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デュアルフューエルタイプ非常用発電機の全貌

デュアルフューエルタイプ非常用発電機の全貌

26/05/13 14:55

デュアルフューエルタイプ非常用発電機は、液体燃料とガス燃料の両方で駆動できる次世代のバックアップ電源です。液体で迅速に起動し、安定後はクリーンなガスへ切り替える柔軟性を持ち、燃料不足やインフラ寸断のリスクを最小化します。国内では川崎重工、ダイハツ工業、ヤンマー、IHIの4大メーカーが独自の制御技術で市場を牽引しています。単一燃料機に比べ初期コストは高いものの、燃料劣化の抑制や環境性能、72時間を超えるBCP対策への有効性から、データセンターや病院など重要施設での導入が加速しています。

デュアルフューエルタイプ非常用発電機の全貌:災害時の「最後の砦」を守る

現代社会において、電力は水や空気と同じく、都市機能を維持するための生命線です。大規模な自然災害が相次ぐ中、データセンター、病院、放送局、そして大規模商業施設にとって、「停電をいかに回避するか」ではなく「停電時にいかに長時間、確実に電力を供給し続けるか」が、BCP(事業継続計画)の最重要課題となっています。

その解決策として今、大きな注目を集めているのが「デュアルフューエルタイプ非常用発電機」です。単一の燃料に依存せず、液体燃料とガス燃料の両方を使い分けることができるこの画期的なシステムについて、その仕組みや主要メーカー、他方式との比較を交えて詳しく解説します。


1. デュアルフューエルタイプ非常用発電機とは

「デュアルフューエル(Dual Fuel)」とは、文字通り「二重の燃料」を意味します。このタイプの発電機は、ひとつのエンジンやタービンで、液体燃料(ディーゼル油、A重油、灯油など)と気体燃料(都市ガス、天然ガス、プロパンガスなど)の2種類を燃焼させることができる発電装置です。

駆動のメカニズム

一般的に、停電が発生した直後は液体燃料で迅速に起動します。その後、運転が安定した段階で、より供給が安定しやすく排気もクリーンなガス燃料へと切り替えて運転を継続します。

このシステムの真骨頂は、「切り替えの柔軟性」にあります。万が一、地震などで都市ガスの供給が途絶えれば液体燃料に切り替え、逆に燃料タンクのストックが底を突きそうになれば、配管から供給されるガスを主燃料に据えるといった、状況に応じたハイブリッドな運用が可能です。


2. 国内4大メーカーの動向と特徴

日本の非常用発電機市場において、デュアルフューエル技術を牽引しているのが、川崎重工業、ダイハツ工業(ダイハツディーゼル)、ヤンマー(ヤンマーエネルギーシステム)、IHI(IHI原動機)の4社です。

それぞれのメーカーは、独自の技術でこの高度な燃料制御を実現しています。

  1. 川崎重工業
    ガスタービン技術において世界屈指の技術力を誇る川崎重工は、大型施設向けのデュアルフューエル・ガスタービン発電機で高いシェアを持っています。

    • 特徴: 液体燃料とガス燃料の切り替えが非常にスムーズで、運転中の負荷変動に対しても高い追従性を発揮します。航空機エンジン由来の堅牢な設計が、極限状態での信頼性を担保しています。

  2. ダイハツ工業(ダイハツディーゼル)
    中・大型のディーゼルエンジンを主力とするダイハツディーゼルは、船舶用で培ったデュアルフューエル技術を陸上の非常用発電機に応用しています。

    • 特徴: 液体燃料を「点火用」として微量使用し、主燃料にガスを用いる「マイクロパイロット射出方式」などに強みを持ちます。高効率かつ長時間の連続運転に耐えうる耐久性が評価されています。

  3. ヤンマー(ヤンマーエネルギーシステム)
    中小型から大型まで幅広いラインナップを持つヤンマーは、特に都市部のビルや施設への導入実績が豊富です。

    • 特徴: パッケージ化された製品(キュービクルタイプ)の展開に優れ、省スペースでの設置が可能です。また、ガスと液体の混合比率を緻密に制御する「ガス・ディーゼルエンジン」は、環境性能の高さでも知られています。

