
行って良かった!大分県・長湯温泉「ラムネ温泉館」
大分県竹田市・長湯温泉の「ラムネ温泉館」は、世界的建築家・藤森照信氏のユニークな建物と、日本屈指の高濃度炭酸泉が魅力の温泉施設。32〜34℃のぬる湯に浸かると細かな気泡が体にまとわりつき、芯から温まる独特の心地よさが味わえる。内湯のあつ湯との交互浴で血行が促進され、湯上がりは全身が軽く感じられるほど。周囲には素朴な温泉街や自然が広がり、ゆったりとした時間を楽しめる。派手さはないが、「また来たい」と思わせる唯一無二の温泉だ。
行って良かった!大分県・長湯温泉「ラムネ温泉館」
――“日本一の炭酸泉”がくれた、特別な休日
大分県竹田市・長湯温泉。大分といえば別府や湯布院が思い浮かぶ人が多いが、温泉好きの間で密かに“聖地”と呼ばれているのがここ長湯温泉だ。その象徴ともいえるのが、今回ご紹介する 「ラムネ温泉館」。
私は以前から炭酸泉が好きで、各地の高濃度炭酸湯を巡っていたが、ここラムネ温泉館は「行ってよかった」の一言で、すべてが印象に残る特別な場所だった。
本コラムでは、実際に訪れた際の体験をもとに、ラムネ温泉館の魅力、楽しみ方、周辺の過ごし方までたっぷりご紹介したい。
■ 1. 長湯温泉という“地味だけどすごい場所”
大分空港からは車で約2時間。阿蘇山の外輪山に近い自然豊かな土地に、長湯温泉はひっそりと佇んでいる。派手な観光地ではなく、川沿いに温泉旅館がゆったり並び、どこか昭和の空気が残る落ち着いたエリアだ。
長湯温泉が“日本一の炭酸泉”と呼ばれる理由は、その濃度と湯量にある。日本では炭酸泉は希少で、入浴剤などで疑似体験することが多い。しかし長湯温泉では源泉そのものが高濃度炭酸泉。自然界の力だけで湯にここまで炭酸が溶け込む地域は、日本広しと言えどほとんどない。
湯に入ると体に細かい泡がまとわりつく。本当にラムネに浸かっているようで、「これは温泉の中でも唯一無二だ」と実感できるのだ。
■ 2. まるでアート作品。ラムネ温泉館の建築美
ラムネ温泉館を訪れると、まず誰もが驚くのがその外観だ。
白い壁に赤い屋根、煙突のように伸びた塔。まるで海外の子供向け絵本に出てきそうな、どこか可愛らしくファンタジックな建物である。
これは、世界的な建築家 藤森照信氏 が手がけたもの。自然素材を生かしながらユニークな形状の建物を作ることで知られる彼らしく、ラムネ温泉館も周囲の山々や川の自然と不思議なほど調和している。
建物を眺めているだけでワクワクし、温泉に入る前から旅の浮き立つ気分が高まる。
「アートとして美しい温泉」というのは、日本でもなかなかお目にかかれない。
■ 3. いざ入浴!外湯に広がる“極上の炭酸世界”
● ぬる湯なのに、体が芯から温まる不思議
ラムネ温泉館の名物といえば、高濃度炭酸泉の外湯(露天)。
湯温は32〜34℃ほどと、通常の温泉と比べればかなりぬるい。しかしこの“ぬる湯”こそが長湯の魔法である。
いざ浸かると、数十秒ほどで肌の上にシュワシュワと気泡がびっしり付き始める。
これが本当にラムネのようで、見ていて楽しいし、肌触りも心地よい。しばらくすると驚くほど体が温まり、ぬる湯なのにポカポカしてくるのだ。
炭酸泉は血行促進効果が高く、長く浸かるほど身体の芯から温まると言われている。冬場でも寒くないので、ゆったりと“長湯”を楽しめる。
