
夏場の記録的な猛暑に伴い、ビルや商業施設の屋上に設置されたキュービクル(高圧受電設備)のオーバーヒート問題が深刻化しています。 屋上は遮るものがなく、直射日光とコンクリートの照り返しによって過酷な高温環境にさらされます。 キュービクル内部の温度が上がると、保護継電器の誤作動によるトリップ(突然の停電)や機器の寿命低下、最悪の場合は火災事故につながる恐れがあります。本記事では、屋上キュービクルの熱対策が必要な理由と、効果的な具体的な対策アプローチを分かりやすく解説します。
キュービクルが暑さに弱い最大の理由は、「外部からの熱」と「内部からの発熱」が挟み撃ちになるためです。
強烈な輻射熱(日光・照り返し): 金属製の筐体(ケース)は太陽光を吸収しやすく、真夏の天板(屋根)温度は60℃〜70℃以上に達します。
機器自体による内部発熱: 内部のトランス(変圧器)やコンデンサは、電気を変圧する際に常に熱を発しています。
キュービクルの許容周囲温度は一般的に「最高40℃(日平均35℃以下)」と規定されています。しかし、対策を施していない屋上では、内部温度が50℃を超えるケースも珍しくありません。
費用や設置環境に合わせて最適な手法を選ぶ必要があります。代表的な熱対策の特徴をまとめました。
対策方法 | 仕組み・特長 | 冷却効果 | 施工難易度・費用 |
放射冷却フィルム(SPACECOOL等) | 太陽光を反射しつつ、熱を赤外線として宇宙に逃がす最先端シート | ★★★(非常に高い) | 中(フィルム貼付のみ) |
遮熱塗料の塗装 | 太陽光(赤外線)を反射し、筐体表面の温度上昇を抑える | ★★☆(高い) | 低〜中(定期的な塗り替え必要) |
遮熱板(日よけ・サンシェード) | 筐体の上部に屋根を設置し、直射日光を100%遮断する | ★★☆(高い) | 中〜高(耐風工事が必要) |
換気扇の増設・強化 | センサー連動ファンで内部に篭もった熱気を強力に排出する | ★☆☆(中程度) | 低〜中(電気工事が必要) |
近年、キュービクルの熱対策として急速に採用が進んでいるのが「放射冷却素材」です。
仕組み: 太陽光を95%以上反射するだけでなく、熱エネルギーを大気の窓(赤外線が抜けやすい波長)を通して宇宙空間へ逃がします。
メリット: 従来の遮熱塗料とは異なり、「直射日光下でも外気温より低い温度」を作り出せるのが強みです。大がかりな日よけ架台を組む必要がなく、天板にフィルムを貼るだけで施工が完了するため、スペースの限られた屋上でも手軽に導入できます。
最も定番かつ費用対効果の高い方法です。
仕組み: 太陽光の赤外線を高効率で反射する塗料をキュービクルの天板や側面に塗布します。
メリット: 天板の表面温度を10℃〜20℃近く下げることができ、内部への熱の侵入を劇的に抑えられます。
屋上防水工事やキュービクルの防錆塗装と同じタイミングで実施すると施工コストを削れます。
キュービクルの上部に日よけとなる遮熱カバーを取り付ける手法です。
仕組み: 筐体と日よけの間に空気層を作り、直射日光が金属面に直接当たるのを防ぎます。
注意点: 屋上は強風が吹くため、台風などで飛散しないよう耐風構造の架台固定が必要です。建築基準やメンテナンス時の作業動線を確保した設計が求められます。
「外からの熱」を遮ると同時に、「中の熱」を逃がす仕組みも不可欠です。
対策内容:
サーモスタットの設定見直し: 内部温度が35℃を超えたら自動で換気扇が稼働するよう設定変更・調整します。
吸気フィルターの清掃: フィルターが埃で詰まっていると換気効率が著しく低下します。夏前に必ず清掃・交換を行いましょう。
現地調査と優先順位の確認
まずは「日光による加熱」が原因なのか、「内部の換気不足」が原因なのかを把握します。天板が触れないほど熱い場合はフィルムや塗装、内部に熱気が篭もる場合はファン強化から着手します。
下地処理と補修(フィルム・塗装の場合)
天板にサビが発生している状態でフィルム塗布や塗装を行うと、施工後に剥がれてしまいます。必ずサビ落としや錆止め塗装を行ってから施工します。
電気保安法人・電気主任技術者との連携
キュービクル内の作業や改造は電気保安上の観点から制限があります。施工前に必ず担当の電気主任技術者に相談・確認を取って進めましょう。
屋上に置かれたキュービクルは、直射日光と周囲の照り返しによって常に厳しい熱ストレスを受けています。
万が一、熱暴走による停電事故が起きると、ビルのテナント営業やシステム停止など甚大な損害が発生します。
最先端の放射冷却フィルム(SPACECOOL)や遮熱塗装、換気扇の整備など、予算や環境に合わせた熱対策を早めに講じ、安全な設備運用を心がけましょう。
電気設備のご相談・お悩みは「小川電機」へお任せください!
「自社の最適なキュービクル容量がわからない」
「デマンド値を下げるにはどうすればいい?」
「主任技術者さんに更新を勧められているが、セカンドオピニオンが欲しい」
このようにお考えの方は、まずお気軽にご相談ください。
経験豊富な設備のプロが、貴社の現状をしっかりとヒアリングし、最適な見直しプランをご提案します。
ご相談やお悩みは、下記までお問い合わせください。
_vxr16.png)
この商品について質問がありますか?コミュニティや専門家に質問してください。