
非常用発電機の導入を検討中の企業・施設担当者必見。容量(kVA)選定の考え方、消防法などの法律要件、稼働時間の決め方まで、失敗しない導入手順を3ステップでわかりやすく解説します。
地震や台風といった自然災害による突然の停電(ブラックアウト)。その備えとして「非常用発電機」の検討を始める企業が増えています。
しかし、いざ専門業者やメーカーのカタログを開くと、「kVA(キロボルトアンペア)」「始動負荷」「防災電源」といった専門用語が並び、導入ハードルの高さを感じる担当者様も少なくありません。
ここで絶対に避けるべきなのが、以下の2つの決め方です。
「予算がないから、一番安い(容量が小さい)ものを買っておこう」
👉 停電時に電力が足りず、一番動かしたい機器が起動しない(容量不足)の原因になります。
「よくわからないから、一番大きいのを買っておこう」
👉 オーバースペックによる過剰な導入コスト・維持費の増大につながります。
非常用発電機は一般的な家電と異なり、施設の規模・配線構造・使用目的に合わせた「オーダーメイド(個別最適)」の選定が必須です。
本記事では、施設の防災担当者様が迷わずに導入を進めるための「失敗しない3つのステップ」を解説します。
まず最初に行うべきは、「停電した際、最低限どの設備を稼働させるか」の整理です。これを専門用語で「負荷(ふか)の選定」と呼びます。
自社の施設内で動かしたい設備を、以下の2パターンに分けてリスト化しましょう。
消防法や建築基準法により、設置やバックアップ電源の確保が義務付けられている設備です。命を守るための基幹インフラとなるため、優先度は最上位になります。
スプリンクラー・消火ポンプ
自動火災報知設備
排煙設備・避難用誘導灯
非常用エレベーター
企業の業務継続(BCP対策)や、施設利用者の安全確保に必要な設備です。
サーバー・PC・通信機器(データ保護・連絡手段)
照明設備・セキュリティシステム
冷暖房・空調設備・冷蔵冷凍庫(食品や医薬品の管理)
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「すべての設備を動かしたい」となると、発電機の容量(kVA)が巨大化し、導入費用や燃料備蓄量が跳ね上がります。まずは**「最悪の事態でもこれだけは一晩動かす」という最低ライン(優先順位)**を定めることが、適正コストでの導入の第一歩です。
次に決めるべきは、発電機の「スタミナ(連続稼働時間)」です。非常用発電機は燃料(軽油、A重油、LPガスなど)で駆動するため、想定する稼働時間によって「燃料タンクの容量」や「設置場所」が変わります。
目的 | 想定稼働時間 | 特徴・用途 |
法的基準(最小限) | 1時間(60分) | 消防法などで定められた基本ライン。短時間の避難誘導を目的とする |
BCP初期対応 | 24時間 | 救助体制が整うまでの一次しのぎ。初動対応とデータ保全を重視 |
ライフライン復旧 | 72時間(3日間) | 広域停電(ブラックアウト)を想定。支援物資や復旧までの完全自活 |
「短時間で安全に避難完了できればよい施設」なのか、「3日間は施設にとどまり業務や支援を継続する拠点」なのかによって、選ぶべきスペックは明確に分かれます。
使用したい「設備」と「時間」の方向性が見えたら、無理に社内だけで判断せず、実績のある専門業者へ相談しましょう。
非常用発電機は、本体を購入して設置すれば完了するわけではありません。
複雑な電気工事(受変電設備・キュービクルや配線との接続)
法規制のクリア(消防法・建築基準法・大気汚染防止法・騒音規制法など)
換気・排気ルートの確保(有毒な排気ガスや熱を逃がす屋外・屋上への設置計画)
優れた業者は、担当者様の「これくらい動かしたい」というご要望をもとに、実地調査(現地調査)を行った上で「最適な容量(kVA)の算出」「各種法令をクリアする設置計画」を提案してくれます。
非常用発電機は、平常時には静かに備えられているだけの設備です。大きな投資であり、定期的な点検(法定点検・負荷試験)などの運用コストもかかります。
しかし、予期せぬ大停電に見舞われた際、瞬時に作動して明かりやシステムを維持するその瞬間、発電機は「企業の事業継続(BCP)と、顧客・従業員の命を守る最大の防御陣」へと変わります。
「何から手をつければいいか分からない」という状態であれば、まずは「停電時に止まっては困る設備」をメモに書き出すことから始めてみてください。
その小さな一歩が、いざという時に企業価値と多くの笑顔を守る、最も確実なリスクマネジメントにつながります。
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