
部屋の広さを表す単位――㎟・㎡・畳・坪をわかりやすく解説する
部屋の広さを示す単位には、㎡・畳・坪などがあり、それぞれ用途や由来が異なります。㎡は国際基準で不動産の公式表記に使われ、最も正確な面積単位です。畳は日本独自の単位で、部屋の広さを直感的にイメージしやすいものの、地域によって大きさが異なります。坪は主に土地や戸建てで使われ、1坪=約3.3㎡=約2畳と覚えると便利です。これらの特徴を理解すると、部屋選びの判断がしやすくなります。
㎡・畳・坪の迷宮から脱出!広さの数字が一発でわかる方法
部屋の広さを表す単位――㎟・㎡・畳・坪をわかりやすく解説する
住宅情報を見ていると、「〇〇㎡」「〇〇畳」「〇〇坪」など、部屋の広さを示すさまざまな単位が登場します。慣れた人にとっては当たり前でも、普段から意識しなければ「どれがどれくらいの広さなのか分かりづらい」と感じる方も多いでしょう。特に賃貸情報サイトや不動産広告では複数の単位が混在するため、「この部屋って広いの?狭いの?」と判断に迷うことがあります。
そこで本コラムでは、部屋の広さを示す代表的な単位――「㎟(平方ミリメートル)」「㎡(平方メートル)」「畳」「坪」について、初心者でも理解できるよう体系的にわかりやすく解説します。日常生活で目にする機会の多い単位を整理しておくことで、部屋選びやリフォーム計画の際に役立つ“広さの感覚”が身につくはずです。
1. ミリからメートルへ。面積の基本単位を整理する
まずは、国際的な単位体系であるSI単位系に基づいた「面積の基本単位」から確認していきましょう。よく目にするのは「㎡(平方メートル)」ですが、その下位単位として「㎠(平方センチメートル)」、さらに細かい単位として「㎟(平方ミリメートル)」があります。
■ ㎟(平方ミリメートル)
1㎟は「1mm×1mm」の面積。非常に小さな単位で、住宅の広さを表すときに使うことはほぼありません。工業製品の加工寸法や科学分野など、精密さを求める場面で登場します。
■ ㎠(平方センチメートル)
1㎠は「1cm×1cm」。これも室内面積の計測ではほとんど登場せず、文房具や小物のサイズ表記で見かけるレベルです。
■ ㎡(平方メートル)
実生活で「面積の基本単位」として最もよく使われます。1㎡は「1m×1m」の広さ。日本では建築確認申請、法的な面積表示、マンション登記など、公式な場では原則として面積はすべて「㎡」で管理されます。
このため不動産業界でも「専有面積〇〇㎡」「延べ床面積〇〇㎡」といった形でまず㎡が登場しますが、生活者の感覚に落とし込みやすくするために、これを「畳」や「坪」に換算して併記するケースが多いのです。
2. 日本人に馴染みのある“畳”という単位
日本で最も身近な面積単位といえば「畳」でしょう。畳は、もともと敷物としての畳(たたみ)の大きさから生まれた日本独自の広さの単位です。日本の家屋は長らく畳の敷き詰め方で部屋を区切ってきた歴史があり、現代でも「6畳の部屋」「8畳の和室」などのように畳数を基準に広さをイメージする文化が根強く残っています。
ただし注意点があります。「畳」といっても実は地域や建物によって大きさが異なるため、広さの感覚にズレが生じることがあります。
■ 畳の種類による違い
代表的な畳のサイズは以下の3種類です。
京間(きょうま)畳:1畳=約1.82㎡
西日本の一部で用いられる大きめの畳。中京間(ちゅうきょうま)畳:1畳=約1.74㎡
中部地方で見られる中間サイズ。江戸間(えどま)畳:1畳=約1.62㎡
関東地方で一般的。マンションで「1畳=1.62㎡」として換算するのはこのサイズ。
