
現在、新築建築の指標として頻繁に目にするようになったZEBとZEH。どちらも「エネルギー消費を実質ゼロにする」という点では共通していますが、対象となる建物が明確に異なります。本記事では、それぞれの定義や仕組み、導入することで得られるメリットについて、専門用語を噛み砕いてお伝えします。
まず、この2つの言葉の最大の違いは「建物の用途」にあります。
ZEH (Net Zero Energy House)
「住宅」が対象。戸建住宅や分譲マンションなど、人が住む場所を指します。
ZEB (Net Zero Energy Building)
「非住宅(ビル)」が対象。オフィス、ホテル、病院、学校、店舗などを指します。
ZEBもZEHも、ただ太陽光パネルを設置すれば良いわけではありません。
以下の3つのステップを組み合わせることで、エネルギーの収支をゼロ(またはマイナス)にします。
断熱(断熱性能の向上)
高性能な断熱材や窓(複層ガラスなど)を使い、魔法瓶のように夏は涼しく冬は暖かい状態を作ります。
省エネ(エネルギー消費の削減)
LED照明や高効率な空調設備、お風呂の給湯システムなどを導入し、
使うエネルギーそのものを減らします。
創エネ(エネルギーを創る)
太陽光発電システムなどでエネルギーを自給自足します。
ビルは規模や用途によってエネルギー消費量が大きく異なるため、
達成度合いに応じて4つのランクが設けられています。
『ZEB』
省エネ+創エネで、エネルギー消費量を100%以上削減
Nearly ZEB
省エネ+創エネで、エネルギー消費量を75%以上削減
ZEB Ready
創エネを含まず、省エネだけでエネルギー消費量を50%以上削減
ZEB Oriented
延床面積10,000㎡以上で、更なる省エネを図った建物
日本政府は、「2030年度以降に新築される建築物において、
ZEB・ZEH水準の省エネ性能を確保すること」を目標としています。
つまり、これからは「ZEB/ZEH基準」が当たり前のスタンダードになっていきます。
光熱費の大幅な削減
エネルギー自給により、高騰する電気代の影響を最小限に抑えられます。
快適性と健康の向上
家の中の温度差がなくなることで、ヒートショックの予防や、オフィスでの生産性向上につながります。
資産価値の維持
省エネ性能が高い建物は、将来売却や賃貸に出す際にも高く評価される傾向にあります。
災害時の安心(レジリエンス)
停電が発生しても、太陽光発電や蓄電池があれば電気を使い続けることができます。
ZEBとZEHは、単なる環境保護の取り組みではなく、
「そこに住む人、働く人の快適さと経済性を守るための新しい基準」です。
これから家を建てる方や、ビルの建設・改修を検討されている方は、
初期投資のコストだけでなく、数十年単位のランニングコストと安心感を考慮し、
これらの基準を積極的に取り入れることをおすすめします。
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