
なぜ単位が違う? 撚り線(sq)と単線(mm)の換算と仕組みを完全解説
電線の単位違いは形状と用途の差です。「mm」は単線の直径で、硬いため壁内など固定配線に使用。「sq」は撚り線の断面積で、柔らかく家電コードなど可動部に適します。 互換性の目安は**「φ1.6mm≒2sq」「φ2.0mm≒3.5sq」**です。これを混同すると、発熱や接触不良による火災リスクが生じます。 特に壁内配線やコンセント交換は国家資格(電気工事士)が必須です。用途に合った電線選びと法令順守が、安全な電気利用の絶対条件です。
なぜ単位が違う? 撚り線(sq)と単線(mm)の換算と仕組みを完全解説
電線やケーブルを選ぶ際、パッケージや被覆に書かれた「sq」や「mm」という単位を見て、「これって何が違うの?」と戸惑ったことはありませんか?
実はこれ、電線の「形状」と「測り方」の違いを表しているのです。
今回は、電気工事のプロやDIY上級者なら常識でも、一般にはあまり知られていない**『スケア(撚り線)とミリ(単線)』の違い**について、誰が見てもわかるように徹底解説します。
1. 結論:この2つは何が違うのか?
まず最初に、もっとも重要な基本定義を押さえておきましょう。
sq(スケア/スクエア)
対象: 撚り線(よりせん)
意味: 導体の断面積(平方ミリメートル=$mm^2$)を表す。
mm(ミリ)
対象: 単線(たんせん)
意味: 導体の直径(ミリメートル)を表す。
つまり、「面積(太さの量)」で見ているのがsqで、「直径(線の幅)」で見ているのがmmなのです。
では、なぜこのように使い分ける必要があるのでしょうか?それを理解するには、「単線」と「撚り線」という電線の構造の違いを知る必要があります。
2. 硬い「単線」と、柔らかい「撚り線」
電線の中身(電気を通す銅の部分)には、大きく分けて2つのタイプがあります。
① 単線(たんせん)= 直径(mm)で呼ぶ
単線とは、その名の通り**「1本の太い銅線」**が芯に入っているタイプです。
針金のように硬く、一度曲げるとその形状を維持しようとする性質があります。
特徴: 硬い、丈夫、抵抗が少ない。
主な用途: 家の壁の中の配線、コンセントの裏側の配線など、一度設置したら動かさない場所。
単位の理由: 真円の棒状であるため、ノギスなどで**「直径」を測るのが最も簡単で確実**だからです。そのため、「1.6mm」や「2.0mm」といった直径で呼ばれます。
② 撚り線(よりせん)= 断面積(sq)で呼ぶ
撚り線とは、**「髪の毛のように細い銅線を何本も束ねてねじったもの」**です。
電気コードや延長コードなど、ふにゃふにゃと柔らかい電線はほぼこれです。
特徴: 柔らかい、曲げに強い、扱いやすい。
主な用途: 家電製品の電源コード、延長コード、工場の機械配線など、移動させたり曲げたりする場所。
単位の理由: 細い線の集合体であるため、外側から直径を測ろうとしても、線と線の間に「隙間」が空いています。また、測り方によって潰れて太さが変わってしまいます。
そのため、隙間を含んだ直径ではなく、**「電気を通す銅線部分の実質の断面積の合計」**で表すのが合理的です。これが「sq(スケア)」が使われる理由です。
豆知識:「sq」の語源
「sq」は、英語の「Square(スクエア=正方形・平方)」の頭文字です。単位記号では「$mm^2$」と書かれますが、現場では「2スケ(ニスケ)」「3.5スケ(サンゴスケ)」のように略して呼ばれることが一般的です。
3. 「mm(単線)」と「sq(撚り線)」の換算:ここだけ覚えればOK
「1.6mmの単線と、2.0sqの撚り線、どっちが太いの?」
この疑問は、**「ピザの大きさを『直径』で呼ぶか、『面積』で呼ぶか」**という違いに似ています。
単線 (mm) = 電線の**「直径(太さ)」**で表す
撚り線 (sq) = 電線の**「断面積(金属部分の広さ)」**で表す
基準が違うため、比較するには「直径(mm)」を「面積(sq)」に計算し直してあげる必要があります。
① 実は「1.6mm」と「2.0sq」はほぼ同じ
結論から言うと、一番よく使うこの2つは**兄弟のような関係(ほぼ同じ能力)**です。
数学の公式(半径 X 半径 X 3.14)を使って、直径1.6mmの面積を計算してみると……
計算のイメージ
直径 1.6mm → 半径 0.8mm