マンションやアパートの間取りで「6畳」と書かれている場合、ほとんどが江戸間換算のため、同じ6畳でも地域によって広さが違うことが生じます。
■ “帖(じょう)”と書く理由
「一畳」「二畳」でも意味は同じですが、マンション広告では「帖」という表記が好まれます。これは和室だけでなく洋室にも使える柔軟な表現であるため、「洋室6帖」「LDK15帖」といった書き方が一般化しました。
3. 坪という単位と日本の不動産文化
「坪(つぼ)」は、主に土地の広さを表す単位として使われてきた歴史ある基準です。また戸建住宅の床面積を考える際にもよく登場します。
■ 1坪の広さ
1坪=約3.31㎡
1坪=畳2枚分(約2畳)
つまり「1坪の部屋はだいたい2畳分」と覚えると感覚が掴みやすくなります。
坪の起源は江戸時代より前までさかのぼり、もともとは「正方形に畳を2枚並べた時の広さ」と定義されていました。そのため「畳×2=坪」という関係が生まれたわけです。
■ 坪と㎡、畳の関係を一覧で整理すると…
1坪 = 約3.31㎡
1坪 = 約2畳
1畳(江戸間)= 約1.62㎡
坪は土地購入や戸建て住宅の検討で頻繁に登場しますが、マンションでは坪より畳や㎡がよく使われます。
とはいえ、家の広さを総合的にイメージしたい場合は坪が便利で、戸建ての「延床面積30坪」と言われれば、「ざっくり60畳程度」という感覚が掴めます。
4. それぞれの単位はどんな場面で使われる?
広さの単位によって、よく使われる場面が異なります。
■ ㎡(平方メートル)
法律上の面積表示
マンションの専有面積
土地登記
建築確認申請
公的な情報は原則すべて㎡で統一されています。
■ 畳(帖)
部屋の居住感を説明するとき
賃貸検索サイトの間取り表示
和室だけでなく洋室でも一般的
生活者にとって最も直感的に広さがイメージしやすい単位です。
■ 坪
一戸建て住宅の延床面積
土地の広さ
不動産投資
日本の住宅文化に深く根付いた土着の単位で、今でも重要な指標として生き続けています。
5. 広さの感覚をつかむためのおすすめの覚え方
部屋探しをする際、単位の変換がいちいち必要だと疲れてしまいます。そこで、誰でもすぐに使える“広さの感覚をつかむコツ”をいくつか紹介します。
■ コツ①:まずは基準となる「6畳」を体感的に覚える
日本の住まいで最も一般的なサイズは「6畳」。
6畳=約10㎡程度とざっくり覚えておくと、他の広さも推測しやすくなります。
■ コツ②:坪は「畳2枚」とセットで覚える
坪の換算で迷ったら
1坪=2畳=約3.3㎡
と覚えるだけで十分。
■ コツ③:LDKは畳より㎡で考えるとズレが少ない
LDKは家具の配置や動線が重要なので、Ⅰ畳換算よりは㎡で把握した方が現実的な広さがわかりやすいことが多いです。
6. まとめ:単位を理解すると、部屋選びがもっと楽しくなる
部屋の広さを示す単位は複数ありますが、それぞれの背景や意味を知ると、住まい選びの判断材料が一段と増えます。特に畳や坪は日本独自の文化と結びついており、単なる「面積の数字」以上の歴史的・文化的な価値を持っています。
一方で、現代の不動産実務において最も正確で統一性があるのは「㎡」。
畳や坪は補助的に使うと理解が深まります。
最後に本コラムの要点を整理すると――
面積の基準はあくまで「㎡(平方メートル)」
畳は生活者に最も馴染みがあり、居住空間のイメージに最適
坪は土地や戸建てで多用され、2畳分と覚えると便利
地域差による誤差に注意しつつ、各単位を使い分けると理解が深まる
これらを踏まえることで、部屋選び・家づくり・リフォーム計画がよりスムーズに進みます。単位の意味を知ることで、あなたの暮らしの選択肢もぐっと広がることでしょう。

前田 恭宏
前田です
