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非常用発電機の燃料タンクとは?

非常用発電機の燃料タンクとは?

26/05/01 11:17

地震や台風などの自然災害により停電が発生した際、病院の医療機器を維持し、ビルのエレベーターを動かし、消火設備を機能させる「非常用発電機」。 その心臓部がエンジンであるなら、燃料タンクは生命線を維持するための「血液の貯留槽」です。 しかし、燃料タンクはただ燃料を入れておけば良いというものではありません。 そこには厳しい法律の制限や、放置すると命取りになる劣化のリスクが潜んでいます。本稿では、施設管理者が知っておくべき燃料タンクの基礎知識を詳しく解説します。

燃料タンクの主な種類と設置形態

非常用発電機の燃料タンクは、設置場所や貯蔵量によって主に3つのタイプに分けられます。

① 小出し槽(サービスタンク)

発電機本体のすぐ横、あるいは内部に設置される小型のタンクです。ここからエンジンへ直接燃料が送られます。通常、数時間程度の運転を想定した容量となっており、大規模な施設では外部の貯蔵タンクから自動で給油される仕組みになっています。

② 屋外地上タンク

建物の外に設置される自立型のタンクです。点検や清掃が容易で、最も管理しやすい形態です。ただし、万が一の漏洩に備えて周囲に「防油堤(ぼうゆてい)」と呼ばれるコンクリートの囲いを作る必要があります。

③ 地下タンク

敷地内の地下に埋設されるタンクです。スペースを有効活用でき、火災時の安全性が高いのがメリットですが、腐食や漏洩を目視で確認できないため、高度な検知システムや定期的な精密検査が義務付けられています。

燃料の種類:軽油とA重油

非常用発電機で使われる燃料は、主に「軽油」と「A重油」の2種類です。

  • 軽油: 現在の主流です。トラックなどの燃料と同じで扱いやすく、排気が比較的クリーンです。ただし、長期保存による「酸化」には注意が必要です。

  • A重油: 軽油よりも安価なため、大型の設備で採用されます。しかし、低温下で固まりやすい性質(流動性の低下)があるため、寒冷地や冬場の管理には工夫が必要です。

避けて通れない「消防法」の規制

燃料タンクを語る上で欠かせないのが「消防法」です。燃料は「危険物」に該当するため、貯蔵量に応じて厳しいルールが決まっています。その基準となるのが「指定数量」です。

軽油の場合、指定数量は1,000リットルです。

  • 指定数量の5分の1未満(200リットル未満): 比較的規制は緩やかですが、火災予防条例に基づく管理が必要です。

  • 指定数量の5分の1以上、1未満: 「少量危険物」として、自治体への届け出と、構造基準の遵守が求められます。

  • 指定数量以上(1,000リットル以上): 「危険物貯蔵所」としての設置許可が必要になります。壁の厚さ、空地(スペース)、専門資格を持つ「危険物取扱者」の選任など、管理コストと責任が大幅に増大します。

最大の敵は「燃料の劣化」

「燃料さえ満タンなら安心」という考えは、実は非常に危険です。燃料は食料品と同じように、時間の経過とともに劣化するからです。

なぜ劣化するのか?

  1. 酸化: 空気中の酸素と反応してネバネバした不純物(スラッジ)が発生します。

  2. 結露: タンク内の温度差で壁面に水滴がつき、底に水が溜まります。

  3. 微生物: 燃料と水の境界でバクテリアが繁殖し、ヘドロ状の汚れを作ります。

これらの汚れが、いざ発電機を動かした瞬間に燃料フィルターを詰まらせます。「エンジンはかかったが、数分後に突然止まる」という故障の多くは、この燃料劣化が原因です。東日本大震災でも、このトラブルにより作動しなかった発電機が数多く報告されました。

適切なメンテナンス方法

燃料タンクの健全性を保つためには、以下の3点が不可欠です。

  • 定期的な水抜き: タンク底に溜まった水分を定期的に除去します。

  • 燃料クリーニング: 近年では、燃料を抜き取らずに循環させてろ過し、不純物と水分を除去する専門サービスが普及しています。

  • 燃料の入れ替え: 試運転などで意図的に燃料を使い、常に新しい燃料が補充されるサイクル(ローリングストック)を意識することが理想です。

BCP対策としての「72時間の壁」

近年の大規模災害を受け、国や自治体は「停電後72時間(3日間)」の自立運転を推奨しています。これは、外部からの支援や燃料補給が到着するまでに最低3日かかると想定されているためです。

これまで「数時間分」しか蓄えていなかった施設でも、より大容量のタンクへ更新したり、災害時に優先的に燃料を届けてもらう「燃料配送協定」を業者と結んだりするケースが増えています。

まとめ:燃料タンクは「信頼のバトン」

非常用発電機の燃料タンクは、普段はただ静かにそこに置かれているだけの存在です。しかし、社会の灯が消えたその瞬間、暗闇の中で人々の命と活動を守るための唯一のエネルギー源となります。

「法令を守ること」は最低限のラインであり、本当の目的は「いざという時に確実に動くこと」です。燃料の質にまで目を向けた適切な管理こそが、施設の安全を守る最後の砦となるのです。


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