
電気はどうやって家庭や建物に届く?送電線・変電所・柱上変圧器・受電方式を解説
発電所で作られた電気は、そのまま家庭や工場で使えるわけではありません。 発電所で作られた電気は、送電線を通って各地へ送られ、途中にある変電所で電圧を変えながら、最終的に家庭や店舗、工場などへ届けられます。 この記事では、電気が発電所から私たちのもとへ届くまでに関わる**「送電線」「変電所」「柱上変圧器」「受電方式」**について、基本的な仕組みをわかりやすく解説します。
電気は高い電圧で送られる
発電所で作られた電気は、非常に高い電圧にして送られます。
なぜ、わざわざ高い電圧にするのでしょうか。
その理由の一つが、送電時の電力損失を少なくするためです。
電気を遠くまで送るときには、送電線で電力の一部が失われます。電圧を高くすることで、同じ電力を送る場合でも電流を小さくでき、送電時の損失を抑えることができます。
そのため、発電所から送り出される電気は、非常に高い電圧に変換されます。
例えば、一般的な電力系統では27万5,000Vや50万Vといった高い電圧が使われています。
そして、電気を使う場所に近づくにつれて、変電所で少しずつ電圧を下げていきます。
送電線とは?
送電線とは、発電所などで作られた電気を、変電所などへ送るための電線です。
山間部などで見かける大きな鉄塔に、何本もの電線が張られているのを見たことがある人も多いでしょう。
このような鉄塔に架けられている電線が、代表的な送電線です。
送電線はなぜ高い場所にある?
送電線は、地上から離れた高い場所に設置されています。
これは、人や建物などと電線との距離を確保し、安全に電気を送るためです。
また、送電線には雷から電線を守るための設備も設けられています。
鉄塔の一番上には、架空地線と呼ばれる線が設置されていることがあります。
架空地線は、雷を受けたときに送電線への影響を抑えるための役割を持っています。
つまり、送電線は単に電気を送るだけではなく、高い電圧の電気を安全かつ効率的に送るためのさまざまな工夫がされているのです。
変電所とは?
発電所から送られてきた電気は、そのまま家庭や店舗で使うことはできません。
そこで登場するのが変電所です。
変電所は、電気の電圧を変えたり、電気を適切な方向へ送ったりする役割を持っています。
簡単にいうと、
発電所
↓
送電線
↓
変電所
↓
さらに別の変電所
↓
配電線
↓
家庭・店舗・工場
というように、電気が使う場所に近づくにつれて、電圧を下げていきます。
変電所にはいくつかの種類があり、電力系統によって異なりますが、例えば27万5,000V程度から15万4,000V、6万6,000V、2万2,000V、6,600Vというように、段階的に電圧を下げていきます。
すべての地域で必ず同じ順番を通るわけではありませんが、「電気を送る距離や使用場所に合わせて、変電所で電圧を下げていく」と覚えておくと分かりやすいでしょう。
変電所で電圧を下げる理由
家庭で使う電気は100Vや200Vです。
一方、発電所から送られてくる電気は数十万Vにもなります。
そのままでは家庭や一般的な建物で使用できません。
そこで、変電所などで電圧を段階的に下げ、最終的に私たちが利用できる電圧まで変換します。
変電所には、電圧を変える変圧器のほか、事故が発生した際に電気を遮断する遮断器や、雷などによる異常な高電圧から設備を守る避雷器なども設置されています。
6600Vの電気を家庭まで届ける「柱上変圧器」
変電所で電圧を下げても、街中の電線にはまだ6,600Vという高い電圧の電気が流れています。
この電気を家庭で使える電圧まで下げる役割を持っているのが、電柱の上に設置されている柱上変圧器(柱上トランス)です。
街中の電柱を見ると、電柱の上に円筒形や箱形の機器が取り付けられていることがあります。
これが柱上変圧器です。
柱上変圧器では、6,600Vの電気を家庭などで使用する100Vや200Vに変圧します。
つまり、
6,600V
↓
柱上変圧器
↓
100V・200V
↓
家庭へ
という流れです。
家庭で照明をつけたり、コンセントから電気製品を使ったりできるのは、このように電圧が変換されているためです。
100Vと200Vはどうやって使い分ける?
