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小川電機

小川電機に関する内容

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大阪・関西万博ベスト5と印象まとめ!(^^)!-photo0
2025年10月16日 11:45
小川電機

大阪・関西万博は「体験重視」の展示が多く、来場者の五感や主体性を引き出す設計が印象的だった。1位の大阪ヘルス館では、未来の自分と対話する「リボ体験」が特に心に残った。イタリア館は「本物」に触れる感動があり、未来の都市では自分の意見が展示に反映される参加型体験が魅力的だった。カナダ館は映像の迫力、ドイツ館はマスコットと音響演出の融合が印象的。公式マスコット「ミャクミャク」も親しみやすく、全体に一体感をもたらしていた。未来の展示には参加性や記憶に残る工夫が求められる。

私の大阪・関西万博ベスト5と印象まとめ!(^^)! はじめに:体験重視の万博を振り返って 万博はいわば「体験の祭典」です。展示物を観るだけでなく、五感を使い、参加することで、頭と心に残るものが強く記憶されます。今回、あなたが選んだベスト5には、いずれも「見る・触る・感じる・自分との対話ができる」体験要素が共通しているように思います。以下、それぞれの館をあなたの視点で掘り下げ、またその意義や将来への問いかけも絡めつつ再構成してみます。 また後半に、ベスト5以外で印象に残った「ミャクミャク(公式マスコットなど)」についても触れておきます。 それでは、1位から順に。 第1位:大阪ヘルス館(リボ体験が良かった) 館の概要と構成 大阪ヘルスケアパビリオン(通称「大阪ヘルス館」)は、今回の万博で「ローカルホストパビリオン(主催都市を代表する館)」の役割を担っています。テーマは “REBORN” を軸に、命・健康・未来社会といった概念を来場者に問いかけるものになっています。 館内には「展示・出展ゾーン」があり、「リボーンチャレンジ」というサブ企画で、大阪の中小企業やスタートアップが、週替わりで展示や体験型プロジェクトを展開しています。 また、来館者一人ひとりの健康状態やバイタル情報をセンサーで読み取り、将来の自分をアバター化して「未来の自分」と対話しながら都市や暮らしを体験できる「リボーン体験ルート」が目玉の一つです。 たとえば、「25年後の自分」と未来の都市を疑似体験するという映像・AR体験が報道で紹介されています。 さらに、「人間洗濯機」などユニークな体験もあるとの映像記録も残っています。 また、ヘルス館内では、健康アドバイスAIを使った「パーソナルフードスタンド」の展示もあり、来場者にその場で食に関するパーソナライズ提案をする仕組みが組み込まれています。 こうした構造を持つ館だからこそ、あなたが「リボ体験が良かった」と感じたという印象には、強く共感できます。 あなたが感じた魅力と理由 あなたがこの館を1位に挙げた理由、「リボ体験が良かった」というのは、まさにこの館の設計思想と合致しています。以下の点が、特に印象深く作用したのではないかと思います。 自分との対話ができる設計  未来の自分を可視化し、それと対話する体験は、単なる受動的展示にはない参加感を与えます。自分自身のデータを使って、未来を“体験”できることは、記憶に残る強さを持っています。 幅広い技術の掛け合わせ  AR/VR、センシング、AI、映像演出など、複数技術を統合して「体験をつくる」構成になっており、テクノロジー好きにも刺激があります。 地域企業・スタートアップとの連携  リボーンチャレンジという枠組みで、大阪を拠点とする中小企業・スタートアップが持つ技術やアイディアを展示する点が、ローカルな主体性を感じさせます。 健康/命というテーマの普遍性  万人に身近なテーマである「健康」「命」を扱うことで、高い共感を呼び、感情が揺さぶられる余地を残す館になっていたと言えます。 ユニーク体験で印象を残す  例えば「人間洗濯機」という体験が報道映像で紹介されていますが、こういう意外かつインパクトある演出が、記憶に残る要因です。 こうした複合的な要素が重なり、「良かった」と感じられる体験になったのでしょう。 振り返り・改善点も含めて ただし、完璧無欠というわけではなく、振り返るなら次のような点も思い浮かびます: 混雑時には体験待ち時間が生じやすいこと。人気体験型展示はどうしても行列ができやすく、待ち時間が体験の質を左右します。 技術のデモが先行して、体験とメッセージ性が薄れてしまう場合。体験そのものが目的化しすぎて、「伝えたいテーマ」が埋没しがち。 ARやセンシング技術が万人にストレスなく動作するかどうか、回線・機器の安定性が問われます。 とはいえ、あなたの印象ベースで1位に挙げられたのは納得の選択だと思います。 第2位:イタリア館(本物を目の前で見れた) 館の性格と展示内容(印象ベース) あなたが挙げた「イタリア館」は、「本物を目の前で見れた」という感覚が強かったと書かれています。万博では、模型・映像・再現ではなく、実物・現物・原寸などのリアルを見せることが、強いインパクトを残す手段です。 報道で、イタリア館の人気度の高まりが話題になっており、来場者の待ち時間が4時間を超えた、という記録も出ていました。 このことから、イタリア館の展示が「本物感/リアル体験」を前面に出す構成であった可能性が高いと推察されます。例えば、芸術品や伝統工芸、建築素材、あるいは機械装置そのもの等を「実物展示」しており、目の前でそれらを見られるという感覚があなたに響いたのでしょう。 あなたが感じた魅力 リアリティの重さ  模型や映像よりも、人の目の前に実物がある方が、質感・存在感・息遣いを感じやすいです。それが「目の前で見れた」という感覚につながったのでしょう。 歴史・文化・伝統の重み  イタリアという国は長い歴史と芸術・文化の伝統を持つ国であり、本物を展示することはその重みを伝えるメタファーにもなります。 対話性の余白  本物展示だけで終わらず、それをどう見せるか、解説との掛け合い、体験要素との組み合わせ(たとえば、触れる/部分操作できるもの)次第で、展示空間はより豊かになります。 感情を揺さぶる瞬間  「本物を見た瞬間に感じる驚き・喜び・感動」が、あなたの記憶に残ったのだと思います。 他者視点・課題可能性 混雑と待ち時間:上記のように4時間を超える待機という報道もあることから、人気館ゆえの“体験へのアクセスしづらさ”が問題になった可能性があります。 展示維持・劣化:実物を展示する場合、扱いや保存が難しいもの(例えば美術品・生き物・素材劣化しやすいものなど)をどう扱うかが課題になります。 補足解説とのバランス:本物展示をただ並べるだけでは見る側の理解には限界があるため、解説や演出との統合が肝になります。 とはいえ、「本物を目の前で見れる」体験を提供できたという点で、高い評価を受けるのも理解できます。 第3位:未来の都市(自身の意見が反映されて見える化になってたこと) 館の趣旨とおそらくの仕組み このパビリオン(または展示エリア)は、あなたが「自身の意見が反映されて見える化になっていた」ことを評価しています。つまり、来場者の参加・入力・選択を通じて、展示や映像・都市空間にリアルタイムに変化が起こるような仕掛けがあったのではないかと想像します。 こうした「参加型都市シミュレーション」「意思表示反映型展示」は、未来都市をテーマにする際には非常に相性がよく、来場者自身が「都市の形成者」かのような主観性を帯びさせることができます。 例えば、来場者が「どのくらいの緑地を増やしたいか」「交通をどうするか」「再生可能エネルギー利用率をどうするか」などの意思表示を行い、その集計結果が可視化されて都市模型・映像などに反映される、という形式です。こうした仕組みであれば、単なる未来予想図の提示ではなく、来場者が未来都市の“共同設計者”になるような体験が生まれます。 あなたが「見える化になっていた」と感じたのは、そのような双方向性を伴う展示系統だったのではないかと思います。 あなたが感じた魅力 参加の実感  意見を入力する、選択をする、ボタンを押す、という動作があって、それがその場で反映されるという経験は、受動的閲覧とは別次元の没入感を与えます。 未来と現在の接点を作る  参加した「未来都市」は空想ではなく、自分の選択が反映された結果として可視化されるため、「未来は他者が設計するもの」ではなく「私たちが設計するもの」であるという感覚を直接体験させてくれます。 学びと対話の場  来場者同士の選択や評価が重なり合った結果が展示に出るという形式ならば、複眼的な視点や対話が生じやすく、学びの可能性も広がるでしょう。 未来志向を体験レベルに昇華  言葉で未来を語るだけでなく、未来都市を“操作できる装置”にしてしまう点が、あなたにとって印象深い体験だったのだと思います。 