
「オフィスのリフォームで新しい設備を導入したい」「店舗に大型の業務用エアコンを増設したい」 そんなときに必ず確認しなければならないのが、建物の電気を一手に引き受けている「キュービクル(高圧受電設備)」の容量」です。 もし容量をオーバーしたまま電気を使い続けると、停電や火災などの重大なトラブルにつながる恐れがあります。 本記事では、専門知識がない方でも簡単にできるキュービクル容量の確認方法や、知っておくべき基礎知識、容量不足への対策までをわかりやすく解説します。
キュービクルとは、発電所から送られてくる6,600V(ボルト)という高い電圧の電気を、施設内で使える100Vや200Vに変換する機器一式を収めた「金属製の箱(施設)」のことです。正式名称を「キュービクル式高圧受電設備」といいます。
オフィスビルや店舗、工場など、多くの電気を消費する施設に設置されています。
キュービクルの容量とは、「そのキュービクルが一度にどれだけの電気をまかなえるか」という最大パワーのことです。
一般的な家電製品の消費電力は「W(ワット)」や「kW(キロワット)」で表されますが、キュービクルの容量(変圧器の容量)は「kVA(キロボルトアンペア)」という単位が使われます。
【豆知識:kWとkVAの違い】
kVA(キロボルトアンペア): 送られてくる全体の電気の量(皮相電力)
kW(キロワット): 実際に機器を動かすために使われた電気の量(有効電力)
電気機器にはロスがあるため、基本的には「kVA ≧ kW」となります。キュービクルの容量を確認する際は、この「kVA」の数値をチェックします。
キュービクルの容量を確認する方法は、主に以下の3つがあります。最も確実で簡単なのは「1」または「2」の方法です。
キュービクルの扉を開けると(※安全のため必ず有資格者や管理技術者が立ち会うか、外部から確認できる範囲にしてください)、中に設置されている「変圧器(トランス)」に変エネの仕様が書かれたプレート(銘板)が貼られています。
そこに記載されている「定格容量:〇〇 kVA」という数字が、その変圧器の容量です。
キュービクル内には、通常以下の2種類の変圧器が入っています。
灯動共用、または電灯用(単相): 照明やコンセント(100V)用
動力用(三相): エアコンやエレベーター、大型機械(200V)用
これら全ての変圧器の容量(kVA)を合計したものが、そのキュービクル全体の総容量になります。
キュービクルを設置している事業所は、法律によって毎月の定期点検が義務付けられています。
管理を委託している電気管理技術者や電気保安協会から提出される「点検報告書」を見れば、設備の総容量が必ず記載されています。
キュービクルを開けるリスクもないため、最も安全でおすすめの確認方法です。
毎月届く「電気ご使用量のお知らせ(検針票)」や、Webのマイページに記載されている「契約電力(kW)」からも、おおよその目安を把握できます。
ただし、契約電力は「過去1年間の最大使用電力」をベースに決まることが多いため、キュービクル自体の物理的な最大容量(kVA)とは異なる点に注意が必要です。
一般的に、オフィスや店舗の面積に対してどれくらいの容量が必要なのか、大まかな目安をまとめました。
施設タイプ | 面積あたりの容量目安(1㎡あたり) | 50坪(約165㎡)の場合の目安 |
一般的なオフィス | 約0.05 〜 0.08 kVA | 約10 〜 15 kVA |
飲食店(ガス主軸) | 約0.10 〜 0.15 kVA | 約20 〜 25 kVA |
物販・アパレル店舗 | 約0.08 〜 0.12 kVA | 約15 〜 20 kVA |
OA機器の多い事務所 | 約0.10 〜 0.15 kVA | 約20 〜 25 kVA |
※上記はあくまで目安です。エアコンの台数や厨房機器がオール電化か否かによって、必要な容量は大きく変動します。
オフィスの増床や店舗のリフォームに伴い、以下のような設備を導入する場合は、事前に必ずキュービクルの残り容量を計算する必要があります。
業務用エアコンの増設・入れ替え
急速充電器(EV用)の設置
サーバーやOA機器の大量導入
厨房機器の電化(IHクッキングヒーターなど)
もし容量を超えて電気を使用すると、変圧器が異常発熱し、最悪の場合は破裂や火災を引き起こします。
また、安全装置(遮断器)が作動して施設全体が強制停電(波及事故)になり、近隣一帯に迷惑をかける事態に発展することもあります。
リフォームや設備投資にあたって「容量が足りない」と判明した場合、次のような対策をとるのが一般的です。
変圧器(トランス)の入れ替え・増設:
キュービクルの箱自体に空きスペースがあれば、中身の変圧器を大容量のものに交換、または追加することで容量をアップできます。
省エネ機器への更新:
最新の省エネ型エアコンやLED照明に変更することで、消費電力(kW)そのものを抑え、現在の容量の枠内に収める方法です。
キュービクル全体の更新(新設):
設置から20〜30年が経過しているキュービクルの場合、箱ごと最新の「トップランナー変圧器」を搭載したものに一新するのが、長期的なコストや安全面で見ても賢い選択となります。
キュービクルの容量確認は、建物の安全を守り、快適にビジネスを続けるための第一歩です。
オフィスのリフォームや店舗のデザイン変更、設備の増設を検討する際は、デザインだけでなく「電気の容量が足りるか」を初期段階で確認しておきましょう。
少しでも不安がある場合は、ビルの管理会社や電気選任技術者、または信頼できるオフィスリフォームの施工業者へ早めに相談することをおすすめします。
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