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ディーゼルエンジン式非常用発電機とは?設置条件や運用時の注意点を解説

ディーゼルエンジン式非常用発電機とは?設置条件や運用時の注意点を解説

2026年6月12日

近年、巨大台風や地震などの自然災害による長時間の停電リスクが高まっています。 オフィスビルや店舗、工場などの商業施設において、BCP(事業継続計画)対策の要となるのが「非常用発電機」です。 非常用発電機にはいくつか種類がありますが、中でも高い信頼性と出力を持つのが「ディーゼルエンジン式」です。 本記事では、ディーゼルエンジン式非常用発電機の概要から、導入時に知っておくべき設置条件、運用・メンテナンス時の注意点まで徹底的に解説します。

1. ディーゼルエンジン式非常用発電機とは?

ディーゼルエンジン式の仕組み

ディーゼルエンジン式非常用発電機は、軽油や重油を燃料としてエンジンを動かし、電気を発生させるシステムです。

自動車のディーゼル車と同様に、圧縮して高温になった空気に燃料を噴射して自己着火させる仕組み(圧縮着火機関)を採用しています。

他の方式(ガスタービン式)との違い

非常用発電機には、主に「ディーゼル式」と「ガスタービン式」の2種類があります。それぞれの特徴を比較してみましょう。

項目

ディーゼル式

ガスタービン式

主な燃料

軽油、重油

A重油、灯油、都市ガス

起動時間

早い(約10〜40秒)

やや遅い(約40〜120秒)

初期コスト

比較的安価

高価

騒音・振動

大きい

比較的少ない

冷却水

必要(水冷式の場合)

不要(空冷)

ディーゼル式は「起動が早く、コストパフォーマンスに優れる」という大きなメリットがあるため、多くのオフィスビルや店舗で第一選択となっています。

2. ディーゼル式非常用発電機の主な設置条件

非常用発電機は、災害時に確実に作動しなければならないため、関係法令(建築基準法、消防法、電気事業法)によって厳格な設置条件が定められています。

① 設置場所の選定(屋内・屋外)

  • 屋外設置: 騒音や排気ガスが周囲に影響を与えない場所を選びます。雨風を防ぐ「防音雨型パッケージ(キュービクル)」に収めるのが一般的です。

  • また、浸水被害を避けるため、ハザードマップを確認し、必要に応じて架台等でかさ上げを行います。

  • 屋内設置: 専用の発電機室を設ける必要があります。十分な換気(吸気・排気)スペースの確保と、不燃材料での内装制限、万が一の火災に備えた消火設備の設置が義務付けられています。

② 燃料タンクの容量と消防法

非常用発電機をどれだけの時間動かしたいかによって、必要な燃料タンクの容量が変わります。

消防法上の「指定数量」を超える燃料を保管する場合は、以下の申請や対策が必要です。

  • 軽油の場合、1,000リットル以上を保管する場合は「少量危険物貯蔵取扱所」の届出、または「危険物製造所等」の許可が必要になります。

  • 防油堤(万が一の燃料漏洩を防ぐ外壁)の設置など、安全対策も必須です。

③ 騒音・振動対策

ディーゼルエンジンは作動時の音と振動が大きいため、近隣トラブルを防ぐ対策が必要です。

  • 低騒音型のパッケージの採用

  • 排気マフラー(消音器)の設置

  • 床面への防振ゴムや防振架台の設置

3. 運用・メンテナンス時の重要な注意点

「設置したから安心」というわけではありません。非常用発電機で最も多いトラブルは、「いざ停電が起きたときに動かない」ことです。

これを防ぐためには、日頃の適切な運用と維持管理が不可欠です。

① 定期的な点検の義務(消防法・電気事業法)

非常用発電機には、法律で定められた点検義務があります。

  • 機器点検(半年に1回): 外観の確認や、バッテリーの電圧、オイル量などの確認。

  • 総合点検(1年に1回): 実際に発電機を運転させ、性能を確認する。

【重要】負荷運転または内部観察の実施

消防法の改正により、1年に1回の総合点検時に「定格出力の30%以上の負荷をかけた運転(負荷運転)」、または「内部観察(内視鏡等による点検)」を行うことが義務付けられています。普段から無負荷(空ふかし)の試運転ばかりしていると、エンジン内部に未燃焼の燃料(カーボン)が溜まり、いざという時に出力が出なくなったり、故障の原因になったりします。

② 燃料の経年劣化対策

軽油や重油は、長期間放置すると酸化して劣化したり、タンク内に結露が原因で水が混入し、異物が蓄積(スラッジ化)したりします。

劣化燃料を使用すると、フィルターが詰まり、エンジンが停止する原因になります。

  • 定期的な燃料の入れ替え

  • 燃料フィルターの定期交換

  • タンク内の水抜き・清掃

③ 消耗品の交換サイクル

発電機を構成する部品には寿命があります。以下の消耗品は、定期的な交換スケジュールを組んでおきましょう。

  • 始動用バッテリー: 約2〜3年(最も重要。バッテリー上がりが起動失敗の原因第1位です)

  • エンジンオイル・冷却水: 約1〜2年

  • 各種ベルト・ホース類: 約3〜5年

4. オフィス・店舗のリフォーム時に非常用発電機を導入するメリット

オフィスや店舗の移転、大規模リフォームのタイミングは、非常用発電機を導入する絶好のチャンスです。

  • ビジネスの継続性(BCP対策): 万が一の停電時も、サーバーのダウンを防ぎ、最低限の照明や空調、決済システムを維持できるため、経済的損失を最小限に抑えられます。

  • 企業の社会的信用向上: 災害時でも営業を継続できる、または地域住民の避難場所(スマートレジリエンス拠点)として貢献できる企業として、ブランドイメージが向上します。

  • テナントとしての価値向上: ビルオーナー様の場合、非常用発電機を完備した物件にリフォームすることで、災害対策を重視する優良企業(テナント)を誘致しやすくなります。

5. まとめ:信頼できる専門業者への相談が成功の鍵

ディーゼルエンジン式非常用発電機は、高い信頼性と優れた始動性を持ち、多くの施設で採用されている心強い設備です。

しかし、その導入には建築基準法や消防法などの複雑な法規制が絡み、設置後の厳格なメンテナンスも求められます。

オフィスのリフォームや店舗設計の段階から、電気設備に強い専門業者に相談することで、必要な容量の算出から最適な設置場所の選定、申請手続きまでスムーズに進めることができます。

「もしも」の時に確実に動く環境を作り、大切な従業員と事業を守るための備えを、今から検討してみてはいかがでしょうか。


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