
非常用発電機の騒音値と防音対策の完全ガイド
地震や台風による長時間の停電対策として、ビル・工場の防災設備や事業継続計画(BCP)に欠かせない非常用発電機。導入や運用を検討する際、避けて通れない重要課題が「騒音(デシベル)」です。非常用発電機は一般的な製品で85〜100dB(デシベル)程度の激しい騒音を発します。これはガード下の電車通過音や車のクラクションに匹敵するレベルです。適切な騒音対策を行わないと、近隣住民とのトラブルや法令違反につながるリスクがあります。 本記事では、非常用発電機におけるデシベルの目安や関連する法令リスク、具体的な防音対策までを詳しく解説します。
1. 非常用発電機のデシベル(騒音値)目安
デシベル(dB)は音の大きさを表す単位です。一般的に人が「不快」「うるさい」と感じる境界線は60dB以上とされています。
騒音レベル (dB) | 身近な音の例 | 非常用発電機の状態・環境 |
100〜110 dB | プレッシャーローラー、車のクラクション直近 | 大型ディーゼルエンジン本体(対策なし直近) |
85〜95 dB | ガード下の電車音、カラオケボックス店内 | 一般的な標準型(パッケージ型)発電機の周囲1m |
65〜75 dB | 蝉の鳴き声、掃除機、騒々しい街頭 | 超防音型パッケージ、防音室設置後の施設外 |
50〜60 dB | 静かな乗用車内、普通の会話 | 敷地境界線で求められる一般的な基準値 |
防音カバー(パッケージ)で覆われた非常用発電機であっても、機器の至近距離(約1m)では85〜90dB前後の大きな音が出ます。
対策なしで屋外設置した場合、周囲へ甚大な騒音被害を与えることになります。
2. 周囲に及ぼす騒音トラブルと法的規制
非常用発電機は法令に基づいた定期点検(無負荷運転・実負荷試験)や、災害時の連続運転が必要です。
「非常時だけ動かすから大丈夫」という考え方は通用せず、日常の点検時であっても騒音規制の対象となります。
騒音規制法および地方自治体の条例
騒音規制法では、工場や事業所に設置される特定施設(原動機など)に対して敷地境界線での音量基準が定められています。
住宅地域・病院周辺など(第1種・第2種): 昼間 50〜60 dB 以下 / 夜間 40〜45 dB 以下
商業地域・工業地域など(第3種・第4種): 昼間 65〜70 dB 以下 / 夜間 50〜60 dB 以下
※地域の区分や自治体の条例によって具体的な数値基準は異なりますが、境界線上で50〜60dB以下に抑えることが求められるのが一般的です。
3. 非常用発電機の騒音を抑える4つの防音対策
騒音値を抑えて安全に運用するためには、発電機本体の選定だけでなく設置環境に応じた防音設計が必要です。
① 防音型・超防音型パッケージの採用
屋外設置の場合、防音材や消音構造が組み込まれた「防音型エンクロージャー(パッケージ)」を採用するのが基本です。
特に住宅街や病院に近接している場合は、より減音効果の高い「超防音型仕様」を選定します。
② サイレンサー(消音器)の選定
非常用発電機の騒音源は主に「エンジン排気音」「吸気音」「冷却ファン音」「機械振動」の4つです。
中でも最も音量が大きい排気音に対しては、高性能な排気サイレンサー(高減音用マフラー)を取り付けることで大幅にデシベルを下げることが可能です。
③ 防音室・防音ルーバーの設置(屋内設置の場合)
屋内の電気室などに設置する場合は、部屋の壁面に吸音材を施工し、給排気口に防音ルーバー(ガラリ)や消音ダクトを設置します。
また、建物の構造体に振動が伝わって不快な低周波音が発生するのを防ぐため、防振ゴムや防振スプリングを脚部に配置します。
④ 設置場所・防音壁(遮音壁)の工夫
音は距離が離れるほど減衰します(距離が2倍になると約6dB低下)。
近隣境界線からできるだけ離れた場所を選定するか、境界線との間に遮音壁を配置することで音波を遮断・反射させます。
4. 適切なデシベル管理で安全なBCP対策を
非常用発電機を導入・改修する際は、本体の能力(kW)だけでなく「設置場所の敷地境界線で何デシベルまで下げる必要があるか」を必ず事前に計算・測定することが重要です。
事前に設置場所の自治体条例(騒音基準値)を確認する
メーカーの騒音データ(1m離れた位置でのdB値など)を取得する
敷地境界までの距離減衰や防音壁の効果を加味して設計する
万が一の停電時に確実な電源確保を行いながら、周辺環境や地域社会への配慮を両立させるためにも、計画段階から専門業者や防音設計のプロに相談することをおすすめします。
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