
巻付グリップとは?
電気工事や通信工事の現場に入ると、「巻付グリップを持ってきて」「ここに巻付グリップを使って固定して」と言われる機会が多くあります。 一見するとただの「ねじれた針金」に見えるかもしれませんが、実は架線や電柱の安全を支える非常に重要な部材です。 この記事では、新人が現場でスムーズに作業でき、施工ミスを防げるよう、巻付グリップの基礎知識から正しい使い方、絶対にやってはいけない注意点までをわかりやすく解説します。
1. 巻付グリップ(巻付けグリップ)とは?
巻付グリップの役割
巻付グリップ(Helical Grip / 螺旋状グリップ)とは、電線やワイヤー(支線・メッセンジャーワイヤー)の端を電柱や構造物にがっちり固定(引き留め)するための資材です。
主に以下のような場所で使われています。
電柱を支える支線(タイワイヤー)の端末固定
光ファイバーや通信ケーブルを吊るすワイヤーの固定
電線(架空線)の張力維持・引き留め
電柱や電線は風や自重で常に引っ張られています。巻付グリップは、その強力な引っ張り力(張力)に耐えて固定する役割を持っています。
どうやって固定しているの?
ボルトで締め付ける金具とは違い、巻付グリップは「螺旋(ヘリカル)状に巻かれた金属線の摩擦力」で固定します。
ワイヤーにぐるぐると巻き付けることで、引っ張られれば引っ張られるほど、グリップがワイヤーをギュッと締め付ける構造になっています。
特定の一点ではなく、巻き付けた全体で力を分散して支えるため、ワイヤーを傷つけにくいという大きな特徴があります。
2. なぜ巻付グリップを使うの?(メリット)
先輩たちが現場で巻付グリップをよく使うのには、明確な理由があります。
専用工具がいらない(手で巻き付けるだけ) ボルト締め金具のようにレンチやトルクドライバーを必要とせず、手作業で巻き付けるだけで施工できます。
誰が作業しても同じ品質になる ボルト固定だと「締める力」に個人差が出やすいですが、巻付グリップは手順通りに巻けば誰でも均一な保持力を発揮できます。
線材(ワイヤー・電線)を痛めにくい 一箇所を強力に潰して固定するわけではないため、強風などで揺れても金属疲労で断線しにくい構造になっています。
3. 覚えるべき種類と選び方の注意点
巻付グリップなら何でも使っていいわけではありません。間違ったものを使うと脱落事故につながるため、作業前に必ず以下の3点を確認しましょう。
① 対象の「線径(太さ)」に合っているか
グリップには適合する外径(mm)が決まっています。見た目が似ていても、細すぎるワイヤーに太いグリップを使うとすっぽ抜けてしまいます。
必ずパッケージや製品の型番を確認してください。
② 対象の「材質(線種)」に合っているか
鋼より線用(支線用):電柱の支線などに使う溶融亜鉛めっき製
アルミ電線用:架空電線などに使うアルミ製
通信・メッセンジャー用:通信線支持用
異種金属を接触させると電食(腐蝕)の原因にもなるため、ワイヤーの材質に合ったグリップを選びます。
③ 「より方向(Sよれ・Zよれ)」が合っているか
ワイヤーにはねじれている方向(右ねじり・左ねじり)があります。
グリップの螺旋方向とワイヤーのねじれ方向が逆だと、全く保持力が得られません。巻き付ける前に方向が一致しているか必ずチェックしましょう。
4. 初心者でも失敗しない!正しい施工手順
現場で実際に巻き付ける際のアクションプランです。
ステップ1:センタマーク(中央の印)を合わせる
グリップの真ん中付近には、色付きのマーク(センタマーク)が付いています。
これをフックやシンブル(金具)の掛かり位置に正確に合わせます。ここがズレると全体の長さやバランスが狂ってしまいます。
ステップ2:片方の足を巻き付ける
センタマークから片側の足をワイヤーに沿わせていきます。スキマが空かないよう、手でしっかりとなじませながらピッチに沿って最後まで巻き込みます。
ステップ3:もう片方の足を巻き付ける
反対側の足も同じように巻き付けていきます。2本の足が重なったり交差したりしないよう、綺麗に並べて巻き進めます。
ステップ4:端末(先端)までピッタリ密着させる
一番最後(端部)が浮いていないか確認します。先端までしっかり手で押し込み、ワイヤーに密着させたら完了です。
5. 新人がやりがちなNG行為と施工不良
事故を防ぐため、以下の項目は絶対に覚えておきましょう。
【NG 1】一度外したグリップの再利用 巻き直しや取り外しをした巻付グリップは、すでに金属が伸びて変形(塑性変形)しています。
本来の保持力が出なくなっているため、一度外したものは絶対に廃棄し、新品を使ってください。
【NG 2】先端の「浮き」を放置する 巻終わり部分が浮いていると、強風や振動で徐々に解けてしまう原因になります。最後まできちんと巻き切ることが大切です。
【NG 3】サイズ違いを強引に巻く 「少し太さが違うけど巻けたから大丈夫」は厳禁です。張力がかかった瞬間に抜け落ちる危険があります。
まとめ:安全な施工は基本の徹底から!
巻付グリップは工具不要で簡単に扱える便利な資材ですが、「適合する製品を選ぶこと」と「正しく最後まで手で巻き切ること」を守らなければ事故につながります。
現場で作業する際は、まず先輩に「ワイヤーの太さとより方向」を確認する習慣をつけ、手順通り丁寧な施工を心がけましょう!
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