課題と工夫点 多くの来場者が同時参加する中で、入力と反映のタイムラグ・混雑・レスポンス遅延をどう制御するか 意見の多様性をどう可視化するか(多数派vs少数派、バランスを保つかどうか) 入力内容のアンケート偏りや操作性(質問文が難解・インターフェースが使いにくいなど) 展示空間としての演出性と、可視化系バックエンドとの統合性設計 こうしたハードルを乗り越えてなお、あなたの印象に残る体験になったことは、このパビリオンの完成度が高かった証拠とも言えるでしょう。 第4位:カナダ館(映像が組み合わさって迫力が有った) 展示構成と印象の構図 あなたが「映像が組み合わさって迫力が有った」と感じたこの館は、映像演出を複数層・複合的に重ね合わせ、空間演出と連動させた構成だったのだと想像できます。プロジェクションマッピング、スクリーン映像、立体投影、サラウンド音響、光・音・空間演出を統合した形が、迫力を演出する基本構成でしょう。 たとえば、カナダという国の自然、森林、氷河、先住民族文化、環境保護・サステナビリティなどをテーマに、映像・音響と空間演出を重ね、観客がその中に没入できるよう設計されていた可能性があります。 また、映像と空間の組み合わせは、静的展示だけでは表現が難しい「時間変化」「スケール感」「流動性」「自然のリズム」などを強く訴える力を持つため、印象深さを得やすい手法です。 あなたが感じた魅力 映像演出の多重性  単一スクリーンではなく、複数投影・プロジェクション・立体映像などを組み合わせて「映像としての奥行き/広がり」が感じられたこと。これが「迫力」をあなたに伝えたのでしょう。 空間との融合  単なる映像上映館ではなく、空間演出(光・音・質感・風・匂いなどを含むかもしれない)と映像が統合されていたなら、没入感を損なわない構成になっていたはずです。 物語性・時間性  映像に時間経過、季節変化、気象変化、夜昼の移り変わり、動植物の営みなどを重ねることで、館を一つの「物語」として体験できる構成なら、それもまた印象を強く残します。 パースペクティブの設計  映像の視点移動、ズーム、引きの映像と寄りの映像などの連動で、観客に風景の広がりを感じさせる工夫があった可能性があります。 課題および考察 視界制限や投影映像の重なり:複数映像を重ねると、視覚的ノイズや焦点がぶれる可能性もあり、コンテンツ設計の精度が必要。 映像クオリティと解像度:大画面かつ近距離鑑賞が可能なら、映像の解像度・質感・輝度・暗部描写などが視覚体験の鍵になります。 音響との同期:映像と音響とのズレが体験品質を損なうため、技術的同期が重要。 混雑時の視界確保:立ち見や列の中からでも映像が見えるように設計されているかが問われる。 あなたが「迫力があった」と感じたのは、こうした映像×空間演出構成が十分に練られていたからでしょう。 第5位:ドイツ館(マスコットがスピーカーになっていた点) 展示演出とマスコットの使い方 ドイツ館について、あなたが「マスコットがスピーカーになっていた点」に強く印象を受けた、という表現をされています。これは、館の演出が“キャラクター+音声演出”を有機的に結びつけ、そのマスコットを展示案内や音響装置として機能させていた配置があったという意味だと解釈できます。 つまり、ドイツ館のマスコット(キャラクター像・造形物)が、ある意味「スピーカー(音声案内装置)」として機能しており、ただの飾りやロゴ代替ではなく、物語や説明、演出を音響として担う存在になっていたわけです。これは非常にアンビエントで遊び心がある工夫だと思います。 こうした表現手法は、展示館において「音声案内」「ナレーション」「ガイダンス音声」をキャラクター性と融合させ、物語性・親近感を高める役割を果たします。 あなたが感じた魅力 キャラクター性と機能性の統合  マスコットをただ可愛い装飾的オブジェクトにするのではなく、「スピーカーになる」ことで能動的な役割を持たせた点があなたの記憶に残ったのでしょう。 演出の遊び心  展示設計者が「音響案内=機械的」ではなく、「キャラクターが語る」スタイルを選んだことで、展示体験が一層親しみやすく、記憶に残るものになったはずです。 没入性の強化  マスコット自体が館の語り手・案内者となることで、来場者はキャラクターと対話しているような感覚を持ちやすくなります。これにより、展示空間に「語り」が入り込み、物語性が増します。 視覚と聴覚の融合  マスコットの造形物を視覚的に確認しながら、その位置から音(説明・演出)が流れることで、視覚と聴覚の接点が一致し、体験としての一貫性が高まります。 改善や今後への示唆 スピーカー機能を持たせるマスコットと展示空間との音響設計を慎重に調整する必要があります(反響・残響・指向性など)。 複数言語対応や聴覚障害配慮(字幕表示や手話案内併設など)をどう補完するかが問われるでしょう。 キャラクター設定(性格・語り口)と展示メッセージとの整合性をきちんと設計すること。語りが展示主題から離れてしまうと逆効果になります。 とはいえ、こうした演出アイデアが実際に機能してあなたに印象を残したことは、ドイツ館設計の巧みさを感じさせます。 その他印象深かったもの:ミャクミャク あなたは、ベスト5以外にも「ミャクミャクが愛らしく、今回の万博にマッチしていた」と言及されています。ミャクミャクは、万博の公式マスコットであり、会場の随所で造形やモニュメント、演出アセットとして登場している存在です。 ミャクミャクは、その親しみやすいデザインとユニークなキャラクター性を通じて、会場全体の統一感・シンボル性を高める役割を果たしたでしょう。以下、印象ポイントを列挙します: 統一的ブランドアイデンティティ  万博全体の象徴として、さまざまな展示・演出とのリンク点が作れるキャラクター性を持っていたこと。館内外のポスター、オブジェ、案内表示などに展開され、会場に一体感を与えます。 親しみやすさ・メンタルブリッジ  展示の難解さや未来志向の重さを、マスコットという柔らかい存在がつなぎ、子どもから大人まで誰もが親しみを感じやすくなる“緩衝材”的役割を果たしたでしょう。 演出との融合  ミャクミャクが点灯する・音を出す・映像に絡むなど、演出アセットとして可動性を持っていたら、それ自体が展示の一部となりえます。 記号性と記憶性  単一のキャラクターを通して、訪問者の記憶に残り、SNSでの拡散や写真撮影の被写体ともなりやすい存在です。象徴的存在は、来場後の記憶想起につながります。 こうして見ると、ミャクミャクは“場をつなぐ存在”として、万博そのものを補強する役割を果たしていたと思います。 総評とあなたの視点から未来への問い あなたの個人的なランキングを見ると、「体験性」「対話性」「没入性」「マスコット性」など、単なる受動的観覧ではなく参加・感情・相互作用を重視する視点が貫かれています。これは、これからの国際展示・未来館設計において、非常に示唆的な評価軸だと思います。 いくつか総評的視点と今後への問いを挙げておきます。 共通する成功要因 体験の能動性  来場者が操作・入力する、選択できる、反応を見る、という要素が入っている館は印象に残りやすい。受動的閲覧ではなく、主体性を引き出す設計が成功していた。 五感複合型演出  映像、音響、照明、空間、質感などを統合して使うことで、展示に“厚み”が出る。 親しみ・物語性  マスコット、キャラクター、語り手・案内役の導入などで、来場者と展示との心理的な距離を縮める工夫が有効。 リアル/本物性  模型・再現ではなく、可能な限り現物・原寸・リアルマテリアルを見せることで、展示に重さと質感が加わる。 技術とテーマの融合  AR/VR・センシング・AI・可視化等の技術を使うだけでなく、それを展示テーマ(命・都市・環境など)と結びつけて使うことができれば、体験はより意義あるものになる。 今後への問い こうしたインタラクティブ型展示は、混雑・タイミング・回線・機器故障などのリスクも抱える。安定性をどう担保するか。 意見入力型展示で、多様性の反映や「少数意見」の可視性をどう保つか。 展示体験が短時間で終わってしまうことの課題(もっとじっくり体験したい人への配慮) 障害者・高齢者・言語非対応者への配慮(バリアフリー設計、音声/字幕併用、操作性の簡便化など) 展示後の記憶・持ち帰り要素をどう設計するか(アプリ連携、記録保存、VRアーカイブなど) 展示体験が「目新しさ」によって終わらぬよう、展示主題(メッセージ)をきちんと伝えられる構成をどう保つか あなたの視点が示すもの あなたが選んだベスト5は、単なる豪華さや派手さではなく、「体験としての意味」「対話・参加性」「記憶の残し方」に重きを置く視点です。そういう観点から言えば、今回の関西万博は、ある意味「体験博覧会」の方向性を強く打ち出した展示祭典だったと言えるかもしれません。 今後、もし博覧会・展示館設計・未来館企画などを行うとしたら、あなたの経験と視点は非常に有効なフィードバックになります。展示構成において、「見せる」だけでなく「対話させる」「記憶させる」「語るキャラクター性を持たせる」要素をどう設計できるか、がキーになるでしょう。

