
モーター容量からブレーカー選定の仕方|計算方法・注意点を徹底解説
モーター設備では、適切なブレーカー選定が安全性・安定稼働・法令遵守のすべてに直結します。 容量不足のブレーカーでは始動時に頻繁にトリップし、逆に過大なブレーカーでは過電流保護が効かずモーター焼損や火災リスクが高まります。 特に建設業・電気工事業・工場設備では、 • 三相誘導電動機 • ポンプ・ファン・コンプレッサー などの使用頻度が高く、モーター容量から正しくブレーカーを選ぶ知識は必須です。
モーター容量とブレーカーの基本関係
モーター容量とは
モーター容量はkW(キロワット)で表示され、軸出力を示します。一方、ブレーカー選定に必要なのは電流(A)です。そのため、まずはkWからAへの換算が重要です。
モーター電流の計算方法
三相モーターの場合(一般的)
三相誘導電動機の電流の計算式:
電流(A)= モーター容量(kW) × 1000 ÷ (√3 × 電圧 × 効率 × 力率)例: 3.7kW・200V・効率0.9・力率0.8
3.7 × 1000 ÷ (1.732 × 200 × 0.9 × 0.8) ≒ 14.8A
この定格電流を基準にブレーカーを選定します。
単相モーターの場合
電流(A)= 容量(W) ÷ (電圧 × 効率)単相モーターは始動電流が大きいので、余裕率が重要です。
始動電流を考慮したブレーカー選定
モーターは起動時、定格電流の5~7倍の始動電流が流れます。
一般配線用遮断器(MCB)、漏電遮断器(ELB)を定格ギリギリで選定すると、起動ごとにトリップする恐れがあります。
ブレーカー容量の目安
モーター定格電流 | 推奨ブレーカー |
|---|---|
15A | 20~30A |
20A | 30~40A |
30A | 40~50A |
定格電流の1.25~2倍を目安に選定します。
モーター用ブレーカーの種類と使い分け
配線用遮断器(MCCB)
短絡・過電流保護
モーター回路で最も一般的
熱動・電磁トリップ併用
モーターブレーカー(MMB)
モーター専用設計
始動電流耐性あり
過負荷・欠相保護が強力
頻繁な起動停止設備はMMB推奨

熱動継電器との役割分担
ブレーカー:短絡・幹線保護(やや大きめを選定)
熱動継電器(THR):過負荷保護(定格電流ピッタリで設定)
法令・規格上の注意点
電線の許容電流以下であること
過電流保護装置の適切設置
モーター回路の保護協調の確認
ブレーカー容量と電線サイズの整合性チェックが必須
現場でよくある失敗例
モーター容量だけ見てブレーカー選定
始動電流の考慮漏れ
電線サイズがブレーカー定格に未対応
インバータ駆動で通常ブレーカーを使用
これらはトリップ・焼損・事故の原因になります。
まとめ|モーター容量から正しいブレーカー選定の流れ
モーター容量(kW)から定格電流を算出
始動電流を考慮し余裕を持たせる
ブレーカー種別(MCCB・MMB)を用途に応じ選択
電線サイズ・法規との整合を確認
この4点を押さえることで、安全・長寿命・トラブルの少ない設備設計が可能です。
「モーター容量=ブレーカー容量」ではないことを常に意識しましょう。
小原 一馬
経営企画室