0.8 X 0.8 X 3.14 ≈ 2.0096
計算結果は約2.0になりました。
つまり、「1.6mm(単線)」は、面積に直すと「2.0sq(撚り線)」とほぼ同じなのです。
② 早見表:これさえあれば迷わない
現場やホームセンターで部材を選ぶ際は、以下の「互換性ペア」を覚えておけば大丈夫です。
単線 (mm) <small>直径で表記</small> | 面積に直すと… <small>計算値 (mm2)</small> | ≒ | 撚り線 (sq)<small>同じ能力のサイズ</small> |
φ 1.6 mm | 約 2.01 | ≈ | 2.0 sq |
φ 2.0 mm | 約 3.14 | ≈ | 3.5 sq |
φ 2.6 mm | 約 5.30 | ≈ | 5.5 sq |
ポイント
1.6mm は 2.0sq (イチロク = ニーマル)
2.0mm は 3.5sq (ニーマル = サンゴー)
実際の現場では、この2つの組み合わせが圧倒的に多く使われます。
まとめ
数字だけ見ると「1.6」と「2.0」で違うサイズに見えますが、**「測り方が違うだけで、中身(電気を通す能力)は一緒」**と覚えておいてください。
4. なぜこの違いを知っておく必要があるのか?
「へぇ、そうなんだ」で終わらせず、実生活や安全管理に活かすためのポイントが3つあります。
リスク①:許容電流(流せる電気の量)の間違い
電線には、太さに応じて**「これ以上電気を流すと発熱して燃えますよ」という限界値(許容電流)**が決まっています。
もし、単位を混同して「数字が似ているから」と適当な電線を使うと大変危険です。
例えば、「2mmの単線(許容電流 約27A)」の代わりに、「2sqの撚り線(許容電流 約17〜20A ※条件による)」を使ってしまうと、能力不足で発熱・発火する恐れがあります。
※許容電流は周囲の温度やケーブルの種類によって変動しますが、基本として「単線のほうが放熱性が良く、許容電流が高めに出やすい」傾向があります。
リスク②:接続端子の選び方
電線同士を繋いだり、コンセントに差し込んだりする場合、それぞれの形状に合った「端子」や「差し込み口」が必要です。
家の壁コンセントの裏側:多くは**「単線専用」**です。ここに撚り線を無理やり差し込もうとしても入りませんし、接触不良で火事になります。
圧着端子(丸端子など):**「sq」**表記が基本です。「単線用」と書かれていない限り、断面積で選ぶ必要があります。
リスク③:DIYでの延長コード修理
「掃除機のコードが切れたから直したい」という場合、元々のコードは「撚り線」です。これをホームセンターで買ってきた「単線(VVFケーブルなど)」で繋いでしまうとどうなるでしょう?
単線は硬いため、掃除機のように動かすものに使うと、使い勝手が悪いだけでなく、繰り返しの曲げ伸ばしですぐに金属疲労を起こして折れてしまいます(断線)。
動く場所 = sq(撚り線)
固定する場所 = mm(単線)
この原則を守ることが、安全なDIYの第一歩です。
5. まとめ
今回は、電線の単位「sq」と「mm」の謎について解説しました。
sq(スケア)は「撚り線」の「断面積」。柔らかく、動かす場所に使われる。
mm(ミリ)は「単線」の「直径」。硬く、壁の中などの固定配線に使われる。
1.6mm(単線)≒ 2.0sq(撚り線)という換算関係がある。
用途(動くか固定か)に合わせて正しい線を選ばないと、断線や火災の原因になる。
普段何気なく見ている電線ですが、その単位一つにも「安全に電気を届けるための工夫」が詰まっています。次にホームセンターの電材売り場に行った際は、ぜひ電線のパッケージを見て、「これはsqかな?mmかな?」と確認してみてください。それだけで、電気に対する解像度がグッと上がるはずです。
最後に:安全に関する重要なお願い
壁の中の配線や、コンセントの交換など、建物に固定される電気工事を行うには「電気工事士」の国家資格が必要です。DIYで無資格工事を行うことは法律で禁止されており、火災保険が下りないなどの重大なリスクがあります。
無資格でできるのは「電球の交換」や「延長コードなどの軽微な機器の自作・修理(※条件あり)」に限られます。不安な場合は、必ずお近くの電気工事店やプロに相談するようにしましょう。

前田 恭宏
前田です
