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弱電と強電、その境界線を知ることが“安全と品質”を分ける

弱電と強電、その境界線を知ることが“安全と品質”を分ける

26/01/14 12:15

弱電と強電は単なる電圧の違いではなく、役割・危険性・施工方法・求められる知識まで根本的に異なる。強電は照明や動力など建物を動かすエネルギーを扱い、感電や火災リスクが高く厳格な法令と資格が必要。一方、弱電は通信や制御といった情報を扱い、感電リスクは低いがノイズや誤配線による重大なシステム障害を招く。近年のスマート化で弱電の重要性は増しており、両者を正しく理解し分けて設計・施工することが、安全性と建物の品質・価値を守る鍵となる。

「電気は同じに見えて、まったく違う──弱電と強電、その境界線を知ることが“安全と品質”を分ける」

■ はじめに:

電気工事や設備の話をすると、必ず出てくる言葉があります。
それが**「弱電」と「強電」**です。

しかし、
「電気は電気でしょう?」
「電圧が低いか高いかの違いでは?」

このように、曖昧な理解のまま使われているケースも少なくありません。
実はこの二つ、役割・危険性・施工方法・資格・設計思想まで、根本的に異なる世界です。

現場では「これは弱電だから後回しでいい」「強電さえしっかりやっていれば問題ない」といった声が聞かれることもあります。しかし、その考えが後々のトラブルや設備不良、さらには安全性の低下につながるケースは決して少なくありません。特に近年は、建物の高度化・情報化が進み、弱電設備の重要性はこれまで以上に高まっています。

一方で、弱電は目に見える危険性が少ない分、軽視されがちです。しかし、火災報知設備や防犯システム、通信障害など、弱電設備の不具合が建物全体の機能停止を引き起こす例も増えています。強電が「建物の力」だとすれば、弱電は「建物の知能と神経」と言える存在なのです。

本コラムでは、
弱電と強電の違いを、身近な具体例を交えながら、分かりやすく解説していきます。
専門知識がない方でも理解でき、かつ実務に携わる方にとっても再確認となる内容を目指し、電気設備の本質に迫っていきます。

■ 強電とは何か?

――「動力とエネルギー」を扱う電気

● 強電の定義

強電とは、主に電力を供給し、機器を動かすための電気を指します。
明確な法律上の定義はありませんが、一般的には100V・200V以上の電圧を扱う電気設備が強電と呼ばれます。

● 強電の代表的な例

以下は、私たちの生活や建物に欠かせない強電設備です。

  • 照明設備(天井照明、外灯など)

  • コンセント回路(100V・200V)

  • エアコン・給湯器・IH調理器

  • エレベーター

  • 工場の動力設備

  • 高圧受電設備(キュービクル)

これらに共通するのは、
**「電気が直接、動力・熱・光に変換される」**という点です。

● 強電の特徴

  • 電圧・電流が大きい

  • 感電・火災などの危険性が高い

  • 電気工事士の資格が必要

  • 法令・安全基準が厳格

つまり強電は、
**「人命・建物の安全に直結する電気」**と言えます。

■ 弱電とは何か?

――「情報と信号」を扱う電気

● 弱電の定義

弱電とは、主に信号・通信・制御を目的とした電気です。
電圧は数V〜24V程度が一般的で、人体への危険性は比較的低いのが特徴です。

● 弱電の代表的な例

  • インターホン

  • 火災報知設備

  • LAN(ネットワーク)配線

  • 防犯カメラ

  • 放送設備

  • センサー類(人感・温度・煙)

  • 自動ドア制御線

これらは、
**「電気そのものが仕事をする」のではなく、「情報を伝える役割」**を担っています。

● 弱電の特徴

  • 電圧・電流が小さい

  • 感電リスクは低い

  • 精度・ノイズ対策が重要

  • 通信・IT知識が求められる

弱電は、
**「建物の頭脳と神経」**のような存在です。

■ 具体例で比較する:弱電と強電の違い

● 例①:照明とスイッチ

  • 照明器具へ電力を送る配線 → 強電

  • 調光信号や制御信号 → 弱電

同じ照明設備でも、
**「光らせる電気」と「制御する電気」**は別物です。


● 例②:エアコン

  • 室外機・室内機へ電力を供給 → 強電

  • リモコン信号・制御線 → 弱電

ここで弱電配線を強電と一緒に施工すると、
誤作動・通信エラーが発生することがあります。


● 例③:防犯カメラ

  • カメラ電源(100V) → 強電

  • 映像信号・LANケーブル → 弱電

この混在施工では、
ノイズ対策・配線ルートの分離が重要になります。

■ なぜ分けて考える必要があるのか?

① 安全性の違い

強電は感電・火災リスクが高く、
弱電は誤配線によるシステム障害が致命的です。

② 法律・資格の違い

  • 強電工事 → 電気工事士が必須

  • 弱電工事 → 内容により資格不要の場合もあるが、
    消防設備士・電気通信工事施工管理技士が必要なケースも多い

③ 施工品質への影響

弱電配線を雑に扱うと、

  • 通信が不安定

  • 誤作動が頻発

  • 将来的な拡張ができない

といった**「見えない不具合」**を生みます。

■ 現場でよくあるトラブル事例

● ケース①:強電と弱電を同一配管

→ 電磁ノイズによりLAN通信が不安定

● ケース②:弱電だからと軽視

→ 火災報知設備が誤作動し、施設停止

● ケース③:担当業者の分業不足

→ 責任区分が曖昧になり、復旧が長期化

これらはすべて、
「弱電=簡単」「強電=危険」という誤解から生まれています。

■ これからの建物は「弱電の比重」が増す

近年、建物は以下のように進化しています。

  • スマートビル

  • IoT設備

  • エネルギーマネジメント

  • クラウド連携

これらの中核を担うのは、
間違いなく弱電設備です。

一方で、
その弱電を支えるのが、
確実で安全な強電設備です。

■ まとめ:

電気の違いを知ることは、建物の価値を守ること

弱電と強電は、
単なる電圧の違いではありません。

  • 役割が違う

  • 危険性が違う

  • 設計思想が違う

  • 求められる技術が違う

この違いを正しく理解し、
適切な設計・施工・管理を行うことが、
安全で快適な建物をつくる第一歩
となります。

電気は目に見えません。
だからこそ、
**「見えない部分を理解しているかどうか」**が、
プロとそうでない者の差を生むのです。

Admin
前田 恭宏
前田です

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