
【キュービクル内蔵機器コラム #03】LBS(高圧交流負荷開閉器)とは?中小型キュービクルの頼れる実力派を徹底解説
前回のコラムでは、大容量設備で圧倒的な遮断性能を発揮する「VCB(真空遮断器)」についてご紹介しました。 「うちのキュービクルにもVCBが入っているのかな?」と思われた方もいるかもしれません。しかし、契約電力500kW未満の中小型ビルやマンション、店舗などの多くでは、VCBではなく今回ご紹介する「LBS(高圧交流負荷開閉器)」がメインの遮断・開閉装置として活躍しています。 点検報告書で「LBSの経年劣化」を指摘されても、「まだ電気はついているから」と放置されがちなこの機器。実は、劣化を放置するとある日突然の全館停電を引き起こす非常に危険なリスクを秘めています。 今回は、LBSの役割やVCBとの違い、寿命、そして交換しないことによるリスクについてわかりやすく解説します。
1. LBS(高圧交流負荷開閉器)とは?手動スイッチとヒューズの二刀流
LBS(Load Break Switch)は、日本語で「高圧交流負荷開閉器」と呼ばれ、高圧電力の回路を開閉(オン/オフ)するための機器です。
VCBが「電子制御された自動の超強力ブレーキ」だとすれば、LBSは「手動スイッチ」に「使い捨ての安全ヒューズ」を組み合わせた実力派機器と言えます。
LBSの2つの大きな役割
① 通常時の手動スイッチ(負荷開閉機能)
点検作業や設備修繕の際、作業員が手動操作で安全に電気を遮断・投入するための開閉器として機能します。
② 事故発生時の緊急遮断(高圧電力ヒューズ)
LBSには「高圧電力ヒューズ」がセットでセットされています。万が一、構内でショート(短絡事故)などの重大な事故が起きた場合、ヒューズ内部の金属が事故電流の熱で瞬時に溶けて(溶断)、電気を物理的に遮断します。
このシンプルな「手動操作+ヒューズ保護」という仕組みにより、コンパクトかつ低コストで高圧受電設備を守ることができるため、中小型の施設で広く採用されています。
2. LBSとVCBの違いは?(簡単比較)
ここで、前回紹介したVCBとの違いを整理しておきましょう。
比較項目 | LBS(高圧交流負荷開閉器) | VCB(真空遮断器) |
主な設置対象 | 中小型施設(契約電力500kW未満) | 大型施設・大容量(契約電力500kW以上) |
事故遮断の方法 | ヒューズの溶断(使い捨て・要交換) | 真空容器内での放電消滅(何度でも復旧可) |
コスト・サイズ | コンパクトで安価 | 大型で高価(継電器なども必要) |
更新推奨時期 | 10年〜15年 | 15年〜20年 |
「自社にはどちらがついているか分からない」という場合でも、電気主任技術者の点検報告書や現地調査で一目で判別可能です。
3. LBSの寿命は「10〜15年」!放置する2大リスク
LBSは長年の使用により、可動部の金属疲労や絶縁材料の劣化が進みます。日本電機工業会(JEMA)が定める更新推奨時期は10年〜15年です。
トランス(変圧器)の推奨時期(15年〜20年)よりも寿命が短いため、「キュービクル本体を丸ごと買い替える前に、まずLBSが寿命を迎える」ケースが多い点に注意してください。
寿命を過ぎたLBSを放置すると、以下のような深刻なトラブルにつながります。
リスク①:事故もないのに突然停電する「ヒューズの誤溶断」
事故が起きていないにもかかわらず、長年の負荷や熱で劣化して弱ったヒューズが突然切れてしまう現象(誤溶断)です。
これにより、何の前触れもなくビルやマンション全体が突発的な停電に見舞われます。さらに、3本あるヒューズのうち1本だけが切れる「欠相(けっそう)」という状態になると、給水ポンプやエレベーターのモーターに異常電流が流れ、機器の破損・焼き付きという二次被害に発展します。
リスク②:近隣地域を巻き込む「波及事故」の発生
万が一、構内で短絡事故が発生した際、老朽化したLBSの可動部が固着して正常に作動しなかったり、ヒューズの性能が落ちていたりすると、事故電流を止められません。
その結果、電力会社の送電網を通じて近隣のオフィスや病院、住宅地一帯まで停電させる「波及事故」を引き起こし、多額の損害賠償や社会的信用の失墜を招くことになります。
4. 費用を抑えるなら「LBS単体の部分交換」が有効
「点検でLBSの交換を指摘されたけれど、キュービクル全体の更新となると予算が取れない…」
そのような場合は、LBS単体(およびヒューズ)の「部分更新(機器交換)」がおすすめです。
キュービクル全体の丸ごと更新には数百万円の費用がかかりますが、LBSをはじめとする劣化機器のみをピンポイントで交換すれば、工事費用や停電時間を最小限に抑えることができます。計画的な予防保全を行うことが、結果として最大のコスト削減につながります。
5. まとめ&次回予告
中小型受電設備の安全を陰で支える「LBS(高圧交流負荷開閉器)」。
10〜15年という寿命を意識し、点検で指摘されたタイミングで早めに交換・改修を行うことが、突発的な全館停電を防ぐ一番の近道です。
しかし、もし構内で万が一の重大事故が起きてしまった場合、その被害が自社の建物内だけで収まらず、近隣一帯へ広がってしまうリスクがあります。
👉 次回のコラム(#04)では、地域一帯を巻き込む「波及事故」を遮断する最後の砦、「PAS / UGS」について解説します!お楽しみに!
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