キュービクルと第三次トップランナー基準 image
2025年9月12日 09:58
小川電機

キュービクル式高圧受変電設備に用いられる変圧器は、2026年4月から「第三次トップランナー基準」への適合が義務付けられ、省エネ性能のさらなる向上が求められます。これにより、変圧器の寸法・重量増加やコスト上昇、キュービクルの設計変更が必要となる可能性があります。導入・更新時には、寸法確認、基礎補強、納期管理などへの対応が重要です。長期的には電力損失削減や環境負荷低減に寄与するため、早期の計画と情報収集が不可欠です。

「キュービクルと第三次トップランナー基準の最新動向と実務対応」 はじめに まず、キュービクルとは何か、そしてトップランナー制度とは何か、基本を押さえた上で、第三次判断基準が変圧器にどう影響し、キュービクル設備にどのような対応が求められるかを述べます。 キュービクルとは何か(基礎知識) 「キュービクル(cubicle)」とは、正式には キュービクル式高圧受変電設備 と呼ばれ、高圧で受電した電力を施設で使える低圧(100V, 200Vなど)に変圧する機器類(変圧器・開閉器・保護装置・受電盤など)を金属の箱体などで収めた設備を指します 主に対象になるのは: 契約電力が50 kWを超えることにより「高圧受電契約」が求められる施設。 商業施設、工場、大型ビル、学校、マンション等、電力使用が一定規模あるところ。 キュービクルの主な役割・構成は以下の通りです: 機能/要素 内容 受電 電力会社から高圧(代表的に6,600 Vなど)で供給される電気を受け入れる。 変電(変圧) 変圧器(トランス)で高圧から低圧に電圧を下げ、施設内で使用できるようにする。 配電/制御/保護 低圧配電盤、高圧受電盤、遮断器や保護装置(過電流・短絡・地絡防止など)を備える。 また、設置基準・安全規制・法令(電気事業法・JIS規格等・消防法など)があります。設置場所スペース・温度条件・避雷・結露対策等も規定がある。 トップランナー制度とは何か(変圧器を含む省エネ制度の枠組み) トップランナー制度は、日本の省エネルギー政策の一つで、「特定の機器類」について最も省エネ性能が高いもの(トップランナー)を基準として、それを目標/基準とし、それ以下の性能の機器を改良・入れ替えていくことを促す制度です。 変圧器(配電用変圧器)はこの制度の対象機器のひとつです。変圧器の“エネルギー消費効率”(損失の少ないこと、待機損失や鉄損・銅損等が小さいこと)が制度上評価・基準化されてきました。 これまでにも、トップランナー変圧器には複数の判断基準があり、第1次・第2次判断基準(2014基準等)が適用されていました。 第三次トップランナー変圧器判断基準(2026年度からの改定内容) ここからは、2026年4月から適用される「第三次判断基準」が、何をどれだけ改めるものか、その重要ポイントを整理します。 項目 内容 適用開始時期 2026年4月より、変圧器メーカーに対して新基準適合が義務付けられる。従来のトップランナー変圧器2014基準の出荷はこの期日以降できなくなる。 対象範囲 油入変圧器、モールド変圧器、現行制度の対象と同じ種類。能力区分(容量・相数・周波数・仕様区分)による分類。 エネルギー消費性能(効率)の改善率 平均で**約14.2%**のエネルギー消費効率向上が求められている。 基準区分・算定方式 容量毎、仕様(標準仕様・準標準仕様等)、相数・周波数など複数の区分に応じて、区分毎に「基準エネルギー消費効率」が定められ、それを「出荷台数で加重平均」して、各年度目標を上回らないようにする方式。 負荷率の基準 変圧器の損失低減の実用的な有効性を確保するため、負荷率を考慮した基準がある。例えば 500 kVA 以下では 40%、500 kVA 超では 50%などの基準負荷率が設定されており、この点は第二次基準から継続されています。 キュービクルと第三次判断基準の関係・影響 では、この新基準はキュービクル設備(特に変圧器を含む受変電設備)に具体的にどう影響するか、どのような対応が必要になるかを見ていきます。 変圧器の更新・選定における制約の変化 新基準に適合しない旧変圧器(トップランナー2014基準のもの)は、2026年4月以降、メーカーからの出荷ができなくなる。つまり、キュービクルに既存の変圧器を取り付けようとしても、そのモデルが入手できない可能性がある。 新基準対応の変圧器は、効率を上げるために鉄心・巻線等の材料をより高性能なものにする必要があり、その結果、「寸法・質量」が大きくなる傾向がある。 また待機電力(鉄損など)の低減が重視されており、これも新材・構造を採用した変圧器で対応される(例:アモルファス合金鉄心を使った製品など)。 設置スペース・構造・搬入・基礎などの影響 変圧器が大きくなると、キュービクル自体の内部寸法・強度・基礎構造などを再検討する必要が出てくる。既存キュービクルの収まり(変圧器が箱体内に“入る”か)が問題となるケースもある。 搬入作業での重量・サイズの制限や、キュービクル扉・壁の開口部・設置場所までのアクセス等を見直す必要がある。場合によってはキュービクル全体の拡大・改造が必要になることも。 基礎(コンクリートなど)の強度や設置床面の支持力なども、新しい変圧器の重量や振動・熱などに対応できるように検討が必要。特に屋外設置・屋上などでは荷重条件が厳しくなる。 コスト・価格への影響 高効率化により材料コストが上がることが見込まれており、製品自体の単価が上昇する。 加えて、キュービクル側での改造(内部寸法拡大、基礎補強、搬入経路の確保等)や工事コスト・施工期間も増加するケースがある。 さらに、設計変更・審査・図面確認等の期間が長くなる可能性もあり、納期(発注から納入までの期間)が影響を受ける。 制度・補助金等への影響 補助金交付制度や公共工事などで「省エネ基準を満たす機器・設備」を求める案件が多く、変圧器が第三次基準に適合していることが要件となることが増えてくる見込み。 キュービクル設置を計画している事業者は、変圧器メーカーがいつ現行モデルの受注を停止するかを確認する必要がある。メーカーによっては2025年9月以降、現基準製品の受注停止予定を公表している。 運用・維持管理の観点 新基準で効率が上がる変圧器は、待機損・鉄損・銅損などの損失が低いため、電力ロスが減り、長期的には電気料金削減やCO₂排出低減に寄与する。キュービクルを長く使う施設では、この点が非常に重要。 古い変圧器では効率が悪く、損失が大きいものもあり、更新を検討すべき時期が近づいている。日立産機システムの調査では、国内稼働中の変圧器のうち設置後20年を超えるものが多く、最新モデルと比べて損失が大きいものが多いという指摘がある。 キュービクル設置・更新時の具体的な注意点 現場で新基準を踏まえてキュービクルを設計・更新・維持する際に、以下の点を押さえておくとよいでしょう。 変圧器仕様の事前確認 新基準対応の変圧器の外形寸法・重量・接続口位置などを詳細に確認し、既設キュービクル内に収まるかどうかを確認する。図面やメーカー仕様表を取り寄せること。 搬入経路(ドア・扉の大きさ、クレーンや人力の扱い・通路)を確認。現場実際の設置場所まで運べるかを事前に検討する。 キュービクルの構造・基礎の見直し 床荷重・地震対策・耐熱・換気等が新仕様変圧器対応できるかをチェック。特に油入変圧器等で発熱や油漏れリスクがあるものは、周囲のクリアランス・換気が重要。 基礎の強化が必要な場合、設計段階で余裕を持たせておく。コンクリートの厚さ・アンカー等の取付方法も確認。 予算の見積もり 製品コストだけでなく、工事費・設置準備費(基礎・搬入・改造)・保守・メンテナンスコストなどを含めたトータルコストを見積もる。 将来の電力使用量増加を見込んで容量に余裕をもたせると、後で追加や再更新をする際のコストを抑えられる。 スケジュール管理 メーカーの受注停止・切り替え時期を把握する。たとえば、現行基準製品の受注停止が予定されているメーカーもあるため、発注タイミングを逃すと納期が大きく遅れる可能性がある。 設計承認・許認可等の手続き期間も含めた余裕を持ったスケジュールを作成する。 補助金・制度への対応 補助金申請や公共工事の仕様で、新基準対応が要件となるものがあるか確認する。要件を満たさない機器では補助が受けられない、あるいは契約落ちすることもある。 また、既存のキュービクルで変圧器だけ更新可能か、あるいはキュービクル本体も含めて更新・増築が必要かを検討する。 まとめ 第三次トップランナー変圧器判断基準は、変圧器の省エネルギー性能をさらに引き上げることを目的とした政府の制度改定であり、キュービクル設備にとっては無視できない大きな転換点です。特に以下の点が重要です: 新基準により旧変圧器が出荷できなくなること 新基準対応変圧器の寸法・重量増加によりキュービクルの構造・設置場所・搬入などの影響あり コスト増・設置工期の延長の可能性 しかしその一方で、電力損失低減・電気料金・CO₂排出削減など長期的なメリットも大きい キュービクルを導入・更新しようとする事業者・設計者・施工者は、この基準変更を念頭に、仕様選定・設計・見積もり・納期の段取りを早めに行うことが肝心です。 もしよければ、「具体的な変圧器の性能比較」「キュービクル設計のモデル例」「コスト試算」などもお送りできますが、ご希望されますか?キュービクル導入価格、内訳費用はどのくらい?節約法や設置完了までの期間も解説。 | Resprom|オフィス・事務所・店舗のリフォームに役立つ情報を発信するメディアです

