
電気工事士と電気施工管理技士の真実
電気工事士と電気工事施工管理技士は、どちらも国家資格ですが役割は大きく異なります。電気工事士は経済産業省所管の資格で、配線や設備取付など実際に手を動かす「現場の技術者」です。一方、国土交通省所管の電気工事施工管理技士は、工程・品質・安全・原価を管理し現場全体を統括する「司令塔」の存在です。両者は上下関係ではなく、互いを補完するパートナー。職人として技術を極めたい人は電気工事士、管理者として現場を導きたい人は施工管理技士が向いており、両資格を併せ持つことでキャリアの幅はさらに広がります。
「現場のヒーローから司令塔へ──電気工事士と電気施工管理技士の真実」
■ はじめに:二つの国家資格、その違いをまず理解する
日本の電気業界において、**「電気工事士」と「電気工事施工管理技士」**はどちらも国家資格です。しかし、それぞれの立場・役割・所管官庁は明確に異なっています。
まず基本を整理すると:
電気工事士
・電気工事法に基づく国家資格
・実際に電気工作物の工事を行う技術者として定められている資格
・作業者として“手を動かす”役割が中心
・経済産業省の所管資格です電気工事施工管理技士
・建設業法に基づく国家資格(施工管理技術検定)
・電気工事の現場を統括し、安全・品質・成本・工程を管理する専門職
・“現場全体をまとめる司令塔”的立場
・国土交通省の所管資格です
このように、作業者としての専門技術者と、現場監督・管理者という異なる役割を担う、別カテゴリの国家資格である点が最大の特徴です。
■ 資格の基礎:電気工事士とは?
◆ 電気工事士の概要
電気工事士は電気工事の現場で実際に電線を配線したり、設備を取り付けたりする技術者として必要な資格です。電気工事法によって、一定規模の電気工事については資格保有者以外が従事することができないよう法令で定められています。
◆ 取得できる資格区分
電気工事士には主に以下の2種類があります:
資格 | 主な対象工事 |
第一種電気工事士 | 住宅・商業施設・小規模工場など、広範囲の工事が可能 |
第二種電気工事士 | 主に一般住宅や小規模店舗などの工事が可能 |
■ 資格の基礎:電気工事施工管理技士とは?
◆ 電気工事施工管理技士の概要
電気工事施工管理技士とは、建設業法に基づく施工管理技術検定に合格し、電気工事の施工現場における管理・監督業務を行う国家資格です。建設工事現場を安全・品質・原価・工程の4要素で統括し、計画通りに工事が進むよう指揮・調整する役割を担います。
この資格は1級と2級があり、取得後は監理技術者や主任技術者として大規模現場・公共工事など多様な現場でリーダーとして活躍できます。
■ 2026年度の試験日程(国家試験)
以下は、2026年(令和8年度)における両資格の主な試験日程です。
◆ 電気工事士(2026年度)
電気工事士試験は学科(CBT方式/筆記)と技能試験から構成されています。2026年度の予定は次の通りです:
🧰 第二種電気工事士
上期学科(CBT):2026年4月23日~6月7日
上期学科(筆記):2026年5月24日
上期技能試験:2026年7月18日~7月19日
下期学科(CBT):2026年9月24日~11月8日
下期学科(筆記):2026年10月25日
下期技能試験:2026年12月12日~12月13日
🧰 第一種電気工事士
上期学科:2026年4月1日~5月8日
上期技能試験:2026年7月4日
下期学科:2026年9月1日~9月18日(CBT)、10月4日(日)(筆記)
下期技能試験:2026年11月21日
※いずれも申込期間は公式発表を確認してください。
◆ 電気工事施工管理技士(2026年度)
電気工事施工管理技士では、「1級」「2級(前期・後期)」それぞれ試験が実施されます。代表的な日程は次の通りです:
🧠 1級電気工事施工管理技士
受検願書販売:2026年1月30日~
受検申込:2026年2月13日~2月27日(一次のみ申込は4月6日まで可能)
第一次検定(学科):2026年7月12日(日)
合格発表(第一次):2026年8月21日(金)
第二次検定(実地):2026年10月18日(日)
合格発表(第二次):2027年1月8日(金)
🧠 2級電気工事施工管理技士
前期第一次検定:2026年6月14日(日)
前期合格発表:2026年7月15日
後期:2026年11月8日(日)(第一次)
後期合格発表:2026年12月21日(月)
※受験資格等の細かい条件は公式サイトのガイドラインを参照してください。
■ 資格申込時に必要な書類・手続き
電気工事士の受験申込書類
一般的には次のような書類・手続きが必要になります(詳細は毎年更新されますので公式ページ確認が必須です):
試験申込書(オンライン申込または書面申込)
受験料の支払証明
身分証明書コピー
写真(規格に合わせた証明写真)
その他指定の添付書類(学校卒業証明等、該当者のみ)
合格後には免状交付申請が必要です。この際には住民票や実務経験証明など追加書類が要求される場合があります。
電気工事施工管理技士の受験申込書類
施工管理技術検定の場合、以下が基本的な申請資料です:
願書(指定様式)
実務経験証明書(特に1級)
学歴・資格証明(所定欄に記載)
写真
受検料支払証明
その他指定の添付(受験資格に応じて変動)
※1級は実務経験年数が条件となるため、会社や現場からの経験証明が重要です。
■ 電気工事士 vs 電気工事施工管理技士:具体的な違い
ここでは、両資格の役割・現場での立場を詳しく比較します。
🔧 ① 主な立場・業務
電気工事士(職人・技術者)
配線・器具・設備の取り付け
電力供給設備の工事
技術的な作業・施工
直接“手を動かし”工事を進める
=> 「現場のプレイヤー」
電気工事施工管理技士(管理者・監督)
現場全体の安全管理
工程・品質・予算管理
作業チームの統括・計画立案
施工計画書作成・報告書作成
=> 「現場の司令塔」
📊 ② 求められるスキル・視点
観点 | 電気工事士 | 電気工事施工管理技士 |
技術スキル | 物理的な施工・工具操作 | 現場全体の工程管理、法規理解 |
安全管理 | 自身の作業安全 | 現場全体の安全管理責任 |
人間関係 | チーム内作業調整 | 多部署・下請けとの調整 |
法令適用 | 電気工事法 | 建設業法・施工基準法令 |
視点 | 技術的視点 | 管理・マネジメント視点 |
どちらの資格も専門性が高く現場に不可欠ですが、**「目線が変わる」**という点で大きな差があります。技術者は具体的な作業にフォーカスしますが、管理者は多数の技術者をまとめ、現場全体を円滑に進める責務を負っています。
🤝 ③ 現場での関係性
両者は上下関係というよりは役割分担されたパートナーです:
電気工事士が作業者としての技能を提供
電気工事施工管理技士が全体を“まとめる”責任を負う
この関係は、現場という複雑な工程の中でお互いを補完し合う協働関係であり、現場を成功へ導く鍵となります。
■ まとめ(キャリアと選び方)
電気工事に関わる資格を選ぶ際、次のような視点で考えると良いでしょう:
🔹 手を動かす職人として技術の高さを身につけたい人 → 電気工事士
🔹 現場の責任者として計画・統括の能力を発揮したい人 → 電気工事施工管理技士
多くの現場では両方の資格を持つことでキャリアの幅が広がります。技術と管理の両面を兼ね備えた人材は、現場だけでなく会社全体からも高く評価されます。
資格取得は単なる肩書きではなく、その背後にある実務経験・責任・判断力の証明です。自分の目指すキャリア像に合わせて、戦略的に目標を設定することをおすすめします。

前田 恭宏
前田です