家庭で使用する電気には、100Vだけでなく200Vもあります。
例えば、一般的な照明やコンセントなどには100Vが使われます。
一方、エアコンやIHクッキングヒーターなど、比較的大きな電力を必要とする機器では200Vが使われることがあります。
家庭に電気を供給する方式として代表的なのが、単相3線式です。
単相3線式では、100Vと200Vの両方を取り出すことができます。
そのため、一般的な家庭では、
100V:照明、コンセントなど
200V:200V対応のエアコン、IHクッキングヒーターなど
というように、用途に応じて使い分けることができます。
電気の「受電方式」とは?
ここまで見てきたように、電気は使用する場所に合わせて電圧が変えられています。
建物がどのような電圧で電気を受け取るのかを考えるときに出てくるのが、受電方式です。
大きく分けると、一般的には低圧受電と高圧受電があります。
低圧受電
低圧受電では、100Vまたは200Vの電気を受け取ります。
一般家庭や小規模な店舗などで利用される、一般的な受電方式です。
電気の流れは、
配電用変電所
↓
6,600V
↓
電柱
↓
柱上変圧器
↓
100V・200V
↓
家庭・店舗
となります。
建物側で大きな変圧設備を用意する必要がなく、電柱に設置された柱上変圧器で電圧を下げてから建物へ引き込みます。
高圧受電
高圧受電では、一般的に6,600Vの電気を建物側で受け取ります。
主に、工場やビル、店舗など、比較的大きな電力を使用する施設で採用されます。
高圧受電の場合は、建物側にキュービクル式高圧受電設備などの受変電設備を設置します。
電気の流れは、
配電用変電所
↓
6,600V
↓
建物のキュービクル
↓
変圧器で100V・200Vなどに変換
↓
建物内で使用
という流れになります。
キュービクルの中には変圧器などの機器が収められており、建物で使用できる電圧まで下げます。
低圧受電と高圧受電の違い
簡単に整理すると、次のようになります。
低圧受電 | 高圧受電 | |
|---|---|---|
受電電圧 | 100V・200V | 6,600V |
主な施設 | 一般家庭・小規模店舗など | 工場・ビル・比較的大きな店舗など |
電圧を下げる場所 | 電柱の柱上変圧器など | 建物側のキュービクルなど |
建物側の主な設備 | 分電盤など | キュービクル・変圧器など |
東京電力パワーグリッドの資料でも、低圧は100V・200V、高圧は6,000Vとして区分されています。なお、実際の供給電圧や契約条件は電力会社・供給形態などによって異なる場合があります。
発電所から家庭まで、電気はどう流れている?
ここまでの内容をまとめると、一般的な家庭までの電気の流れは次のようになります。
発電所
↓
送電線
高い電圧で遠くまで電気を送る
↓
変電所
電圧を段階的に下げる
↓
配電用変電所
6,600Vまで下げる
↓
配電線・電柱
6,600Vの電気を街中へ送る
↓
柱上変圧器
100V・200Vに変換
↓
家庭・店舗など
電気を使用する
一方、工場やビルなどで高圧受電をする場合は、
配電用変電所
↓
6,600V
↓
キュービクル
↓
建物内の変圧器で100V・200Vなどに変換
↓
建物内で使用
という流れになります。
まとめ
私たちが普段使っている電気は、発電所から直接家庭へ送られているわけではありません。
発電所で作られた電気は、まず高い電圧にして送電線で遠くまで送られます。その後、変電所を通るたびに電圧が段階的に下げられ、最終的に家庭や店舗、工場などで使える電圧になります。
家庭などの低圧受電では、電柱に設置された柱上変圧器によって6,600Vが100V・200Vに変換されます。
一方、工場やビルなどの高圧受電では、6,600Vの電気を建物側で受け取り、キュービクルなどの受変電設備で使用する電圧に変換します。
電気の流れを理解するためには、
「送電線で送る → 変電所で電圧を変える → 柱上変圧器やキュービクルでさらに変圧する → 建物で電気を使う」
という大きな流れを覚えておくとよいでしょう。
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