
老舗「神保電器」が巻き起こす、壁面の静かなる革命
創業100年の老舗「神保電器」が、今、インテリア業界で熱い視線を浴びている。かつては機能重視の裏方だったが、転機は「NKシリーズ」の登場だ。究極のミニマリズムを追求したスクエアかつマットなデザインは、従来のスイッチの常識を覆し、空間に溶け込む美しさを実現した。 確かな技術力と現代的な感性の融合により、SNSを中心に「スイッチ指名買い」という現象を巻き起こしている。「神は細部に宿る」を体現し、壁面の静かなる革命を牽引する同社は、住空間の質を高める名脇役として不動の地位を築いている。
【特集】たかがスイッチ、されどスイッチ。
老舗「神保電器」が巻き起こす、壁面の静かなる革命
家づくりやリノベーションにおいて、壁紙や床材には何時間も悩むのに、「スイッチ」や「コンセント」のことは後回しにしていませんか? もしそうなら、あなたはインテリアの最も重要な「名脇役」を見逃しているかもしれません。
今、InstagramやPinterestなどのSNS、そして建築業界で、ある老舗メーカーの株が急上昇しています。その名は**「神保電器(JIMBO)」**。
かつては「質実剛健な裏方」だった同社が、なぜ今、ハイセンスな住宅に欠かせない「主役級のブランド」として熱狂的な支持を集めているのか。創業100年を超える老舗企業の、驚くべき変貌と現在の勢いに迫ります。
第一章:実直なモノづくり(THE OLD JIMBO)
100年企業が守り抜いた「当たり前の安全」
神保電器の歴史は古く、創業は1918年(大正7年)にまで遡ります。 一般の消費者にとって、かつての神保電器は「名前は知らないけれど、どこかで触れている」存在でした。
長年、大手メーカーのOEM(相手先ブランド製造)や、機能性を最優先した業務用・設備用配線器具を手掛けてきた同社。そこにあったのは、派手さや装飾ではなく、**「電気が通って当たり前、安全で当たり前」**というインフラを支える重責と、それを全うする技術力でした。
当時の商品は、いわば「ザ・スイッチ」。 丸みを帯びた形状、ツヤのあるプラスチック、押しやすい大きな突起。それは日本の高度経済成長期を支えた「機能美」ではありましたが、現代の多様化するインテリアデザインの中では、少し「野暮ったい」存在になりつつありました。
「スイッチなんてどれも同じ」。世間がそう思っていた時代、神保電器は静かに、しかし確実に、次の時代への準備を進めていたのです。
第二章:転換点となった「NK SERIE」(THE NEW JIMBO)
「引き算」の美学がもたらした衝撃
神保電器の運命を大きく変え、現在のブレイクのきっかけとなったのが、**「NK SERIE(NKシリーズ)」**の登場です。
「これが本当にスイッチなのか?」
発表当時、多くの建築家やデザイナーが息を呑みました。そこには、従来のスイッチに見られた「野暮ったさ」が一切排除されていたからです。
1. 徹底した「ノイズレス」デザイン
NKシリーズ最大の特徴は、徹底的なミニマリズムです。
完全なスクエア(四角形): 角の丸みを極限まで排除した、鋭く美しいエッジ。
マットな質感: 従来のツヤありプラスチックをやめ、壁に溶け込むマット仕上げを採用。
ロゴの排除: 表面から「JIMBO」というメーカーロゴすら消し去りました。
2. 空間に溶け込む「色彩」
色は「ピュアホワイト」「ソリッドグレー」「ソフトブラック」の3色展開。特にグレーとブラックの登場は衝撃的でした。コンクリート打ちっぱなしの壁や、ダークトーンのアクセントクロスに、白いスイッチが浮いてしまう……そんなデザイナーの長年の悩みを、NKシリーズは一瞬で解決してしまったのです。
3. 「感触」のデザイン
見た目だけではありません。スイッチを押した時の「カチッ」という硬質で小気味よいクリック感。これもまた、NKシリーズが愛される理由の一つです。毎日触れるものだからこそ、指先に伝わる上質さにこだわったのです。
このNKシリーズの登場により、神保電器は「電気設備メーカー」から**「インテリアプロダクトメーカー」**へと、そのブランドイメージを一新させました。
第三章:なぜ今、「神保」なのか?
SNS時代が後押しする「細部へのこだわり」
現在、神保電器がこれほどまでに勢いを持っている背景には、私たちの「住まい方」の変化があります。
1. リノベーションブームと「施主支給」
かつて家づくりはハウスメーカー主導でしたが、今は施主自身がInstagram等で情報を集め、「このスイッチを使いたい!」と指定する時代です(いわゆる「神保指定」)。 「#神保スイッチ」「#NKシリーズ」といったハッシュタグは、こだわり抜いたおしゃれな家の代名詞となっています。
2. 「映え」から「調和」へ
派手な家具を置くことよりも、空間全体の統一感(トーン&マナー)を重視する傾向が強まっています。壁という大きな面積の中で、ポツンと存在するスイッチは意外と目立つもの。 「空間のノイズになりたくない」という神保電器の開発思想が、現代のミニマルなインテリアトレンドと完全に合致したのです。
3. 豊富なラインナップ展開
NKシリーズの成功に続き、神保電器は手を緩めません。 例えば**「J-WIDE SLIM」**シリーズ。これはNKシリーズのデザイン性を継承しつつ、より押しやすいワイドな操作面と、コストパフォーマンスを両立させたモデルです。 「デザインは妥協したくないけれど、予算も抑えたい」という層の心を掴み、一般住宅への普及を一気に加速させました。
第四章:神保電器が教えてくれること
「神は細部に宿る」を体現する企業
今の神保電器の商品開発は、まさに**「温故知新」**を体現しています。
100年培った「絶対に壊れない、安全な電気を送る」という**老舗の技術力(土台)があるからこそ、その上に「究極のデザイン」という革新(花)**を咲かせることができたのです。ただ見た目が良いだけの製品なら、これほど長くプロに愛されることはなかったでしょう。
最近では、USBコンセントや調光スイッチなど、機能面でも現代のライフスタイルに合わせたアップデートを続けています。しかし、どんなに機能が増えても、「壁面を美しく整える」という美学は揺らぎません。
おわりに:スイッチひとつで、暮らしは変わる
もし、あなたがこれから家を建てたり、リフォームを考えているなら、ぜひ一度「神保電器」のサイトを覗いてみてください。
たかが数センチのプラスチックの部品。 しかし、その小さなスイッチひとつが「JIMBO」に変わるだけで、あなたの部屋の空気感は驚くほど洗練されたものになるはずです。
「背景でありながら、主張する。」
かつての黒衣は今、日本のインテリア界で最も熱い視線を浴びるトップランナーとして、私たちの暮らしの壁面を静かに、そして美しく彩り続けています。
【参考・出典】 神保電器株式会社 公式サイト https://www.jimbodenki.co.jp/
前田 恭宏
前田です
