B2B/B2C専門 電材通販サイト デンザイゼウス
【BCP対策】電気室の水害・浸水対策とは?浸水リスク・嵩上げ移設・防水工事まで解説

【BCP対策】電気室の水害・浸水対策とは?浸水リスク・嵩上げ移設・防水工事まで解説

2026年10月2日

台風の大型化や局地的なゲリラ豪雨の頻発に伴い、建物の水害対策が強い注目を集めています。 都市部のオフィスビルや複合施設において、最も浸水被害から守るべきエリアが電気室です。電気室が一度水没して受変電設備が壊れると、建物全域の電力が断たれ、復旧までに数か月単位の期間と数千万円〜数億円規模の膨大な損失が発生します。電気室における水害・浸水リスクの構造から、具体的な浸水防止策、BCP(事業継続計画)観点からの設計アプローチまで、ポイントを整理して解説します。

1. なぜ電気室の水害対策が極めて重要なのか?

電気室に設置された受変電設備や非常用発電機は、水や湿気に極めて弱い精密な高電圧機器の集合体です。

浸水によって高圧機器に水や泥が侵入すると、電気がショートして全焼事故や回路破壊が引き起こされます。

海水混じりの水や泥水が機器内部に付着した場合、乾燥させただけでは再利用できず、主要な機器を全て新品へ交換しなければなりません。

地下設置型電気室に潜む水害リスク

バブル期以前に建てられた多くのビルでは、有効スペースの確保や施工性の観点から、電気室を地下階へ配置する設計が主流でした。

地下電気室は構造上、地上で溢れた雨水や河川の氾濫水が集中的に流れ込みやすい弱点を抱えています。

ゲリラ豪雨によってドライエリアや搬入口から泥水が流入した場合、地下室全体が数時間でプール状に完全水没する被害が発生します。

ハザードマップ確認の必要性

自社ビルや管理物件が位置する自治体のハザードマップ(洪水・内水氾濫・高潮)を事前に確認し、想定される「計画規模(数十年に1回)」および「想定最大規模(1000年に1回)」の浸水深を把握しておく姿勢が前提となります。

2. 電気室が水没した際に発生する被害と影響

電気室の水没は、単なる機器故障にとどまらず、施設全体の機能を全停止させる壊滅的な損害をもたらします。

被害項目

具体的な影響内容

建物機能の全面停止

照明、空調、エレベーター、給排水ポンプ、自動ドア、セキュリティが即座に不通となる。

防災機能の不全

スプリンクラー用ポンプ、非常用エレベーター、排煙設備が動かず、二次災害への対応力が失われる。

事業継続の断絶

データセンターやサーバーが停止し、社内データ損失やシステム遮断による企業取引の停止を引き起こす。

長期間の復旧遅延

高圧機器の調達納期は数か月を要するため、仮設電源の設置が完了するまで建物が使えない状態が続く。

機器調達の遅延による長期停電リスク

受変電機器の納期遅延は近年の半導体不足や物流遅延の影響で深刻化しており、浸水発生から完全復旧までに半年以上を要した事例も報告されています。

仮設受電設備の設置にも数週間以上の期間が必要となるため、営業停止や賃料収入途絶といった二次損害が莫大になります。

3. 電気室の具体的な水害・浸水防止アプローチ

浸水被害を防ぐ技術的対策は、大きく分けると「水が入らない高さへ移設・配置するアプローチ」と「地上階・地下階の室内に水を入れない防水アプローチ」の2つが存在します。

① 嵩上げ(かさあげ)・上階移設工事

ハザードマップで想定される最高浸水深を超える位置へ、電気室や受変電機器そのものを移動させる根本対策です。

  • 地上階(2階以上)への移設: 新築時だけでなく、既存ビルのリニューアル時に電気室を地下から2階以上の地上階へ移転させる設計が推奨されています。

  • 屋上への移設・キュービクル化: 敷地や屋内フロアに余剰スペースがない場合、屋上へ変圧機器を設置する手法が選ばれます。

  • 台座による嵩上げ: 地上1階に設置された電気室において、機器の足元にコンクリート台座(数十cm〜1m程度)を構築し、床上浸水時の直接被水を回避させます。

② 水密化・防水工事(浸水防止対策)

建物構造の都合上、電気室を地下や1階から移設できない場合に実施される遮水補強です。

  • 水密扉(防水ドア)の設置: 高い水圧に耐えうる鋼製の防水扉を電気室の出入口へ施工し、扉周りからの浸水を阻止します。

  • 貫通部シーリング処理: 電線や配管が電気室の壁や床を貫通する隙間へ、高気密な防水止水用シール材を充填して漏水を防ぎます。

  • 止水板(防水板)の配置: 扉の前面やドライエリアの周囲に脱着式のアルミ製止水板を設置し、初期の冠水流をカットします。

  • 給排気ギャラリーの高さ変更: 電気室の換気口(ギャラリー)が低い位置にあると、そこから雨水が流入するため、壁面の高い位置へ開口部を移設します。

4. 排水設備の強化と監視体制の構築

構造的な浸水防止策を講じると同時に、室内へ万が一漏水した場合に備える二次防護策の整備が必要です。

排水ポンプと非常用電源の二重化

電気室のピット(床下スペース)や周辺の湧水槽に、高揚力・大容量の排水ポンプを常設します。

排水ポンプの電源が商用電力だけに依存している場合、本線の停電と同時にポンプが停止して浸水が進行します。非常用発電機や蓄電池設備から優先的に給電できる回路を組み、停電時であっても連続排水ができるシステムを構築することが安全性を高めます。

浸水検知センサーによる早期警戒

電気室の床面や出入口に浸水検知センサー(漏水センサー)を設置し、わずかな水漏れが発生した段階で中央監視室や防災センターへアラートを発報します。

センサーと連動して自動で水密扉が閉鎖されるシステムや、遠隔で排水ポンプを強制稼働させる仕組みを整備することで、夜間や休日における初動の遅れを防ぎます。

5. BCP(事業継続計画)における電気室対策の手順

電気室の浸水対策を進めるにあたっては、場当たり的な工事ではなく、計画的なBCP策定プロセスを経ることが推奨されます。

  1. リスク洗い出し: ハザードマップと現地の標高・設備配置を照合し、許容できる浸水レベルを策定する

  2. 優先度の決定: 全面移設(高コスト・高効果)か、防水扉・止水板の施工(低コスト・中効果)かを予算に応じて選定する

  3. 運用訓練の実施: 止水板の設置手順や手動防水扉の閉鎖手順をビル管理スタッフへ周知し、定期訓練を実施する

技術面での物理防護と管理面のソフト対策を組み合わせることで、想定外の豪雨災害時にも迅速な対処が可能になります。

6. まとめ

電気室の水害対策について、要点を整理します。

  • 電気室の水没は高圧機器を全壊させ、施設全体の長期停電・機能停止を引き起こす

  • 根本解決には、ハザードマップの想定水位を超え出る地上階や屋上への嵩上げ移設が効果的

  • 移設が困難な環境では、水密扉、貫通部の完全止水、高所換気口への改修で浸水を阻む

  • 非常電源と連動した排水ポンプや浸水センサーを組み合わせ、多重防護体制を組むことが求められる

気候変動による豪雨リスクが高まる中、電気室の防護性能を見直すアプローチは、企業の資産保護と事業継続(BCP)を担保する強力な基盤となります。


よくある質問

この商品について質問がありますか?コミュニティや専門家に質問してください。

関連商品

12

関連記事

12
担当者に相談する