
「分配器」「分岐器」「分波器」「混合器」の違いは!?
「分配器」「分岐器」「分波器」「混合器」は、テレビやCATV配線で電波を扱う異なる機器です。 分配器:1つの信号を複数の部屋へ均等に分配 分岐器:メイン配線(幹線)の電波を保持しつつ、一部のみ取り出し(集合住宅向け) 分波器:1本の電波を地デジとBS/CSの周波数別に分離 混合器:複数アンテナの電波を1本に合成 4K8K対応や通電型の仕様を確認し、施工環境に合わせた正しく選定することが重要です。 各種アンテナ部材のご購入は「電材ゼウス」(https://denzai-zeus.com/)をご覧ください。
「分配器」「分岐器」「分波器」「混合器」の違いは!?
テレビや衛星放送の配線工事・電気設備設計において、名前が似ていて最も混同されやすいのが「分配器」「分岐器」「分波器」「混合器」の4つです。見た目はどれも金属や樹脂の小さな箱にF型コネクタ(端子)が複数ついた似た形状をしていますが、内部の電気的動作や用途は全く異なります。選定ミスをすると「特定の部屋だけテレビが映らない」「特定チャンネルにノイズが入る」「BS放送用の電源が供給されない」といったトラブルの直接原因になります。
本記事では、これら4つの機器の役割・動作原理・利用シーンの違いを徹底解説します。
4大機器の役割と基本動作の相違点
まずは、配線内でこれらの機器が「信号(電波)に対して何を行うのか」の全体像を把握しましょう。

分配器と分波器の接続位置の違い. 出典: 総合サポート・お問い合わせ - ソニーストア
1. 分配器(Splitter)|信号を「均等」に分ける
分配器は、入力された1本のテレビ信号を複数の出力端子へ均等な電力(強さ)で分ける機器です。
主な用途: 戸建住宅の屋根裏や弱電盤で、アンテナやCATV引き込み線を各部屋(居間、寝室、子供部屋など)へ分配する際。
特徴: 2分配なら信号エネルギーは理論上約1/2(約-3〜4dBの損失)、4分配なら約1/4(約-7〜8dBの損失)となります。全端子に同じ減衰が生じます。
2. 分岐器(Tap / Coupler)|幹線から「少しだけ」取り出す
分岐器は、メインの配線(幹線)の信号をそのまま先へ送りつつ、一部の電波だけを「分岐端子(Branch)」へ微量に取り出す機器です。
主な用途: マンション・アパートなどの集合住宅(共聴設備)やCATVの縦系幹線配線。
特徴: 幹線側の出力(OUT端子)には信号を極力損失させずに通し、分岐側(BR端子)には減衰させた信号を取り出します。遠くの階や末端の部屋まで信号を届けるために不可欠です。
3. 分波器(Separator / Diplexer)|周波数で「周波数帯」を分ける
分波器は、1本のケーブルに混ざって伝送されてきた異なる周波数帯の信号(地デジとBS/CSなど)を分離する機器です。
主な用途: 壁のアンテナ端子から、テレビやレコーダーの「地デジ入力」と「BS/CS入力」へそれぞれ接続する際。
特徴: 信号の強度を減衰(分割)させるのではなく、フィルタによって「地デジの周波数(UHF)」と「BS/CSの周波数」を分けるため、分配器のような大きな信号損失(分配損失)が発生しません。
4. 混合器(Combiner / Mixer)|複数の信号を「1本にまとめる」
混合器は、別々のアンテナや信号源から入ってきた複数の電波を1本のケーブルに合成・集約する機器です。
主な用途: 屋根上に設置した「地デジアンテナ(UHF)」と「BS/110度CSアンテナ」の電波を1本にまとめて屋内に引き込む際。
特徴: 構造としては分波器と表裏一体(逆向きに使用可能、または兼用型)の動作を行います。
各機器が使われる主な環境と設計ポイント
設置されるシステム(一般住宅、CATV、集合住宅共聴設備)によって、採用される機器の構成は大きく異なります。

集合住宅における幹線と分岐器の構成. 出典: デジミク
戸建住宅(戸建てアンテナ配線)
一般住宅では、屋外の「混合器(または混合機能付きブースター)」で地デジとBS/CSを1本にまとめ、屋内の点検口やマルチメディアボックス内に設置した「分配器」で各部屋へ配線します。そして、テレビ端末の直前で「分波器」を使って地デジ端子とBS/CS端子に接続するのが最も標準的なパターンです。
ケーブルテレビ(CATV)設備
CATV網では、上り信号(通信・データ)と下り信号(映像放送)が混在します。また、宅内への引き込み部や保安器周辺で、通信用ルーターとテレビ機器へ信号を分岐させるために「分岐器」や「双方向分配器」が使用されます。帯域カット用のフィルタ回路が内蔵されているモデルも用いられます。
集合住宅・ビル共聴設備
中高層マンションなどの共聴設備では、屋上から階下へ伸びる1本の縦系ケーブルに対して、各階で「分岐器」を挿入していきます。一番上の階から一番下の階まで、ほぼ均一なレベルの電波を各戸へ届けるため、階数や距離に応じて結合量(減衰量)を変えた分岐器が選定されます。
電源通電型(全電通/1端子通電)の注意点
分配器や分岐器を選ぶ際、必ず確認しなければならないのが「通電性能(電通型)」です。BS/CSアンテナを稼働させるには、テレビやレコーダーなどの受信機側からアンテナへコンバータ電源(DC15V等)を給電する必要があります。
全端子電流通過型(全電通): どの部屋のテレビから電源を供給してもアンテナが動作します。複数の部屋で自由にBSを視聴・録画する場合に最適です。
1端子電流通過型(1端子通電): 指定された1つの端子からしか電源を供給できません。固定のレコーダーから常時給電する場合などに使用されますが、配線を間違えると「他の部屋でBSが映らない」原因になります。
機能・用途の決定版比較表
それぞれの機器の相違点を一目で確認できるようまとめました。
項目 | 分配器(Splitter) | 分岐器(Tap) | 分波器(Separator) | 混合器(Combiner) |
|---|---|---|---|---|
主な目的 | 信号を複数部屋へ等分割 | 幹線から信号を一部抽出 | 周波数帯ごとに分離 | 複数信号を1本に集約 |
主な設置場所 | 屋根裏、弱電盤、分配箱 | 集合住宅のパイプスペース、CATV | テレビ・レコーダー背面 | 屋外アンテナマスト下、ブースター前 |
信号損失(減衰) | あり(分配数に応じて均等減衰) | 幹線側:極小 | 極めて小さい(通過損失のみ) | 極めて小さい(通過損失のみ) |
端子表記の例 | IN / OUT1 / OUT2 ... | IN / OUT / BR | IN / UHF(VHF) / BS(CS) | UHF / BS(CS) / OUT |
誤用時の影響 | 信号レベル不足によるブロックノイズ | 末端で極度な電波不足・オーバーフロー | 周波数が合わず映像が映らない | 信号同士の干渉・ノイズ発生 |
現場に応じた確実な機器選定を
テレビ受信設備やCATV設備では、周波数帯域(4K8K衛星放送対応の3224MHz対応品など)やインピーダンス(75Ω)、通電仕様に適合した機器を正しく選択することが不可欠です。
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