないリスク」
オーナー様や経営層の方々にとって、最も懸念すべきは「故障そのもの」よりも、その後に発生する**「二次的な損失」**です。
① 設備の全損と高額な復旧費用
雷サージがキュービクル内に侵入すると、変圧器(トランス)や遮断器、制御基板を直撃します。これらは非常に高価な部品であり、一度絶縁破壊を起こせば修理は不可能で、交換には数百万円単位の費用がかかることも珍しくありません。
② 長期にわたる「事業停止」のリスク
キュービクルが故障するということは、施設全体が「全系停電」に陥ることを意味します。
工場: 生産ラインがストップ。納期遅延による損害賠償や信頼失墜。
オフィスビル: エレベーター、照明、空調、サーバーが停止。テナントへの補償問題。
商業施設・冷蔵倉庫: 食品の廃棄損、営業不能による利益喪失。
特に、特注品に近い大型の変圧器などが故障した場合、現在の半導体不足や物流の不安定さから、復旧までに数週間、場合によっては数ヶ月を要するケースも出ています。
③ 精密機器のサイレント・ダメージ
雷が落ちた瞬間には壊れなくても、小さな雷サージが繰り返されることで、パソコン、サーバー、LED照明のコントローラーなどの寿命が著しく縮まる「蓄積疲労」のリスクがあります。
4. なぜ今、避雷器の設置が必要なのか
昔の電気設備は「頑丈な鉄の塊」のような構造が多く、多少の電圧変化には耐えられました。しかし、現代の設備は省エネや高効率化のために、高度な電子制御基板を搭載しています。
低耐圧化: 電子部品は非常に低い電圧で作動しており、わずかな過電圧でパンクします。
気候変動: ゲリラ豪雨に伴う落雷の発生回数は、統計的にも増加傾向にあります。
保険の適用可否: 火災保険(機械保険)でカバーできる場合もありますが、対策を怠っていた場合の過失や、そもそも事業停止による損失(利益保険に入っていない場合)までは補填されません。
5. 導入のコストパフォーマンス
避雷器自体の費用は、キュービクル全体の資産価値や、事故が起きた際の損失額に比べれば極めて安価です。
定期点検や更新時期に合わせて避雷器を後付け、あるいは最新の「内蔵型」に更新することは、一種の**「安価な保険」**と言えます。特に10年以上前のキュービクルをお使いの場合、避雷器自体の劣化(絶縁能力の低下)も考えられるため、最新の「酸化亜鉛形(ギャップレス)避雷器」への交換を強く推奨します。
6. 設備担当者様・オーナー様へ
「義務ではないから」という理由で対策を先送りにすることは、いわば「いつ起こるかわからない大災害に対して、無保険で立ち向かっている」状態です。
雷は防ぐことはできませんが、雷による被害は「技術」で防ぐことができます。
今回のコラムを機に、ぜひ一度貴社の受電図面を確認してみてください。そこに「LA」の記号はありますか? もし不明な点があれば、電気設備のプロフェッショナルによる診断をお勧めいたします。
7. まとめ:資産を守るための「攻めの守り」
キュービクルは、建物の外からは見えにくい場所にあり、普段は意識されることの少ない設備です。しかし、一度トラブルが起きれば、その影響範囲は計り知れません。
避雷器の設置は、単なるメンテナンス費用ではなく、「事業継続計画(BCP)」における重要な投資です。落雷被害に遭ってから「あの時付けておけばよかった」と後悔する前に、万全の対策を講じることを強くお勧めいたします。
お問い合わせ・ご相談窓口
キュービクルの点検、避雷器の設置・更新に関するご相談は、以下の窓口までお気軽にお問い合わせください。1級電気施工管理技士が、貴社の設備の現状に合わせた最適なプランをご提案いたします。
小川電機株式会社 担当:前田(1級電気施工管理技士)
前田 恭宏
前田です
