
サイバー攻撃から自社を守ろう 製造業がサイバー攻撃の標的にされる理由
―狙われる理由と対策をわかりやすく解説― 近年、製造業を狙ったサイバー攻撃が急増しています。DX(デジタルトランスフォーメーション)の進展により、工場や生産設備がネットワークに接続される一方、十分なセキュリティ対策が追いついていない企業も少なくありません。 適切な対策を怠ると、機密情報の流出や生産ライン停止、取引先への影響といった深刻な被害につながる恐れがあります。 本記事では、なぜ製造業がサイバー攻撃の標的になるのか、実際の被害事例、そして今すぐ押さえるべきセキュリティ対策について詳しく解説します。
1. 設計情報・技術ノウハウという「高い価値」
製造業は、図面データ、制御プログラム、製造条件など、競争力の源泉となる情報を多く保有しています。
これらは闇市場で高値で取引されることもあり、サイバー犯罪者にとって非常に魅力的なターゲットです。
2. 工場ネットワーク(OT)のセキュリティが脆弱
生産設備や制御システム(OT:Operational Technology)は、
「止められない」「古いOSを使い続けている」といった事情から、セキュリティ対策が後回しになりがちです。
ITとOTが接続されたことで、一度侵入されると工場全体に被害が広がるリスクが高まっています。
3. サプライチェーン攻撃の踏み台になりやすい
製造業は多くの取引先とデータ連携を行っています。
セキュリティ対策が比較的弱い中小製造業が侵入経路となり、大手企業へ攻撃が拡大するケースも増えています。
製造業におけるサイバー攻撃の主な被害事例
● ランサムウェアによる工場停止
システムが暗号化され、生産管理や設備制御ができなくなり、
数日〜数週間にわたって操業停止に追い込まれた事例があります。
● 設計データ・顧客情報の流出
製品設計図や顧客情報が外部に漏えいし、
取引停止・損害賠償・ブランド価値低下といった経営リスクに発展するケースも少なくありません。
● 生産設備の誤作動・品質トラブル
制御システムが改ざんされ、製品品質に影響が出たり、
最悪の場合は安全事故につながる可能性もあります。
製造業が押さえておくべきサイバーセキュリティ対策
1. ITとOTを分離・可視化する
工場ネットワークと社内ITネットワークを適切に分離し、
どの設備・端末がネットワークにつながっているかを可視化することが重要です。
2. ランサムウェア対策とバックアップの徹底
・ウイルス対策ソフトの導入
・不審メールのフィルタリング
・定期的なオフラインバックアップ
これらは、被害を最小限に抑えるための基本対策です。
3. ID・パスワード管理とアクセス制御
共通IDの使い回しや初期パスワードの放置は非常に危険です。
**多要素認証(MFA)**や権限管理を導入し、不正アクセスを防ぎましょう。
4. 従業員へのセキュリティ教育
サイバー攻撃の多くは、メールの添付ファイルやURLクリックから始まります。
現場担当者を含めた定期的なセキュリティ教育が不可欠です。
5. インシデント対応体制の整備
万が一に備え、
「誰が」「何を」「どこへ連絡するか」を明確にした対応フローを事前に整備しておくことが重要です。
まとめ|製造業のサイバー対策は「経営課題」
製造業におけるサイバーセキュリティは、もはやIT部門だけの問題ではありません。
操業継続・取引先との信頼・企業価値を守るための経営課題といえます。
DXを推進する今こそ、自社のセキュリティ対策を見直し、
「攻撃される前提」で備えることが、これからの製造業には求められています。

小原 一馬
経営企画室
