
工場やビル、老健施設の管理で耳にする「キュービクル(高圧受電設備)」。その中身はどうなっているのでしょうか? この記事では、キュービクルを構成する主要な機器の名称や役割、仕組みを専門知識がなくても分かるよう優しく解説します。
ビルや工場の敷地内、オフィスの裏手などでよく見かける、あの「謎の金属製の大きな箱」。
それがキュービクル(正式名称:キュービクル式高圧受電設備)です。
一見するとただの頑丈な箱に見えますが、中には施設全体の電気をコントロールする重要な機器がギッシリと詰まっています。
発電所から電線を通って送られてくる電気は、6,600V(ボルト)という非常に高い電圧を持っています。
しかし、私たちがオフィスや店舗で使うパソコン、照明、エアコンなどは、100Vまたは200Vの電圧でしか動かせません。
もし6,600Vのままコンセントに流してしまえば、機器は一瞬で爆発・炎上してしまいます。
そこで、「高い電圧の電気を受け取り、施設内で使える安全な電圧(100V/200V)に変換する」という役割を担っているのがキュービクルです。
まさに、施設専用の「ミニ変電所」と言えます。
キュービクルの扉を開けると(※危険ですので専門家以外は絶対に開けないでください)、いくつもの専門的な電気機器が機能的に配置されています。
中身は大きく分けて、「電気を受け取る機器」「電圧を変える機器」「安全を守る(遮断する)機器」の3つに分類されます。それぞれの名前と役割を分かりやすく見ていきましょう。
キュービクルの心臓部とも言えるのが「変圧器(トランス)」です。
送られてきた6,600Vの電力を、一般的な電化製品で使える100V(電灯・コンセント用)や、業務用エアコンなどで使われる200V(動力用)へと減圧(翻訳)する役割を持っています。キュービクルの中で最も大きく、重量のある機器です。
キュービクルに流れてくる高圧電流を、安全にON/OFFするための「主電源スイッチ」です。
主に、電気設備を定期点検する際や、メンテナンスを行うときに手動で電気を遮断するために使われます。
万が一、施設内の電気回路でショート(短絡)などの重大なトラブルが起きた際、一瞬で電気を遮断して施設と周囲の安全を守る「最強のブレーカー」です。
高圧電流を遮断するときには激しい火花(アーク)が発生しますが、VCBは内部が「真空」になっているため、火花を発生させずに安全かつ確実に電気を止めることができます。
「電気の漏れ(漏電)」を常に監視しているセキュリティガードです。
ZCT(零相変流器)が回路を流れる電気の異常(行きと帰りの電流のズレ)をキャッチし、その情報を漏電リレー(継電器)に伝えます。
漏電リレーが「危険」と判断すると、遮断器に信号を送って瞬時に電気を止め、感電や火災のトラブルを未然に防ぎます。
オフィスの空調や工場のモーターなどを使用すると、電気の効率(力率)が低下し、無駄な電流が発生してしまいます。
進相コンデンサは、この電気のロス(ズレ)を調整し、効率よく電気を使えるようにする機器です。これがあるおかげで無駄な電力消費が抑えられ、基本電気料金の割引(力率割引)を受けられるというコスト面での大きなメリットがあります。
変圧器によって100Vや200Vに下がった電気を、オフィスのフロアごと、あるいはエアコンやコンセントなどの設備ごとに「小分け」にして送り出すパーツです。
家庭のブレーカーと同じように、電気を使いすぎて過電流になったり、ショートしたりした場所があれば、そのルートだけをピンポイントで落として事故を防ぎます。
ここまでに紹介したキュービクルの主要な中身を、分かりやすく表にまとめました。
機器の名称 | 主な役割 | 分かりやすい例え |
変圧器(トランス) | 6,600Vを100V/200Vに変換する | 電圧の翻訳機 |
LBS(負荷開閉器) | 点検時などに手動で電気をON/OFFする | 全体の主電源スイッチ |
VCB(真空遮断器) | 事故時に大電流を瞬時にストップする | 最強の防壁用ブレーカー |
ZCT / 漏電リレー | わずかな漏電を検知して警報・遮断する | 漏電センサー |
進相コンデンサ | 電気の無駄(ロス)をなくす | 省エネのサポーター |
配線用遮断器 | 各部屋や設備へ電気を分けて見守る | おなじみのブレーカー |
キュービクルの内部にある機器は、24時間365日、休むことなく働き続けています。そのため、目に見えなくても少しずつ経年劣化が進んでいきます。
もしキュービクルのメンテナンスを怠り、内部の機器が故障すると、自社が停電するだけでは済みません。
最悪の場合、電線を伝って近隣のビルや地域一帯を巻き込む大規模な停電(波及事故)を引き起こしてしまう恐れがあります。
波及事故を起こすと、多額の損害賠償を請求されるケースもあるため非常に危険です。
このような大事故を防ぐため、キュービクルを設置している事業者には、電気保安協会や専門の業者による「月次点検」および「年次点検」が法律(電気事業法)で義務付けられています。
内部の機器にはそれぞれ「更新推奨時期(寿命)」があり、変圧器や遮断器はおよそ15年〜20年で交換が必要です。
キュービクルの高圧受電設備は、私たちがオフィスや店舗で安全に電気を使うために欠かせない「縁の下の力持ち」です。
内部には変圧器や遮断器など、それぞれの安全と省エネを守るための精鋭機器が詰まっています。
オフィス・事務所のリフォームや店舗の改装、移転を行う際は、「新しく導入するOA機器や大型エアコンの電力に、現在のキュービクルの容量が耐えられるか?」という確認が不可欠です。
「キュービクルのことを詳しく聞きたい」「今発注して納期はいつ頃になる?」「更新対応はしてもらえる?」など
当社では、専門のスタッフがキュービクルに関するご相談にスピーディーに対応いたします。
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