  4. IHI(IHI原動機)
    IHIは、ガスタービンとディーゼルエンジンの両面からデュアルフューエル化を推進しています。

    • 特徴: 2,000kWを超えるようなメガワットクラスの超大型設備に強みを持ち、データセンターなどの巨大インフラのバックアップとして重用されています。全電気式制御による、瞬時かつ無瞬断に近い燃料切り替え技術が特徴です。


3. 「ガスのみ」「液体のみ」との比較

非常用発電機の導入を検討する際、従来の「液体燃料のみ(ディーゼル)」や「ガスのみ(ガスエンジン)」と比較して、デュアルフューエルがなぜ優位とされるのか。その違いを整理します。

項目

液体燃料(ディーゼル)

ガス燃料(都市ガス等)

デュアルフューエル

即応性

非常に高い(10秒程度)

やや劣る(予熱等が必要)

高い(液体で起動)

燃料備蓄

タンク設置が必要(劣化リスク)

不要(導管供給)

ハイブリッド(最小限でOK)

供給継続性

在庫分のみ(補給困難な恐れ)

災害に強い(中圧導管時)

最強(両方のルートを確保)

環境性能

黒煙・NOx排出が多い

非常にクリーン

クリーン(ガス運転時)

導入コスト

標準的

やや高い

高い

メリットの深掘り

  1. 燃料の保存期限問題の解決: 軽油やA重油は、長期間放置すると酸化・劣化し、いざという時にエンジンが始動しないリスクがあります。デュアルフューエルなら、常時はガスを使用し、液体燃料は最小限の循環で済むため、燃料のフレッシュさを保ちやすくなります。

  2. 法規制への柔軟な対応: 消防法では非常用発電機に一定時間の液体燃料備蓄を義務付けていますが、デュアルフューエル機であれば、ガス供給を考慮した「燃料槽容量の減免」が認められるケースもあり、設計の自由度が高まります。

  3. 環境負荷の低減: 都市ガス運転時は、ディーゼル特有の黒煙やSOx(硫黄酸化物)がほとんど発生しません。近隣住宅地への配慮が必要な都市型ビルにおいて、これは大きなアドバンテージです。


4. BCP(事業継続計画)における重要性

東日本大震災や熊本地震、そして近年の激甚化する台風被害を経て、企業のBCP対策は「3日間(72時間)」の電力確保が標準となりつつあります。

液体燃料のみの場合、72時間分の燃料を地下タンクなどに備蓄するには膨大なスペースとコストがかかります。また、震災後の道路寸断により、タンクローリーによる燃料補給が数週間にわたってストップするシナリオも現実味を帯びています。

ここでデュアルフューエルタイプが真価を発揮します。
「最初の数時間は手元の備蓄油でしのぎ、その間にインフラとしてのガス供給が継続していれば、そのまま無期限に近い形で発電を続ける」という二段構えの戦略が可能になるのです。

特に都市ガスの「中圧導管」は地震に対する耐震性が極めて高く、ライフラインの中で最も復旧が早い、あるいは停止しにくいインフラとして信頼されています。


5. 導入に向けた課題と展望

もちろん、デュアルフューエル機にも課題はあります。

  • 最大の壁は、初期投資(イニシャルコスト)の高さです。2系統の燃料供給ラインと複雑な制御システムを搭載するため、単一燃料機に比べて価格は高くなります。

  • また、ガス導管を引き込むための工事費も必要です。

しかし、近年では政府や自治体による「BCP対策助成金」や「環境負荷低減に対する補助金」が充実しており、実質的な負担を抑えた導入が可能になっています。また、メンテナンスコストに関しても、液体の劣化によるトラブルが減ることで、長期的なライフサイクルコスト(LCC)では逆転する可能性も十分にあります。

結びに代えて

デュアルフューエルタイプ非常用発電機は、単なる「機械」ではなく、組織の「安心」を担保する投資です。
川崎重工、ダイハツ、ヤンマー、IHIといった国内メーカーが切磋琢磨し、世界最高水準の信頼性を築き上げているこの分野。電力不安が囁かれるこれからの時代において、企業が選ぶべき「最適解」のひとつとして、その存在感は今後ますます高まっていくことでしょう。


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