
シャントトリップ(SHT)付ブレーカーの徹底解説
シャントトリップ(SHT)は、外部信号により強制的にブレーカーを遮断させる装置です。近年、太陽光発電システムをキュービクルへ連携する際、大容量回路での不要動作を防ぐため、漏電遮断器(ELB)の代わりに「SHT付配線用遮断器(MCB)」が多用されています。特に混触防止板付変圧器を用いる構成では、外部の保護リレーが地絡を検知し、SHTを介して確実に回路を切り離します。この「リレー+SHT」の組み合わせにより、複雑な発電システムにおける高度な安全制御と法的遵守を両立させています。
シャントトリップ(SHT)付ブレーカーの徹底解説:電気設備の守護神
太陽光発電連携と混触防止板付変圧器における最新の活用事例についてご紹介します。電気設備の世界において、回路を保護する「ブレーカー」は最も身近な存在ですが、近年は「シャントトリップ(SHT)」に注目が集まっています。本コラムでは、SHTの基礎から最先端の利用方法まで網羅的に解説します。
1. シャントトリップ(SHT)とは何か?
基本機能と仕組み
シャントトリップ(SHT)は、ブレーカーの内部または側面に取り付けられる「電圧引きはずし装置」で、外部から電圧(信号)を与えることで強制的にブレーカーをトリップ(遮断)させます。
動作原理: 外部の操作スイッチや火災報知機、保護リレーなどからSHTのコイルに電圧を印加すると、内部リンク機構が作動しブレーカーの接点が開放されます。
用途:
非常停止ボタンによる遠隔遮断
火災時の電源カット
電力会社からの解列指令への対応
MCBとELBの違いとSHTの関係
漏電保護には「漏電遮断器(ELB)」を使いますが、大容量回路や特定の制御では「配線用遮断器(MCB)」と「SHT」を組み合わせます。ELBは自身の零相変流器(ZCT)で漏電を検知して落ちますが、SHT付MCBは外部の高度なセンサー(保護リレー)が異常を判断し、その結果として遮断します。これにより柔軟なシステム構築が可能になります。
2. 太陽光発電システムとキュービクル内での新たな役割
産業用太陽光発電所では高圧受電設備(キュービクル)を介して系統連系が行われており、「混触防止板付き変圧器」と「SHT付ブレーカー」のコンビネーションが注目されています。
なぜ混触防止板付き変圧器が使われるのか?
パネルで発電された電力はPCSで交流化・昇圧されます。混触防止板付き変圧器は、高圧側と低圧側の混触時に高圧電流の流れ込みを防ぐ金属製の板が入っており、アースに繋がれ、故障電流を大地へ逃がします。
SHT付ブレーカーによる「擬似ELB」機能の実現
対地静電容量の問題: 大規模太陽光発電所では高感度ELBでの不要動作リスクがあり、SHT付MCBが使われます。
保護リレーによる緻密な制御: OVGRやDGRが異常を検知した時だけSHTに遮断信号を送ります。
法的・技術的な安全性: 変圧器の接地線に電流が流れた際、SHTでMCBを瞬時に落とし、システム全体を保護します(高性能ELBの代替・強化)。
3. SHT付ブレーカーを運用する際の重要注意点
電圧引外しコイルの焼損防止
SHTは短時間定格コイルが多く、長時間通電すると焼損します。自己遮断回路でSHTへの通電を切る仕組みが正しく配線されているか設計時に確認が必要です。電源の確保(電圧引外し方式 vs 不足電圧引外し方式)
電圧引外し(SHT): 電圧をかけると動作。制御電源喪失時は作動せずリスク。
不足電圧引外し(UVT): 電圧がなくなると落ちる。停電時も遮断したい場合に有効。太陽光連携では逆送電防止目的で併用されることも。
設置スペースと後付けの可否
キュービクル内は狭いため、設計時にSHTユニット分のスペースを考慮しましょう。
4. 現場でのトラブル事例と解決策
ケースA: OVGR(地絡過電圧リレー)の誤動作による全遮断
近隣配電線で地絡が発生した際、OVGRが反応しSHTを動かしメインブレーカーが落ちることがあります。感度調整やタイマー設定の見直しで対応可能ですが、SHTが正確に働いた結果です。ケースB: SHTの配線ミスによる不動作
地絡信号を送ってもブレーカーが作動しないケース。制御電源ルートやSHT定格電圧の選定ミスが主因です。AC・DC混在に注意を。
5. まとめ:これからの電気技術者に求められる視点
シャントトリップ(SHT)付ブレーカーは「システムの一部」へと進化した重要デバイスです。特に太陽光連携システムにおける次の三段構えの保護スキームが今後の標準となります。
混触防止板付き変圧器による物理的防護
高機能リレーによる精密な地絡検知
SHT付MCBによる確実な回路遮断
従来の「漏電したらELB」から一歩進み、システム規模や対地静電容量、連系条件を踏まえた最適なSHT構成選択が設計者・技術者に求められています。
キュービクル扉を開け、MCB横に「SHT」と書かれた小さなユニットやリード線が見えたら、それは「外部の知能(リレー)」と繋がり高度な安全制御がなされている証です。本コラムが、複雑化する電力系統の理解の一助となれば幸いです。
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