
OVGR(地絡過電圧継電器)の重要性と設置義務を徹底解説
太陽光設備の守護神「OVGR」の重要性 高圧受電を伴う太陽光発電において、**OVGR(地絡過電圧継電器)**の設置は、系統連系技術指針により義務付けられた「最後の砦」です。 地絡(漏電)時に発生する零相電圧を検知し、瞬時に回路を遮断することで、自社設備の損害だけでなく、近隣を巻き込む波及事故や単独運転による感電事故を防ぎます。1級電気施工管理技士の視点からも、ZPD(検知器)との正確な連動と定期点検は、安定稼働に不可欠な経営リスク管理と言えます。
太陽光発電の「守護神」:OVGR(地絡過電圧継電器)の重要性と設置義務を徹底解説
はじめに
脱炭素社会の実現に向け、企業や公共施設での太陽光発電システムの導入はもはや「当たり前」の選択となりました。しかし、発電した電力を安全に系統(電力会社の電線)へ繋ぐためには、目に見えない電気のトラブルを防ぐ高度な保護装置が不可欠です。
その中でも、高圧受電設備を持つ太陽光発電において、いわば「最後の砦」として機能するのが**OVGR(地絡過電圧継電器)**です。本コラムでは、OVGRがなぜ必要なのか、どのような仕組みで動いているのか、そしてなぜ法令で義務付けられているのかを詳しく紐解いていきます。
1. OVGR(地絡過電圧継電器)とは何か?
定義と基本的な役割
OVGRは「Over Voltage Ground Relay」の略称で、日本語では地絡過電圧継電器と呼ばれます。 簡単に言えば、「地絡(漏電)」が発生した際に生じる「零相電圧(異常な電圧の偏り)」を検知し、遮断器に指令を送って回路を切り離す装置のことです。
太陽光発電における特殊な役割
通常の受電設備(電気をもらう側)では、地絡を検知するために「GR(地絡継電器)」や「DGR(地絡方向継電器)」が使われます。しかし、太陽光発電のような「逆潮流(電気を送る側)」がある設備では、それらだけでは不十分なケースがあります。
特に、電力会社側の系統で地絡事故が発生した際、太陽光設備が発電を続けてしまうと、事故点に電流を流し続けたり、復旧作業中の作業員に危険を及ぼしたりする可能性があります。これらを防ぐために、電圧の異常を敏感に察知するOVGRが必要となるのです。
2. なぜOVGRの設置は「義務」なのか
結論から申し上げますと、高圧以上の系統連系を行う太陽光発電設備において、OVGRの設置は**「電力品質確保に係る系統連系技術指針」**および各電力会社の受電規定によって厳格に定められています。
① 法的・指針としての根拠
経済産業省が定める指針に基づき、電力系統の安全を守るために「保護装置の設置」が義務化されています。具体的には、以下のリスクを回避するためです。
単独運転の防止: 電力会社側が停電しているにもかかわらず、太陽光設備が発電を継続してしまう状態(単独運転)を防ぐ。
波及事故の防止: 自社の設備内で起きた地絡トラブルが、近隣の工場や住宅に停電を引き起こす(波及事故)のを防ぐ。
② 非接地系統での必要性
日本の高圧配電線(6,600V)の多くは「非接地方式」を採用しています。この方式では、地絡(漏電)が起きても大きな電流が流れません。その代わり、**「零相電圧」**という電圧の変化が顕著に現れます。この変化を捉えることができるのはOVGRだけであるため、高圧連系においては必須の設備とされているのです。
3. OVGRの仕組みと「ZPD」の関係
OVGR単体では地絡を検知することはできません。必ずセットで使用されるのが**ZPD(零相電位検出器)**です。
ZPD(Zero-phase Potential Device)
ZPDは高圧回路の電圧バランスを常に監視しています。通常、三相交流の電圧は釣り合っていますが、どこかで地絡が起きるとそのバランスが崩れ、零相電圧が発生します。
地絡発生: 電線が地面に触れる、あるいは絶縁が破壊される。
零相電圧の発生: ZPDが電圧の不均衡をキャッチ。
OVGRの動作: ZPDからの信号を受けたOVGRが「異常あり」と判断。
遮断: OVGRが遮断器(VCB等)にトリップ信号を送り、瞬時に回路を切り離す。
4. 設置しない場合に起こる重大なリスク
「コストを抑えたいから」といってOVGRを軽視することは、経営上の巨大なリスクを抱えることと同義です。
系統への悪影響と損害賠償
もしOVGRが正常に作動せず、電力会社の系統に停電や電圧降下を引き起こした場合、近隣企業への営業補償や、電力会社からの損害賠償請求に発展する可能性があります。
火災・感電事故
地絡を放置することは、そのまま火災の原因となります。特に太陽光パネルは直流を扱っており、一度火が出ると消火が困難なケースも多いため、OVGRによる早期遮断は人命救助の観点からも極めて重要です。
5. 保守点検と「1級電気施工管理技士」の視点
OVGRは一度設置すれば終わりではありません。精密な電子機器であるため、定期的な点検が欠かせません。
動作試験の重要性
年に一度、あるいは数年に一度の「年次点検」では、専用の試験器を用いて「実際に設定値通りの電圧で動作するか」を確認します。
整定値(セッティング)の確認: 電力会社との協議で決めた値(通常は5%〜10%程度)で正しく反応するか。
動作時間の計測: 異常を検知してからコンマ数秒で遮断できるか。
現場の管理監督者(1級電気施工管理技士など)の立場から言えば、この整定値のミスや試験漏れは、連系開始時のトラブルに直結します。信頼できる施工業者を選ぶことが、長期的な安定稼働の鍵となります。
6. 近年のトレンド:分散型パワコンとOVGR
かつては大型のパワーコンディショナ(PCS)1台に対し、高圧盤の中にOVGRを組み込むのが一般的でした。しかし最近では、小型のパワコンを多数設置する「分散型」が増えています。
この場合、各パワコンにOVGR機能が内蔵されていることもありますが、一括して系統を保護するための外付けOVGRを要求されるケースがほとんどです。設計段階で電力会社との事前協議をしっかり行わないと、後から追加工事が発生し、コストが跳ね上がる原因になります。
7. まとめ
OVGR(地絡過電圧継電器)は、太陽光発電設備を運営する上での「シートベルト」や「エアバッグ」のようなものです。普段はその存在を意識することはありませんが、万が一の際には設備と周囲の安全、そして企業の社会的信頼を守る決定的な役割を果たします。
高圧太陽光連系には必須の装置である。
電力系統の安全を守るための法的・技術的要件である。
ZPDとの組み合わせで動作し、定期的な点検が義務付けられている。
これから太陽光発電を導入される方、あるいは既存設備の更新を検討されている方は、このOVGRの重要性を再認識し、適切な設計・施工を行うようにしてください。
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前田 恭宏
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