非常用発電機と常用発電機の違い image
2025年8月13日 13:52
小川電機

非常用発電機は停電や災害時に限定して使用され、短時間の電力供給を目的とします。一方、常用発電機は日常的な使用や長時間運転に対応し、工場や建設現場などで活用されます。目的や稼働時間、法的要件に応じて選定が必要です。非常用はヤンマー、東京電機、ニシハツ、常用はデンヨー、東芝、三菱重工など、用途に特化した信頼性の高いメーカー製品を選ぶことで、安定した電力確保とBCP対策に繋がります。

非常用発電機と常用発電機の違い ~導入前に知っておきたい基本知識とメーカーの特徴~ 電力は現代社会の生命線です。工場、ビル、病院、住宅、インフラ——あらゆる場所で安定した電力供給が求められています。しかし、台風や地震といった自然災害や電力供給システムのトラブルにより、電力が途絶えるリスクは常に存在します。そうした「いざ」という時に活躍するのが発電機です。 発電機には大きく分けて「非常用発電機」と「常用発電機」があります。この2つは名前こそ似ていますが、使用目的や性能、設置環境に応じて大きな違いがあります。本コラムでは、両者の違いをわかりやすく解説するとともに、それぞれの代表的なメーカーについてもご紹介します。 非常用発電機とは 役割と目的 非常用発電機は、主に停電や災害時に限定して使用されるバックアップ電源です。通常は稼働せず待機しており、非常時に自動で起動して、建物内の最低限必要な電力(照明、通信設備、医療機器、非常用エレベーターなど)を確保します。電力供給が途絶えた際でも、人命を守り、混乱を防ぐことが主な役割です。 主な用途 病院やクリニックの医療機器用電源 商業施設・ビルの非常階段照明や非常放送設備 工場の安全停止制御装置 マンションのエレベーターや給水設備 公共施設(避難所など)の照明・暖房設備 特徴と技術的側面 自動起動制御:停電を検知すると自動で始動し、数秒で電力供給を開始。 短時間稼働前提:連続稼働はせいぜい24時間以内。長時間使用には不向き。 定期点検必須:ほとんどの時間は待機状態にあるため、月1回以上の定期的な試運転が推奨されています。 法的義務がある場合も:消防法・建築基準法により、一定規模以上の建築物には非常用発電機の設置が義務づけられています。 常用発電機とは 役割と目的 常用発電機は、非常時に限らず日常的に電力を供給することを目的とした発電機です。建設現場やイベント会場、無電化地域など、電力インフラが不安定または存在しない環境で活躍します。また、工場などで電力コスト削減やBCP(事業継続計画)対策の一環として導入されるケースも増えています。 主な用途 建設現場・仮設事務所 電力インフラが未整備な地域のライフライン確保 工場・データセンターの常時運転用 再生可能エネルギーと組み合わせたハイブリッド運用 電力需給調整やピークカット運用 特徴と技術的側面 長時間連続運転が可能:数百時間〜数千時間の運転にも耐えられる構造。 耐久性重視の設計:大型の冷却システムや高耐熱部品を採用。 燃費・排ガス性能が重視される:長時間運転に伴う燃料消費や環境負荷への配慮。 大型・高出力化が進む:高電力需要にも対応可能なモデルが多数。 両者の比較表 項目 非常用発電機 常用発電機 使用目的 停電・災害時のバックアップ 通常時の電源供給・主電源としての利用 稼働頻度 ごくまれ(テスト運転を除く) 頻繁または常時稼働 運転時間 数分〜24時間程度 数百〜数千時間以上 耐久性 中(緊急時用) 高(長時間運転に対応) 法的義務 一部施設に設置義務あり 任意導入(施設のニーズに応じて) 燃料効率 あまり重視されない 高効率設計が主流 設置環境 屋内・屋外いずれも可(設置基準あり) 多くは屋外(防音・耐候設計が必須) 初期コスト 比較的安価 高価(性能・容量により異なる)   非常用発電機の代表的メーカー ヤンマー(YANMAR) 創業100年を超える老舗のエンジンメーカーで、ディーゼル発電機において国内外で高い信頼を誇ります。ヤンマーの非常用発電機は、耐久性と始動性に優れており、病院やオフィスビル、公共施設で広く使用されています。点検やメンテナンスのしやすさにも定評があり、全国にサービス拠点を展開しているのも安心材料です。 東京電機(TDK) 非常用電源装置の専門メーカーとして、主に都市部のビルやマンション向けに製品を提供。小型・省スペース設計や、低騒音仕様の製品が多く、特に住宅密集地での導入実績が豊富です。また、防災設備に特化した製品ラインナップもあり、建物の安全性を高めるパートナーとして選ばれています。 ニシハツ(西日本発電機) 九州を拠点に、地域密着型の発電機メーカーとして実績を積んでいる企業です。災害時には迅速な対応とメンテナンスサービスを提供しており、自治体や中小規模施設の非常用電源として導入が進んでいます。近年では全国展開を強化しており、導入後の保守体制が整っている点が評価されています。 常用発電機の代表的メーカー デンヨー(Denyo) 常用発電機の代名詞とも言える存在。特に建設現場での可搬型発電機に強く、防音・耐久性能に優れた製品を多数ラインナップしています。高出力モデルから小型軽量タイプまでバリエーションが豊富で、現場の用途やニーズに応じて柔軟に対応可能です。国内はもちろん、アジア諸国や中東・アフリカなど海外への輸出実績も多く、信頼性は世界レベルといえます。 東芝エネルギーシステムズ(Toshiba) 東芝は、特に高出力で信頼性の高い常用発電設備を中心に、社会インフラ・プラント向けの大型発電システムを展開しています。ガスタービン、ディーゼル、再生可能エネルギー連携型のシステムなど、多様なソリューションを持ち、BCP・省エネ・分散型電源のニーズに対応しています。 三菱重工業(MHI) 重工業大手の三菱重工は、世界的にも高性能な発電システムを提供。特に大型常用ディーゼル発電機・ガスエンジン発電設備に強みを持ち、プラント・ビル・自治体などでの採用が進んでいます。耐久性・燃費性能・環境性能を兼ね備えた次世代型の常用発電機を数多くラインナップ。 選び方のポイント 発電機を導入する際は、「何のために使うのか?」を明確にすることが最も重要です。以下のポイントを参考に、自社や施設に最適な選択を行いましょう。 1. 使用目的を明確にする 非常時の安全確保 → 非常用発電機 常時の電力供給やピーク電力対策 → 常用発電機 2. 稼働時間と出力の想定 非常用:数時間〜1日程度、必要最低限の電力でOK       最近は72時間稼働での企業・施設のBCP対策にも活用される。 常用:長時間連続稼働が前提、高出力モデルを検討 3. 設置環境とスペース 屋内設置か屋外設置か、防音対策の必要性、燃料保管場所など 4. 法令・規制の確認 消防法・建築基準法などで設置が義務化されているかの確認が必要 5. メンテナンス体制 導入後の保守契約、点検体制、部品供給の安定性も導入先選定の重要ポイントです まとめ 非常用発電機と常用発電機は、それぞれ異なる目的と性能を持つ発電設備です。「一度設置すれば安心」ではなく、それぞれの運用環境や用途に応じた適切な選定・設計・メンテナンスが重要です。 非常用発電機には、ヤンマー・東京電機・ニシハツなどの信頼できるメーカーが存在し、常用発電機には高性能で世界的にも評価の高いデンヨーがあります。導入の際には、各社の特長を比較しながら、最も適した製品を選ぶことが成功への鍵となります。 電力の「もしも」に備えて、確実な選択を——それが、あなたの事業や生活を守る第一歩です。

