
ビル屋上のキュービクルや非常用発電機の更新時、見積書で「構造計算」や「防水工事」が別途とされるのは、設置業者が電気等の専門家であり、建築構造や防水の公的資格(構造設計一級建築士など)を持たないためです。重量増加に伴う建物の安全確認や、機器撤去時の防水層破損による雨漏りを防ぐには、これらが不可欠です。 対策として、ゼネコンや大手管理会社など一括(グロス)管理できる元請け業者への依頼が鉄則です。費用目安は構造計算が約30万〜120万円、防水工事が約15万〜150万円以上(全面の場合)となります。
ビルの資産価値を維持し、日々の電気や防災インフラを支えるために欠かせない屋上設置の「キュービクル(高圧受電設備)」や「非常用発電機」は、15年〜30年で更新が必要です。しかし、設置業者から見積書をもらうと、「※構造計算費用は別途」「※防水工事一式は別途」などの記載を見て戸惑うことがあります。「なぜ『別途』なのか?」、「これを無視したらどうなるのか?」を徹底解説します。さらに、一括依頼できる業者選定ポイントや概算費用も紹介します。
理由:設置業者の多くは「電気工事」や「重量物据付(機械器具設置)」の専門家であり、「建物の骨組みを設計・計算」する建築構造の専門家ではありません。法律でこれらの役割範囲が厳しく分かれています。
担当業務・資格 | 主な役割と内容 | 構造計算可否 |
|---|---|---|
電気工事業者 | 配線・結線、保安管理等、電気流通の専門 | 不可(建物強度計算は専門外) |
重量物据付業者 | 機器の揚重・据付(重いものの運搬設置) | 不可 |
一般の建築士 | 意匠・間取り設計、一般的な確認申請 | 一部可能(大規模ビルには不向き) |
構造設計一級建築士 | 建物や屋上設備の荷重検討、専門計算 | 完全可能 |
設置業者は電気や機器運搬のプロ、建物の骨組み計算は構造専門家が担います。同じ「医師」でも得意分野が違うのと同様、業界が完全に分かれています。
機器の「重量増加」という罠
現代のキュービクルや発電機は、防災基準強化により以前より重くなっている場合が多く、同等交換でも「1トン以上」の重量増も。
新築時の「構造計算書」が紛失している
築20年〜30年ビルでは、元図面や計算書が残っていないことが多く、再調査・再計算が必要。
法的責任(コンプライアンス)の厳格化
地震などで事故が起きた際、構造計算せず設置した場合、オーナーに「工作物責任(民法第717条)」が発生し巨額の賠償リスクも。保険適用も厳格化。
キュービクルや非常用発電機は「基礎(架台)」上に設置されますが、その際の下部防水補修を怠ると雨漏りの原因になります。防水工事も専門の防水業者(防水施工技能士など)が担当。本職以外がシーリングのみで済ませると、数年でひび割れ・漏水の危険大です。
基礎の再利用時、防水層はほぼ必ず破損 → 強固な防水補修が必須
屋上全面防水の推奨:キュービクル下は今後15〜20年触れず、防水改修時期が近いなら新設タイミングが最適
複数業者への個別依頼は手間もリスクも高いため、「すべての工程を一括(グロス)で管理できる元請け業者」に頼むのが鉄則です。
ゼネコン(総合建設会社)またはサブコン
建物工事全般を一手に。構造設計士や電気・防水専門家を抱えておりワンストップ対応。
メリット:工程・安全管理レベルが高い
デメリット:中小ビルには経費が高め
大手ビルメンテナンス会社・管理会社
既存管理先なら建物データ把握済みで話が早い。すべての調整も代行。
デメリット:下請け管理となり中間マージン増
中堅の総合電気・建築エンジニアリング会社
設備更新に特化。建築施工管理技士が小規模構造・防水補修も一括対応。
メリット:コストパフォーマンスが高い
※価格は機器代・電気工事抜き。「構造計算」や「付帯工事(防水等)」の一般的な目安です。
構造計算・構造検討:30万~120万円
既存図面あり:30万~50万円(新機器重量反映したシミュレーションのみ)
図面なし現地調査:70万~120万円(強度測定・再計算含む)
防水工事(基礎まわり~屋上全面):15万~200万円以上
基礎付近部分補修:15万~30万円(ピンポイント防水)
屋上全体防水(100㎡規模):80万~150万円(ウレタン塗膜・塩ビシートほか、㎡あたり5,000~10,000円)
グロス発注時の管理・調整費:工事総額の10%~20%
各専門家を元請が一括統括する諸経費。
屋上設備の更新は建物寿命と直結する建築プロジェクト。「別途」と書かれた見積項目は安易に削らず、電気工事業者だけで進行するのは避けましょう。
新築時の「構造計算書・竣工図面」が残っているか確認
建築(構造・防水)知見ある元請け業者に見積依頼
「構造計算」と「基礎周り/屋上全体防水」を盛り込んだ長期修繕計画を立てる
事前準備と正しい業者選びで、ビルの安全を守り、次の20年も安心できる設備更新を達成しましょう。
この商品について質問がありますか?コミュニティや専門家に質問してください。