● 湯面から見る空と緑
露天風呂からは、阿蘇の山並みにつながる豊かな自然が広がる。風が通り、鳥の声が聞こえ、水面に映る空が揺れる。
温泉とは思えないほど静かで、まるで大自然の中の湯船に身を委ねているような感覚が味わえる。
あまりに気持ちよく、私は気がつくと40分ほど浸かっていた。出ると体の表面がぽかぽかどころか、じんわり汗ばむほど。ぬる湯でここまで温まるとは、正直驚いた。
■ 4. 内湯の“あつ湯”と交互浴が最高
ラムネ温泉館には内湯もあり、こちらは一般的な温度の“あつ湯”。
露天のぬる湯に長く浸かった後にこのあつ湯に入ると、血行がさらに良くなるのか、体の隅々に温泉が行き渡るのを感じる。
この 「ぬる湯 → あつ湯 → ぬる湯」 の交互浴がたまらない。
炭酸泉の効果と相まって、入浴後は全身が軽くなり、肌もしっとり。特に冷え性の人はその違いを強く感じるはずだ。
また、内湯のデザインはシンプルながら、自然光が美しく差し込み、静かに湯に向き合える落ち着いた空間となっている。
■ 5. 休憩スペースで感じる“地元時間”
湯上がりには休憩所へ。畳敷きの広間で、地元の人たちが思い思いにくつろぐ風景が心地よい。
観光地にありがちな喧騒はなく、「温泉が生活に根付いている場所」だと実感できる。
売店には地元産の野菜や名産品、ラムネ温泉館オリジナルのグッズなどが揃う。私は炭酸泉で作った石けんをお土産にしたのだが、これが想像以上に良く、肌がすべすべになった。訪れた際はぜひチェックしてほしい。
■ 6. 周辺の魅力:散策も楽しい長湯温泉街
ラムネ温泉館のある長湯温泉街は、温泉好きにとって魅力が詰まった小さな街だ。
川沿いを歩けば、湧き出る温泉の香り、歴史ある共同浴場、素朴な食堂が並び、どこか懐かしさを覚える。
特におすすめなのが以下のスポット:
● ガニ湯
川の真ん中にある野趣あふれる露天温泉。開放感ありすぎで勇気はいるが、長湯温泉の象徴的存在。
● 長湯ダム周辺
ドライブにも散策にも程よいエリア。季節の風景が美しい。
● 地元食堂の“薬膳料理”
炭酸泉を活かした地元料理は身体に優しく、湯治文化が息づいていることを感じる。
温泉を中心にゆったり時間が流れるので、日帰りよりも1泊するのがおすすめだ。
■ 7. 旅の最後に思うこと
――ここは「また来たい」と思わせる温泉
ラムネ温泉館は、派手な施設でも豪華なサービスがある場所でもない。
しかし、ここにしかない泉質、美しい建築、そして静かな自然が、唯一無二の体験を作り出している。
私は旅先で多くの温泉に入ってきたが、この場所ほど「心がほどける感覚」を味わえた場所は少ない。
炭酸泉の心地よさ、自然の静けさ、地元の雰囲気。どれも過剰ではなく、絶妙なバランスで旅人を迎えてくれる。
「また行きたい」
そう強く思える温泉に出会えたことが、今回の旅で一番の収穫だった。
■ まとめ
ラムネ温泉館は、
高濃度炭酸泉の“本物”を楽しめる
建築としても魅力的
ぬる湯とあつ湯の交互浴が唯一無二
温泉街全体で湯治文化を感じられる
という、温泉好きにはたまらないスポットだ。
日常の疲れを癒し、心身をリセットするにはこれ以上ない場所。
次の旅行先に迷っている人は、ぜひ大分県・長湯温泉「ラムネ温泉館」を候補に入れてみてほしい。
きっとあなたも、「行って良かった」と言えるはずだ。

前田 恭宏
前田です