既設基礎を流用できる縞鋼板を活用したチャンネルベース image
2025年8月1日 15:20
小川電機

キュービクル改修は、もはやコンクリート基礎の時代ではありません。縞鋼板を用いたチャンネルベースなら、基礎工事不要・短工期・低コストを実現。屋上や狭小地でもスマートに設置可能で、再利用性も抜群。次世代の電設工事は、"スピード"と"柔軟性"が鍵です。

基礎工事不要!縞鋼板を活用したチャンネルベースでスマートにキュービクル改修を実現 はじめに 近年、老朽化した高圧受電設備(キュービクル)の改修が全国各地で進められています。特に商業施設や工場、マンションなど、日常の業務や生活に電力を供給する重要設備であるキュービクルのメンテナンスは、設備保全の要ともいえるでしょう。 しかし、キュービクルの更新や改修工事には、多くの場合、煩雑な基礎工事が伴います。従来はコンクリート基礎を打設し、十分な支持力と耐震性を確保するのが一般的でしたが、これにはコストや時間、さらには天候に左右される不確定要素が付きまといます。 こうした中、近年注目を集めているのが、「縞鋼板を用いたチャンネルベース」によるキュービクルの設置方法です。この新工法は、特に既設設備の改修現場や屋上施工など、物理的・時間的制約の大きい現場において、従来工法に代わる強力な選択肢となっています。 本コラムでは、実際の施工写真をもとに、この新しい施工スタイルの特徴やメリット、注意点について詳しくご紹介します。 チャンネルベースとは? チャンネルベースとは、主に鋼材で作られた枠組みと縞鋼板(チェッカープレート)を組み合わせて構成される、簡易的かつ高耐久な機器設置基礎のことです。鉄製のチャンネル鋼で骨組みを作り、その上に滑り止め効果のある縞鋼板を敷くことで、安全性と耐荷重性を両立させています。 縞鋼板は、表面に凸凹の滑り止め加工が施されており、作業員の転倒リスクを軽減できるほか、排水性も確保されており、屋外使用にも適しています。 大型キュービクルの設置例 大型のキュービクルが屋上に設置されており、その下部に頑丈なチャンネルベースが敷かれています。金属製の床材は縞鋼板で構成されており、作業員が上を歩いても滑りにくい構造となっています。 また、ベース下にはケーブル導入用の開口が確保されており、電源系統の引き回しもスムーズに行えます。現場での柔軟な対応が求められる中、チャンネルベースの導入により、配線や接地の自由度も高まり、施工効率の大幅な向上が見込まれます。 基礎工事が不要となる理由と利点 縞鋼板を用いたチャンネルベースの最大の利点は、「従来のコンクリート基礎工事が不要である」という点です。 1. 高い支持力と荷重分散 鋼材は高い構造強度を持っており、キュービクルの重量を均等に分散可能です。設置面に適切なレベル調整と防振措置を施せば、コンクリート基礎と同等の安定性を確保することが可能です。 2. 短工期化とコスト削減 基礎打設にかかる時間とコストが大幅に削減されるため、改修工事全体の工程が短縮されます。とくに屋上や狭小スペースでの施工においては、工期短縮と重機不要という大きなメリットがあります。 3. 撤去・再利用が容易 鋼材で構成されているため、将来的な撤去や再利用も容易です。建物解体や設備更新時にも無駄な廃材を出さず、環境負荷を低減できます。 中小型キュービクルへの応用例 比較的小型のキュービクルが設置されていますが、こちらにも縞鋼板チャンネルベースが活用されています。 都市部の集合住宅や小規模施設では、基礎工事の制約が多く、こうした構造は非常に有効です。たとえば、建物屋上は構造上の制限が多く、打設作業や搬入作業が難航するケースもありますが、鋼製ベースであれば小分けで搬入し、現場で組み立てることで施工が完了します。 また、耐荷重を分散させつつ、設置全体をフラットに保てるため、保守点検や再工事の際にも優位性があります。 現場での施工ステップ 実際の現場では、以下のような流れでチャンネルベースが施工されます。 現地調査・寸法確認 設置面の傾き・凹凸・排水勾配などを事前にチェックし、ベース寸法と設計を確定。 鋼材の製作と搬入 工場でプレカット・溶接されたチャンネル鋼と縞鋼板を現場に搬入。 現場での組立と固定 フレームを組み立て、アンカー固定または防振ゴムなどでレベル調整。 キュービクルの据付 フォークリフトやクレーンで本体を設置。縞鋼板ベースの上に安全に配置。 ケーブル配線・結線作業 ケーブル導入部を利用して、盤内との接続を行う。 比較項目 コンクリート基礎工事 チャンネルベース(縞鋼板) 工期 長い(乾燥養生必要) 短い(即日施工可) 重量 非常に重い 軽量で搬入容易 再利用性 難しい 可能 コスト 高い 中〜低 雨天施工 不可 条件付きで可能 設計柔軟性 制限多い 高い 注意点と対策 もちろん、チャンネルベースの導入にあたっては、いくつかの留意点も存在します。 防錆処理の徹底:鋼材を使用するため、長期間の屋外使用では腐食対策が不可欠です。亜鉛メッキや防錆塗装が標準対応。 水平・レベル調整の精度:設置面の不陸がある場合、ゴムスペーサーやモルタルで微調整が必要です。 耐震性能の検討:建築基準法や電気設備技術基準に準拠し、必要に応じてアンカーボルト等での固定を実施します。 今後の展望と活用提案 脱炭素・SDGsの流れの中で、設備工事においても「効率化」「省資源」「低環境負荷」が求められる時代となっています。 仮設機器の一時設置 屋上太陽光設備のパワコン設置 非常用発電機の架台利用 EV急速充電器のフレキシブル設置ベース など、応用範囲は今後さらに広がっていくでしょう。 まとめ 縞鋼板を利用したチャンネルベースは、キュービクル改修における「基礎工事の簡略化」という大きな課題に対し、合理的かつ安全な解決策を提示するものです。 施工性、コスト、耐久性のすべてをバランスよく実現できるこの方式は、今後の設備工事のスタンダードになっていくと考えられます。特に、「限られた時間・限られたスペース・限られた予算」で工事を求められる現代の現場において、その真価が問われる場面は増えていくでしょう。 ぜひ、今後のキュービクル改修計画において、このスマートで柔軟な工法を選択肢の一つとして検討してみてください。

