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非常用発電機の疑問 第1弾

非常用発電機の疑問 第1弾

26/05/14 07:48

非常用発電機は、消防法や建築基準法により一定規模の建物に設置が義務付けられた「命を守る設備」です。 主なポイントは以下の3点です。 設置基準: 病院やホテル等、不特定多数が利用する建物や高層ビルが対象。 点検義務: 半年に1回の「機器点検」と年1回の「総合点検」が必須。さらに、原則1年(条件次第で6年)に1回の「負荷試験」等も義務化されています。 リスク: 放置は罰則の対象となるだけでなく、有事の際に作動せず被害が出た場合、オーナーは甚大な損害賠償責任を問われる恐れがあります。 日頃の計画的なメンテナンスが重要です。

非常用発電機の疑問 第1弾

いざという時に動きますか?オーナーが知るべき設置基準とメンテナンスの義務

建物に設置されている非常用発電機。実は、ただ置いてあればいいというわけではありません。日本には大きく分けて3つの法律が、この発電機に厳しい基準を設けています。

  1. 消防法(火災時にスプリンクラーや排煙機を動かすため)

  2. 建築基準法(停電時の避難照明やエレベーターを動かすため)

  3. 電気事業法(電気設備としての安全性を保つため)

これらがどのように関係しているのか、順を追って見ていきましょう。


1. なぜ設置が必要?「設置基準」のポイント

すべての建物に発電機が必要なわけではありません。主に「不特定多数の人が利用する建物」や「一定以上の規模がある建物」が対象です。

消防法による設置義務

消防法では、延べ面積が1,000㎡以上の「特定防火対象物」(病院、ホテル、デパート、老人ホームなど)に、スプリンクラーや屋内消火栓の電源として設置が義務付けられています。

  • 性能基準: 定格負荷(100%の力)で60分以上連続運転できること。

  • 起動時間: 火災信号を受けてから40秒以内に電圧が安定すること。

建築基準法による設置義務

こちらは「建物の安全な避難」を目的としています。

  • 高さ31m(およそ10階建て)を超えるビル: 非常用エレベーターを動かすために必要です。

  • 地下街や窓のない部屋がある建物: 避難用の「非常用照明」を点灯させるために必要です(これらは30分以上の稼働が求められます)。

【オーナー様へのアドバイス】 ご自身の所有する建物がどちらの法律に該当するか、あるいは両方かによって、求められる性能や点検頻度が変わります。設計図書や過去の点検結果報告書を確認してみましょう。


2. 知らないと怖い「点検・メンテナンス義務」

「設置しているから安心」というわけにはいきません。非常用発電機は、ディーゼルエンジンやガスタービンで動く「機械」です。長年放置すれば、いざという時にエンジンがかからない……という事態になりかねません。

消防法に基づく点検(年に2回)

消防法では、以下の2種類の点検が義務付けられています。

  • 機器点検(6ヶ月に1回): 外観に損傷はないか、燃料は足りているか、バッテリーの電圧は正常か、といった「目視」を中心とした点検です。

  • 総合点検(1年に1回): 実際にエンジンを始動させ、正常に電気が供給されるかを確認します。

「負荷試験」または「内部観察」の義務

ここが最も重要で、かつ見落とされがちなポイントです。1年に1回の総合点検の際、ただエンジンをかけるだけでなく、「定格出力の30%以上の負荷をかけて運転する(負荷試験)」、あるいは「エンジンの内部を内視鏡などで確認する(内部観察)」ことが義務付けられています。

以前は「毎年必ず負荷試験が必要」でしたが、平成30年の法改正によりルールが緩和されました。

【改正後のルール】 適切な「予防保全策(消耗品の定期的交換など)」を行っている場合に限り、負荷試験(または内部観察)の周期を「6年に1回」まで延ばすことができます。


3. 義務を怠った場合の「罰則」とリスク

メンテナンスを怠ることは、単なる過失ではなく「法令違反」となります。

法的罰則

  • 消防法: 点検報告を怠ったり、虚偽の報告をしたりした場合、30万円以下の罰金または拘留が科せられる可能性があります。

  • 建築基準法: 是正命令に従わない場合などは、さらに重い100万円以下の罰金となるケースもあります。

社会的・経済的リスク

罰金以上に恐ろしいのが、事故が起きた時の責任です。

  • もし火災時に発電機が動かず、スプリンクラーが作動せずに被害が拡大した場合、オーナー様は「管理責任」を厳しく問われます。

  • 被害者からの損害賠償請求は、数千万円から数億円に及ぶことも珍しくありません。

  • また、「法令違反の建物」として公表されれば、テナントの退去や資産価値の下落にも直結します。


4. オーナー様ができる「賢い維持管理」

「メンテナンス費用が高い……」と感じるかもしれませんが、故障してから修理するよりも、計画的に消耗品を交換する方が結果的に安く済みます。

  • バッテリーの交換: 2〜3年が目安です。これがダメだとエンジンすら掛かりません。

  • 冷却水・オイルの交換: 車と同じです。劣化するとエンジン焼き付きの原因になります。

  • 燃料の入れ替え: 軽油も長期間放置すると酸化してドロドロになり、配管を詰まらせます。


まとめ

非常用発電機は、建物の「保険」のようなものです。

  1. 消防法・建築基準法などの設置基準をクリアしているか

  2. 半年に1回の点検、1年に1回の総合点検を行っているか

  3. 負荷試験(または内部観察)を適切な周期で実施しているか

これらを今一度、管理会社や点検業者に確認してみてください。オーナー様が正しく理解し、適切な投資を行うことが、建物に関わるすべての人々の命を守ることにつながります。


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