低濃度・高濃度PCB廃棄物処理期限迫る! image
2025年7月11日 15:04
小川電機

PCB廃棄物は強い毒性と環境への悪影響があるため、法令により処理期限が定められています。高濃度PCBは2023年3月末、低濃度PCBは2027年3月末が期限です。対象機器の所有者は、早期に調査・分析を行い、確実な処理計画を立てて対応することが重要です。

はじめに PCB(ポリ塩化ビフェニル)は、かつて絶縁油や熱交換器、コンデンサなどに広く使用されていた化学物質です。しかし、その後の研究により、PCBには強い毒性と環境残留性があることが判明し、1972年以降は製造・使用が禁止されました。現在、日本国内には依然として多くのPCB含有機器や廃棄物が存在しており、適正な処理が求められています。特に、処理期限が法的に定められているため、所有者には早急な対応が必要です。本コラムでは、PCB廃棄物の区分、処理期限、およびその対策について解説します。 PCB廃棄物とは PCB廃棄物は、その含有濃度によって「高濃度PCB廃棄物」と「低濃度PCB廃棄物」に分類されます。 高濃度PCB廃棄物:PCB濃度が0.5%(5,000ppm)を超える廃棄物。主に、古い変圧器、コンデンサ、安定器、PCBが直接使用された機器などが該当します。 低濃度PCB廃棄物:PCB濃度が0.5%以下の廃棄物。主に、PCBが絶縁油などに混入したことで汚染された機器などが対象です。 この分類により、処理方法や処理可能な施設が異なるため、まずは正確な区分と分析が必要です。 高濃度PCB廃棄物の処理期限と現状 高濃度PCB廃棄物は、「ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法(PCB特措法)」に基づき、2023年3月31日までの処理が義務付けられていました。処理は、環境省が設置した中間貯蔵・環境安全事業株式会社(JESCO)の処理施設にて行われてきました。 しかしながら、地域や所有者の事情により一部処理が遅れたケースもありました。これに対し、環境省は「処理期限までに処理を完了する意思と具体的な計画を有する者」に限り、期限後も一定期間、例外的に受け入れを認める方針を打ち出しています。ただし、この措置はあくまで特例であり、期限内の対応が原則です。 参考サイト(中間貯蔵・環境安全事業株式会社(JESCO)) https://www.jesconet.co.jp/content/000022556.pdf 低濃度PCB廃棄物の処理期限と留意点 一方、低濃度PCB廃棄物については、各都道府県や政令市が指定する処理業者により、無害化処理が行われます。処理期限は、2027年3月31日と定められており、現在も猶予期間中ですが、処理可能な施設数には限りがあります。また、処理までに分析・分別・申請等の工程が必要なため、早めの対応が強く推奨されています。 低濃度であっても、長期間放置すれば腐食や漏洩などのリスクが高まることから、法令違反となる可能性があります。また、期限を過ぎた場合には、処理業者による受け入れが困難となり、適切な処分ができなくなる恐れもあるため、期限前の確実な処理が重要です。 所有者が取るべき対応 PCB廃棄物の所有者は、まずは自社設備にPCB含有機器が存在するかを確認し、該当する機器があれば専門業者による分析を依頼することが必要です。そのうえで、以下のような対応が求められます。 機器のPCB含有調査 使用中・保管中の変圧器やコンデンサなどについて、メーカー情報や調査記録を基にPCB含有の有無を確認します。 濃度の特定と区分 分析により、PCBの濃度を確定し、高濃度または低濃度としての扱いを明確にします。 自治体・処理業者への相談と申請 管轄の都道府県・市町村、または指定処理業者に連絡し、必要な手続きを進めます。 期限内の処理計画の立案・実施 廃棄物保管状況、処理予約、運搬手配などを含む処理スケジュールを策定し、早めの対応を行います。 まとめ PCB廃棄物の処理は、環境保全と安全管理の観点から極めて重要です。高濃度PCB廃棄物の期限はすでに過ぎており、低濃度PCB廃棄物も2027年3月末という期限が迫っています。対象となる機器を保有している事業者は、期限直前になって慌てることのないよう、今から計画的な対応を進める必要があります。法令順守と安全確保のため、専門機関と連携しながら、適正な処理を確実に進めましょう。

非常用発電機の安全と安心 image
2025年6月9日 14:00
小川電機

非常用発電機は、災害や停電時における電力バックアップの要として、さまざまな公共的施設で活用されている事が多いです。このコラムでは、電気、消防、そして建築の各分野での非常用発電機の役割、技術革新とその未来展望について深掘りします。

キュービクルの納期は今どの様になっているか!-photo0
2025年11月26日 09:46
小川電機

2026年4月から変圧器へ第三次トップランナー基準が適用され、従来品の受注は2025年内に多くが停止、2026年以降は新基準品のみ使用となる。一方、古いキュービクルに含まれる低濃度PCBは2027年3月末までに処分が必須で、更新需要が急増。これらが重なる2026~2027年は製造キャパ逼迫でキュービクルの納期遅延が懸念される。事業者は早期の設備調査、PCB分析、設置スペース確認、設計・発注の前倒しが必須で、複数メーカーとの連携や補助金活用がリスク回避の鍵となる。

キュービクルの納期は今どの様になっているか! はじめに:なぜ「今、キュービクルの納期」が注目されるのか 近年、ビルや工場などで使われる高圧受変電設備、いわゆる「キュービクル」に関して、供給タイミングや入れ替え時期に関してこれまで以上に注目が集まっています。その背景には大きく、以下の2つの制度および法令期限があります。 第三次トップランナー基準の導入 — 2026年4月以降に変圧器の省エネ(エネルギー効率)基準が強化される。 低濃度PCB機器の処分期限 — PCB含有の古い受変電設備は、2027年3月31日までに処分または処分委託契約を締結する必要がある。 これらの制度変更や期限が近づいているため、キュービクルの更新・設置計画やその納期確保が、事業者にとって大きな課題となっているのです。 本コラムでは、まずこれらの制度・法令の概要を整理し、そのうえで 「現在(2025年末時点)のキュービクル納期状況」 と、 「2026年4月以降に想定される納期・供給の変化」 を展望します。 キー制度/法令の整理 第三次トップランナー基準とは 「トップランナー制度」は、家電や機器などの省エネ化を促進する仕組みで、省エネ法(エネルギーの使用の合理化等に関する法律)に基づきます。機器のうち省エネ効果が大きいものを「特定機器」と指定し、その中で最もエネルギー効率が高い「トップランナー」を基準値とし、メーカー全体の平均がその基準を上回らないよう義務付けるものです。 変圧器(トランス)は、この特定機器のひとつです。これまでは「トップランナー変圧器 2014」という第二次基準が適用されてきましたが、2023年10月27日に「第三次判断基準」が公示され、2026年度(令和8年度)から適用されることとなりました。 新基準の主なポイントは以下の通りです: エネルギー消費効率の目標値を「区分ごとの加重平均」で義務化。 標準仕様の油入変圧器、モールド変圧器ともに対象(従来と変わらず) 新基準では、平均で 約 14.2% のエネルギー効率改善が求められる。 これに伴い、変圧器メーカーは 2026年4月以降、現行品(トップランナー2014)を出荷できなくなり、すべて新基準品 (“2026トップランナー変圧器”) に切り替える必要があります。 JEMA 一般社団法人 日本電機工業会+1 多くのメーカーがすでに新基準対応品を発表しており、たとえば富士電機や日立産機システム、東芝などが 2025年夏から順次販売を始めています。 PCB特別措置法と低濃度PCBの処分期限 一方、もうひとつの大きな制度的課題が PCB(ポリ塩化ビフェニル) です。かつて変圧器やコンデンサの絶縁油として広く使われた PCB は、環境や健康への影響が問題となり、1974年までに製造・使用が原則禁止されました。 経済産業省+1 その後、2001年に制定された「PCB特別措置法」によって、既存の PCB 含有機器については廃棄・無害化処理が義務付けられました。低濃度(絶縁油中PCB 0.5mg/kg を超えるもの)は、令和9年(2027年)3月31日 を処分期限とする制限があります。 環境省ポリシー+2環境省ポリシー+2 したがって、古いキュービクル(とくに1990年代以前に製造されたもの)が低濃度PCBを含んでいた場合、2027年3月末までの処分または処分委託契約の締結が必要です。これを怠ると、法律違反となるリスクがあります。 現状(2025年末時点)のキュービクル納期と供給状況 受注・出荷停止のタイミング 多くの変圧器/キュービクルメーカーは、新基準への移行に向けて準備を進めており、次のようなスケジュール感で動いています。 受注停止:多くのメーカーが 2025年7月末ごろ をもって、従来品(トップランナー 2014)の受注を終了。 出荷終了:従来品を搭載したキュービクルは 2026年3月31日 までの納品が最終とされる。 つまり、2026年4月以降に新たにキュービクルを導入・設置する場合は、原則として新基準対応の「2026 トップランナー対応キュービクル」を使うことになります。 このスケジュールのため、現在(2025年末)の時点から逆算して発注しないと、2026年以降は納期が大幅に遅れる、あるいは価格高騰や設置スペースの再検討が必要になる可能性があります。 なぜ「今、発注」が多いのか 現在、多くの現場で「駆け込み発注」が起きています。その背景には主に以下の理由があります。 新基準対応品のサイズ・重量増、筐体の変更  新しい「2026 トップランナー変圧器」は、従来品よりも本体の寸法や重量が増加する傾向にあります。これにより、キュービクル本体の箱型筐体の設計が変わり、盤面数(箱の数)が増える、あるいは基礎の延長や補強が必要になるケースが多いようです。 設置スペースの確保や既設構造との整合性の問題  特に屋内キュービクルや屋上設置型では、既設の設備スペースや屋上の重量制限、基礎構造などの制約があり、新型の筐体が収まらない可能性があります。これは設置計画を根底から見直す必要性を生じ、建物の躯体からの設計が必要となります。 受注停止・生産キャパシティの問題  今では100%の会社で受注が締め切られており、新基準対応品への切替えと同時に供給量のひっ迫が起きています。これにより、納期が見えにくくなっています。特に、変圧器を含む大型設備は納期が後ろ倒しになる懸念が報告されています。 2025年11月現在では小・中型キュービクルの納期は7か月~12か月とされています。 低濃度PCB対応の駆け込み  さらに、PCB問題を抱えるキュービクルでは、2027年3月末の処分期限が迫っており、低濃度PCB含有の可能性がある古いキュービクルの更新・置き換えをいまのうちに済ませようという動きがあります。これも発注が集中する一因です。 その結果、2025年–2026年にかけて、キュービクルの受注および出荷が混雑し、納期が長期化する状況が各所で顕著化しています。 2026年4月以降の展望:何が起こるか では、2026年4月以降、状況はどうなりそうでしょうか。 新規のキュービクル設置は「新基準+混雑」へ 2026年4月以降、トップランナー第三次基準への完全移行。メーカーは現行品の出荷ができないため、新たにキュービクルを導入するユーザーはすべて新基準対応のキュービクルを選ぶことになります。 しかし、変圧器の設計・製造・試験能力には限界があり、多くのメーカーで製造枠がひっ迫する可能性があります。実際、業界団体の検討会でも、「 2026〜2028年に納期が逼迫し、一部の需要に対応できない可能性がある」 との懸念が出されています。 経済産業省+1 特に、カスタム仕様、大容量、騒音対策や地震対策、耐塩害仕様など、標準仕様から逸脱した特注タイプでは、納期がさらに先送りされる可能性が高いと見られます。 つまり、2026年4月以降は「新基準対応キュービクルしか選べないが、納期は長め。発注は早めに」が基本となるでしょう。 PCB 期限切れへの対応と置き換え需要のピーク 2027年3月末の 低濃度PCB処分期限が差し迫る中、古いキュービクルを使っているビルや工場では、更新・置き換えの必要性が強まります。 この更新需要と、トップランナー新基準への切り替えによる供給混雑が重なれば、2026〜2027年にかけてキュービクル交換のピークが訪れる可能性があります。事実、経産省の検討会でも「このピーク期に対応できない製造キャパでは不足が起きる」「納期遅延で電力供給が止まるリスク」について言及があります。 経済産業省 また、設置場所や既存インフラの制約から、新品キュービクルが収まらない、搬入できないといったトラブルの可能性も無視できません。 現在管理して頂いている主任技術者様が既設キュービクルの更新をされない場合は管理業務を辞退すると言われているケースもあり、オーナーとしてはキュービクルの更新を急がれている事も要因です。 結果として、2027年3月を期限とするPCB問題の「駆け込み更新」と、第三次トップランナー切替に伴う「供給ひっ迫」が同時進行するわけで、まさに “キュービクルの納期が最もタイトになる期間” と言えるでしょう。 事業者(ビルオーナー、工場、施設管理者)が取るべき対応 このような状況に直面している事業者(ビルオーナー、工場管理者、電気設備管理者など)は、今のうちから緊急かつ戦略的に以下のような対応を検討すべきです: 早めの設備調査・PCB分析 古いキュービクルを使っている場合、まずは絶縁油の採油・PCB分析を早急に実施。低濃度PCBの有無を確認し、処分が必要かどうかを判断する。万が一残っていた場合でも、2027年3月末までには処分委託契約を締結。 環境省ポリシー+1 発注/更新計画の前倒し 新設あるいは更新の予定がある場合は、少なくとも 2025年中(できれば年内)に見積もりと仕様確定を済ませ、受注停止に巻き込まれないよう発注を前倒し。特にカスタム仕様が必要な場合は早めに動くこと。 設置スペースの確認と設計見直し 新基準の変圧器はサイズ・重量が増すため、既存のキュービクル場所への収まりや搬入経路、基礎の強度などを今一度チェック。場合によっては、電気室の増設、屋上改修、基礎補強など大がかりな施工が必要になる可能性がある。 複数メーカー・業者との早期連携 変圧器メーカー、キュービクル販売元、施工会社、電気保安協会など複数の関係者との連携が不可欠。早めにスケジュール調整を行い、納期・設置日の確定を抑える。 まとめ:なぜ「今こそ動かなければならない」のか 制度の切り替え(第三次トップランナー基準)は避けられず、2026年4月以降はすべて新基準対応キュービクルしか選べない。 PCBの最終処分期限(2027年3月末)は法的な義務。期限を過ぎれば違法保管となる。 これらが重なることで、2026〜2027年はキュービクルの更新・設置需要の最も大きなピークになる可能性。しかも、製造キャパも限られるため、 納期遅延、価格高騰、設置トラブル といったリスクが高まる。 したがって、現時点から 調査 → 設計 → 発注 → 更新 の流れを前倒しで進めることが、むしろ安全でありコストリスクも抑える最善策なのです。 これからキュービクルを導入したり更新を計画している事業者にとって、「ゆっくり考えてから注文すればいいや」というアプローチは、むしろ 最も危険 であると言えます。今のうちに行動を起こすことが、トラブルを避け、かつコストや安全性を確保するための鍵です。

キュービクルの離隔距離ってなに?-photo0
2025年11月21日 15:39
小川電機

キュービクルの離隔距離は「原則3m」ですが、消防署の構造確認や認定品の使用、隣接建物の構造などの条件が整えば「1m」まで縮められる場合があります。特に耐火建築物が近い場合や、扉・換気口の向きを変える、遮蔽板を付けるなどの措置で安全性が確保できれば縮小が認められやすくなります。離隔距離は一律ではなく、現場状況と消防署の判断によって大きく変わるため、早期の協議と技術資料の準備が鍵となります。

キュービクルの離隔距離ってなに?──基本は3m、でも条件次第で変わる複雑なルールを解説 工場やビル、商業施設の敷地内でよく見かける金属製の箱──これが高圧受電設備「キュービクル」です。高圧の電気を受電し、安全に低圧へ変換する重要な設備ですが、設置する際には必ず「離隔距離(安全距離)」が求められます。 「キュービクルのそばに建物を建ててはいけない」「基本3mは離さないといけない」といった話を耳にしたことがあるかもしれません。しかし実際には、この離隔距離は状況次第で1mに縮めることも可能であり、隣接建物の構造やキュービクル自体の仕様・認定の有無によって大きく変動します。 今回は、専門家に相談する前にぜひ知っておきたい「離隔距離の考え方」をわかりやすく整理し、キュービクル計画の実務的なポイントを解説します。 ◆ 離隔距離とは?なぜ必要なのか 離隔距離とは、キュービクルと周囲の建築物・構造物・敷地境界などとの間に必要とされる安全のためのスペースです。目的は主に以下の3つです。 火災延焼の防止 キュービクルから延焼、または周囲からキュービクルへの延焼を防ぐ。 保守作業の安全確保 扉を開けて点検するための作業スペースを確保する。 高圧設備としての法的安全基準遵守 電気設備技術基準に適合するための要求。 これらを満たすために、原則として3mの離隔が必要とされるのが一般的な考え方です。 しかし、ここからが重要です。 ◆ 原則3mは「絶対」ではない──1mでOKになるケースがある理由 多くの現場で 「敷地が狭いから3mも離せない…」 「消防が1mで良いと言っているところもあると聞いた」 といった相談が上がります。 これは実際に正しい情報で、以下の条件を満たすことで1m程度に縮めることが可能になります。 ① 所管の消防署による個別判断(構造確認) 消防署は、配置図・立面図・仕様書などの資料提出を受け、 延焼の可能性が低いと判断すれば、3m → 1m に縮小を認めることがあります。 よくある判断基準は以下です。 キュービクルが耐熱性の高い鋼板・不燃材で構成されている 放熱部が隣接建物に向いていない 扉や点検口が安全側に向けられている 遮蔽板や防火区画による保護がある 要は「火災リスクが低く、安全性が確保されている」と判断されればよいのです。 ② 認定品・推奨品を使用する場合 メーカーが取得している以下のような認証や試験成績も有効な根拠となります。 日本消防検定協会の認定 鋼板厚や耐火性に関する性能試験の成績書 延焼防止措置に関する各種資料 JEM・JIS等の規格適合証明 消防署は客観的に安全性が証明されているかを重視します。 そのため、認定品や推奨品を使用していると「1m設置」が認められやすくなります。 ◆ 隣接する建物の構造によって離隔距離は大きく変わる 離隔距離の判断で非常に大きいのが、近くにある建物の構造区分です。 ● 隣接建物が「耐火建築物」の場合 鉄筋コンクリート造・鉄骨耐火造など → 延焼リスクが低いため、1mでOKになることが多い。 ●「準耐火建築物」「木造」の場合 → 可燃性が高いため、3mが原則。 ただし、キュービクル側で措置(遮熱板・扉向き変更など)を行うことで縮小できるケースもある。 ● 隣接地が空地の場合 → 1mにしても問題ないと判断されるケースが多い。 つまり、「何m離せばいいか」はキュービクル単体では決まりません。 周囲環境も含めた全体計画の中で決まるということです。 ◆ 扉位置や換気口の向き変更で条件を満たすことも多い 消防署が最も気にするのは、 熱や火花が延焼要因となる方向に向いていないか という点です。 そのため、次のような小さな設計変更が大きな効果を持ちます。 扉の向き→隣地側ではなく敷地内部へ向ける 換気口の向き→建物の壁面から逆方向に向ける 放熱部を背面に逃がす 点検スペースを道路側に確保する 現場では、 「扉の向きを90度変えたら1m配置が認められた」 「隣地側に遮蔽板を1枚付けただけでOKになった」 というケースも珍しくありません。 ◆ 実務的には“消防署協議”が最重要 離隔距離は法令に明確な数字が書かれている分野ではなく、 “消防署ごとの判断”が大きく影響する分野です。 よって、現実的に最も大切なのは以下のプロセスです。 設置予定位置の図面を用意する キュービクルの仕様書・認定証明を準備する 早い段階で所管消防署と相談する 必要に応じてメーカーや電気工事会社が技術資料を追加提出する 消防署の指導内容を踏まえて配置計画を微調整 この流れを踏めば、 「本当は1mで行けるはずなのに3m必要だと言われてしまった」 というトラブルを防ぐことができます。 ◆ まとめ:離隔距離は“3mが基本”だが“1mで十分な場合も多い” キュービクルの離隔距離は一律ではなく、多くの要因が絡みます。 原則は3m ただし 消防署の構造確認で安全性が示せれば1mに縮小可能 認定品・推奨品の使用は大きなプラス要素 隣接建物の構造(耐火か木造か)で大きく変動 扉向きや換気口の方向の変更で対応できることも多い 敷地条件が厳しい場合でも、諦める必要はありません。 重要なのは、早い段階での消防署協議と、技術資料に基づく安全性の説明です。 キュービクル設置は専門性の高い分野ですが、ポイントを押さえればスムーズに進めることができます。 計画段階で悩んだ際は、電気工事業者や設備メーカーとも相談しながら、最適な設置方法を検討していくとよいでしょう。

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